第五話 異世界の町ファーベル編
俺とフォードは相も変わらず宿屋探しに没頭していた。
不味いな、この調子だと見つかる前に日が暮れちまう。
えっと確か名前が「ロベルト」だったっけ、聞いた話だとこの辺にあるはずなんだが。
「ねぇまだー?もうぼくあるきたくないよ~。」
あぁフォード…たのむからもう少しだけ我慢してく…ん?あの看板は…
「ロベルト…」
やった!ようやく見つかった!
「着いたぞ!あれだ!」
「ほんとうに!?」
あ~よかった、慣れない土地って迷うもんなんだなぁ…よしさっそく部屋を取ってこよう。
ん?そういえば今なんで看板の文字が読めたんだ?
今の文字って一度も見たことないんだが…
「どうしたの?」
「…いや、何でもない。」
ガチャ、ドアを開けるとそこにはちょび髭を生やしたやや大柄な男が居座っていた。
この宿屋の店主だろう。
「ん、お客さんかい?」
店内は二階建てで、一階はテーブルとイスが複数並んだレストランルーム、二階は客用の宿泊施設となっている。
「すいません、ここに泊まりたいんですけど部屋空いてます?」
「うちは一泊あたり四千ペインだ、朝食も付けるなら五百ペイン追加してもらう、それとモンスター用の小屋を使うなら一泊千ペインだ。」
合計で五千五百ペインか…小屋の料金を抜いても四千五百ペイン。
こりゃどこかで稼がないとだめだな、この年齢で受けられるといいけど。
「あの…仕事を募集している所ってこの辺にありますか?」
「ギルドのことか?それならこの店を出て左を真っ直ぐ行けばあるぞ。」
ギルドか…ますますRPGぽいな。
「ありがとうございます。それじゃあ朝食付きでここにしばらく泊めてください。モンスター用の小屋は結構です。」
「はいよ、こいつが部屋の鍵だ。料金は五日ごとに払ってもらう、くれぐれも逃げようとするなよ。」
いやいや逃げないから、払えなかったら皿洗いでもなんでもするし。
さて、部屋で少し休んだら次はギルドって所に行くか。
―数十分後―
お、着いた。
今度は迷うことなくこれた。
ギルドと言うだけあってかなり大きな建物だな。
とりあえず受付に行って話を聞いてこよう。
「すみません、ここで仕事を受けたいんですけど。」
「クエストの受注ですか?まずはギルドカードを見せていただけますか?」
ギルドカード?身分証明書のような物か?
「あの、それを持ってないとクエストを受けられないんですか?」
「あ、まだ登録していないならこちらにお名前とご年齢を書いていただければすぐに発行いたしますよ。」
妙に手際がいいな、しかし俺この世界の文字全く分からないんだよな。
しょうがない受付のお姉さんに代わりに書いてもらお…
「あの、どうかしましたか?」
「えっ?あっいや何でもないです…」
そうして俺は出された手続き用の紙にスラスラと文字を書いた。
「カワセ アキラ様、年齢は16歳ですね。」
そう言って受付のお姉さんは一度席を外す。しばらくして戻ってくる。
「はい、こちらがギルドカードとなります。」
おおこれがギルドカードか、白色で名前の下にランクEと書いてある。
よしさっそくクエストを受けよう、と思ったがふと外を見ると空が夕焼け色になっていた。クエストを受けるのは明日にしよう。
…今度は字が書けたな、しかも初めて見たのに元から知っていた感じだ。




