第十二話 異世界の町ファーベル編
「フォード起きろ、もう朝食の時間だぞ。」
「ん、うぅん…あきら!だいじょうぶ!?」
「うお!ちょっフォード、俺は大丈夫だからとりあえず飯を食いに行こう。」
俺のことを心配してくれたのか、すまないなフォード俺のこと心配させて。
「あきらきのうはすごかった!あんなことできたんだね!」
あんなこと?俺は昨日ただ気絶してただけなはず…
「分かった話は後にしよう。」
俺はフォードとともに一階のクリフさんが待つ席へ向かった。
―
「ありがとうございます、わざわざ時間を取っていただいて。」
まぁいろいろと助けてもらったからこれくらいは、ていうか何でさっきからこの人俺に対して敬語使ってるんだ?
「それで話というのは?」
クリフさんは少し俯き話し出した。
「…俺は今まで自分のことを奢っていました。」
何か話が長くなりそうだな。
「日々己の道を信じて突き進み、他人などお構いなしに剣の道を極めていきました。ギルドでも誰よりも優秀な成績を収め誰よりも早くランクを上げることが自分が強くなることへの近道になることだと思い込んでいました。」
はぁ
「しかし昨日の未知の敵との戦いでの苦戦、そしてあなたの戦いを見てその考えは間違っていることを思い知らされました。」
ん?俺の戦い?
「俺よりも圧倒的に若い年齢であるにも関わらずあの洗練された動き、そしてランクに左右されず強敵にも臆せず戦いを挑む姿に魅了されました。そして自分の視野が狭くなっていたことに気づかされました。」
うーん何か嫌な予感がしてきたぞ。
「お願いがあります、どうか俺を弟子にしてください!」
え?
「え?いや、あの…」
「無理な頼みごとであることは承知しています、しかし俺はあなたの後ろに着いていき、己の剣を…」
「ちょっちょっと待ってください!?何で俺が師匠に!?大体俺の戦いって何のことですか!?」
「巨大なリーボウとの戦いのことです!あれは本当に…」
「えっとその話詳しく教えてもらっていいですか?」
「あぁいいですよ。」
―しばらく話を聞いた後―
話を聞いた限りだとあの巨大猪はクリフさんではなく俺が倒したらしい。
いやいやいや!どういうことだ!?俺は確か気絶してそのままクリフさんに宿屋まで運んでもらったんだよな、その間に俺そんなことしてたのか!?
この人嘘ついているのか?いやそんなことする意味は無いし、今もこの人俺のことべた褒めしてるから違うよな。
…今まで気にしないようにしてたけどこれって絶対“あれ”の影響だよな。
俺がこの世界に来たときにいた洞窟、そこで俺はそこにあった謎の人工物に触れて激しい頭痛を体感した。
今まではこの世界に来てから今まで経験してきた異変が起こるようになったと考えていたが、もしかしたら本当の原因はあの謎の人工物かもしれない。これは近々調べてみる必要がありそうだ。
「ねぇなんかあのひとあきらのことよんでるよ。」
おっとそうだった。今は俺を弟子にして欲しいという話だったな。
「あの、その話はお断りします。」
「待ってください!そこを何とか!」
「俺は人に物事を教える器ではないんです、それに自分より上の年齢の弟子を持つなんて荷が重すぎますよ。」
「器も年齢も関係ありません!俺が弟子となった暁にはどのような厄介事も押し付けてもらっても構いません!」
「いやそんなこと言われても…大体今は生活費を稼ぐだけでいっぱいいっぱいなんです。教えることもないし、とにかく無理なんです。」
「生活費なら俺が負担します!師の背中を追うことでも俺にとっては何かを得ることになるんです!」
ぐぅこの人一歩も引かないぞ。もし受け入れて勘違いだったと後で知られたらどうなることやら。
「うぅ、じゃあしばらく弟子を取るかどうか考えさせてください。とにかく今は突然のことで頭が混乱しているんです。」
「分かりました、それまでに出来るだけ自分で剣を鍛えてきます!」
だから荷が重いって、あーもう問題が解決したと思ったらこれだよ。




