第十三話 異世界の町ファーベル編
はぁ、今日はいろいろと大変な一日だった。話が終わった後フォードにも昨日の俺がした行為について聞いてみた。説明に擬音が多くて分かりずらかったが、大体はクリフさんの話と一致していた。
勘弁してくれよ、フォードにも尊敬の眼差しで見られたけど身に覚えのないことで尊敬されても素直に喜べないって。
あと逆にクリフさんと何を話していたか聞かれたので弟子を取ることになりそうになった話をすると、フォードは師匠になればよかったのにと言っていた。
その後、ギルドに行って謎の巨大猪のことをクリフさんと共に報告しにいった。というかギルドから報告するよう呼び出された。
ギルドではクリフさんが巨大猪を倒したといふうに報告した。俺が倒したと言ってもいらぬ誤解が生じるだけだし何よりあんな化け物を俺は倒した覚えはない。クリフさんは納得していなかったがあれでいいのだ。
あとどうやって俺がクレッセントベアーを倒したのかについても聞かれたのであの時のことを正直に話した。ギルド職員には驚かれると同時に危険な行為をしたことをみっちり怒られた。
その帰りにクリフさんにギルドで口座を作った方がいいと言われたので俺専用の口座を作ってもらった。それとなぜかランクがCランクに上がっていた。
どうやら口座を持つにはCランク以上でないといけないらしいのでクリフさんが持つ権限とやらを使って俺の知らないうちにランクを上げる手続きを行っていたようだ。
それにも驚いたがふと口座の預金を見てみるとなんと七百万ペインもあった。うち二百万ペインは魔石の依頼の報酬で、残りの五百万はクリフさんが貰った巨大猪を討伐した報酬だ。俺はいらないと言ったがこれくらいの評価は受けるべきだと聞かなかったので仕方なく貰った。
その後気になったのでランクについて詳しく調べてみたところ、Aランクは支部のギルドマスターと同じ権力を持つようでそこまでいくには早くても三十年以上かかるらしい。
年齢については聞いていなかったが、クリフさんは多分二十代前半ぐらいだろう。ギルドには十歳から加入できるのでクリフさんは十~十五年でAランクに到達したことになる。
そんな凄い人に弟子を懇願されたのか。これは誇るべきことなのか?
まぁなんにせよ、昨日のこともあって精神的に疲れた。それにこの十六日間ぶっ続けで働いたから肉体的にもしんどい。今日は宿に帰ってぐっすり寝ることにしよう。
―とある場所で―
「それでその“噂の男”の捕獲には失敗したというのか?」
「ふふふ、そういうことになりますなぁ。」
「何を笑っておる、笑い事ではなかろう。」
「だって考えてもみてください。我々の作成した配下がいとも簡単に敗れた、これはそれだけ獲物の力が底知れないということなのですよ。」
「確かに今回投入した戦力は完全結合種一体と不完全結合種二体。不完全結合種はその中でも特に戦力の高いクレッセントベアー種を二体、完全結合種にいたっては最高傑作の一体であるフェルシオウスリーボウを使ったのにも関わらずこの結果、確かに興味深いな。」
「しかしそれなら尚更捕獲するのは困難であるということではないか、一体どうすれば。」
「簡単なことです、捕獲するのが無理なら獲物から来させるようにすればいいのです。」
「しかし奴は最高傑作ですら簡単に倒してしまうのだぞ。同じ戦力はあと二体しかおらんのだ、正面からかち合っても返り討ちに会うのがオチだ。」
「獲物は一匹モンスターを連れています、それを利用するのです。」
「奴が連れているランドラプトルをか?あれでは強化に成功したとしてもすぐに敗れるぞ。」
「あのモンスターはランドラプトルではありません、おそらくですがあれはスカイドラゴンの幼体です。」
「スカイドラゴンだと!?本当なのか!?」
「私も初めて見た時は興奮しました。あれを利用すれば確実に勝てます。」
「うぅむ、だがどうやって奴からスカイドラゴンを奪うのだ?下手に奇襲を仕掛けてもそれこそ返り討ちに会うだけだぞ。」
「奪う必要はありませんよ、獲物にここで戦いを挑ませその隙にあの装置をスカイドラゴンに使えばよいのです。」
「あれをか?まだ試験運用もしていないというのに使うのはいささか危険ではないか?」
「そう言って物事を遅らせてきた結果あの“魔術の女王”にも逃げられたではないですか。同じ過ちを繰り返す気ですか?」
「何を!貴様こそ儂の意見に二つ返事で了承していたではないか!そもそも貴様が監視を怠っていなければ逃げられることもなかったであろう!」
「おいおい落ち着け、ここは我々の今後について話し合う場所だ、口喧嘩をする場所ではないだろ。」
「おっとそうでしたね、とにかく今は時間がないのです。なぁにあの装置は我々が持てる技術を注ぎ込んだ努力の結晶です、きっとうまくいきます。」
「ぬぅ、それならいいがこれ以上儂の金を無駄に浪費するような真似をするなよ。貴様も研究の方は進んでいるのだろうな。」
「もちろん順調だ。装置の方もこちらで調整しておく。」
「誘導に関しては任せてください。Aランクの冒険者が厄介ですが奴では最高傑作にかないません、うまく処理しておきます。」
「そうか、では今日の会議はこれで終わるとしよう。」




