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第十一話 異世界の町ファーベル編

 パチリ

 俺は目を覚ました。


 目を開けてすぐに見慣れた天井が見えてくる。どうやらここは俺が宿泊している宿屋のようだ。


 隣を見るとフォードが爆睡している。ふと部屋の窓を見ると朝日が昇っている。気絶してからかなり時間が経過したようだ。


「気付きましたか。」


 声が聞こえた方に振り向くと、そこには巨大猪と死闘を繰り広げていた剣士がいた。


「俺はいったい…」


「あの戦いの後気絶してしまったのでそこにいるモンスターとともにあなたをこの宿屋まで運びこみました。」


 そうか、この人はあんなバケモノに勝ったのか。それなのに俺はあんな所で気絶してしかもその後にこの人に町まで運んでもらったのか。本当に情けないったらありゃしない。


「ありがとうございます。この恩はかなら」


 ドンドンドン!


「おいアキラ!あの客がまた来たぞ!」


 …あーそういえば忘れてた。元々俺はあの魔道具店の店主の無茶な依頼を仕方なく達成するためにあの森に行ったんだった。


「客というのは?」


 剣士が訪ねてくる。


「Dランク以上の魔石を五個っていう依頼を受けていたんですよ。今日が期限なんで依頼を達成できたか確認しに来たんだと思います。」


 まったく、もう少し時間が経ってから来てくれよ。一応魔石はちゃんと五個持ってこれたからよかったけど。


 俺が嫌な顔しているのを見て察したのか剣士が質問をしてくる。


 「その話詳しく聞かせてもらっていいですか?」


 「え?いやいいですけど…」


 依頼の内容を詳しく話す。


「なるほど…あの、邪魔でなければそのことに俺も同行してもかまいませんか?」


 え?



         ―少しして―



 あ、いたいた。あの人ご丁寧に前来た時と同じ場所にいるよ。


 依頼をしてきた魔道具店の店主の向かいのイスに座る。


 「依頼は達成できたかね?」


 もちろんですとも。そのせいで危険な目にあったけど。


 「隣にいる者は協力者かね?すまないが席を外してもらいたいのだが。」


 「俺はただの傍観者だ、特にあれこれ手出しはしない。」


 いやその割には妙な威圧感がないですか剣士さん?本当に何しに来たのこの人?


 「な、ならいいが…とりあえず依頼した物を見せてもらおうか。」


 俺は依頼された魔石を取り出してテーブルに置く。それを見た店主は顔をギョッとする。


 「こ、これは…ど、どうやら本当に達成できたようだな、だがこれでは魔道具を作るとしてもかなり低位のものしかできんな。報酬は十万ペインがせいぜいといったところか。」


 本当に持ってくるとは思わなかったんだろうな。

俺が持ってきた物に若干驚きつつもやはり最初に話していた報酬の五分の一の額を提示してきた。だが俺は引き下がらない。


 「まってください、この魔石はすべてCランクのクレッセントベアーを倒して手に入れたんです。五十万というのはDランクの魔石五個の話ですよね、いくら何でもたった十万では割に合いません。」


 俺の言ったことにさらに驚く。


 「ク、クレッセントベアーだと!?馬鹿を言うな貴様は最近ギルドに加入した新米ではないか!たった数日で五匹も狩れるわけがなかろう!嘘を付くならもう少しましなものを付かんか!」


 俺が言ったことを全く信じていないようだ。まぁ確かに実際は五匹狩った訳ではないけど。


 「この方が言うことに偽りはない。お前こそその魔石を鑑定もせずに粗悪品だと言うが、本当に分かっているのか?」


 剣士が話に割って出る。いやフォローしてくれるのはありがたいけどこの方って…


 話に割り込まれたことによって店主はさらに激怒する。


 「長年魔道具店を営んでいればそれぐらい分かるわ!大体貴様はただの傍観者であろうが!口を挟まんでもらおうか!」


 怒鳴り散らす店主に怯みもせず話を続ける。


 「確かに傍観者ではあるが不正を見逃す訳にはいかん。そもそも依頼に関しても聞かせてもらったが俺の耳を疑ったぞ、新米のEランクにやらせるもとは思えん。それをこの方は問題なく達成させた、なのに粗悪品だの文句をつけ十分に対価を支払わないのは許されざる行為だ。」


 「ぬぅぅ言わせておけばずけずけとぬかしおって!若僧が、私を怒らせたことを後悔させてやる!逃げようとしても無駄だ、貴様のことなどすぐ調べ上げられるのだからな!」


 「そうか、それならこちらから名乗ろう。俺はクリフAランク冒険者だ。」


 そう言って剣士、いやクリフさんはギルドカードを見せてきた。カードには確かに名前とAランクであることが書かれている。

ちなみにギルドカードは縁の色によってランクが変わり、Eランクは白、Dランクは緑、Cランクは青、Bランクは黄、Aランクは赤、Sランクは金となっている。


 ギルドカードを見た店主は顔色が真っ青になった。


 「な、なぜAランクの方がEランクの肩を…」


 「言っておくが魔石はギルドで鑑定した結果すべて本物のクレッセントベアーの魔石だった。何なら今ここに鑑定したギルド職員をよぶか?」


 「い、いえ結構です…」


 おぉ、店主が押されてる。しかしこの変わりよう、ランクに関してはあんまり分からないけどクリフさんってもしかして相当偉い人なのか?


 「…分かった、報酬は本来より多く出そう。しかし今手元に持ち合わせがないので後日ギルドを通して支払いたいのだが…」


 「あ、はいそれで大丈夫です。」


 肩をがっくりと落として店主は帰っていった。


 いやー良かった。クリフさんには助けてもらってばっかだな、いつか恩を返せるといいけど。


 「話は終わったか?」


 振り返るとそこにはしかめっ面をしたロベルトさんがいた。


 「まったくあの野郎中に客がいるってのに怒鳴り散らしやがって、飯の用意が出来たからあの寝ぼすけも起こしてこい。」


 寝ぼすけというのはフォードのことか。思い出したら腹減ったな、クリフさんにお礼を言ってからあいつを起こすか。


 「主人俺にも飯の用意をしてくれないか、この方と話がしたい。」


 え?俺と?


 「ん?そうか、なら女房にもう一人分作ってくるよう頼んでくるからそれまで待っていてくれ。」


 「時間を取るようで悪いのですが俺の話を聞いてもらえませんか?」


 「は、はぁいいですけど…」


 また何かやらかしたか?

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