第十話 異世界の町ファーベル編
投稿が遅くなってしまったので、今回はいつもより少し長めです。
振り返ると熊と一人の剣士が戦っている。剣士は赤髪でかなりの美形だ。
剣士の方が熊を圧倒している。俺が戦っていた時とは大違いだ。
ザシュ
剣士が熊の腹を切って熊の体勢が崩れる。
「終わりだ!」
ズバッ!
その隙に剣士が首を切り落とし決着をつけた。
「これがCランクのモンスターか?あまりにも強さが違う。」
何か独り言を言っている。こっちに気づいていないようなので声を掛けて助けてもらおう。
「あのーちょっといいですか?」
「ん?お前は…確か最近ギルドに加入した噂になっているEランクの冒険者か?」
噂?とくに目立った行動はしてないはずだが…
「怪我をしているな、とりあえずこれを飲め。」
そう言って剣士が懐から小瓶を取り出して差し出してきた。
これはもしや、飲んでみると怪我をした部分の血が止まり痛みが緩和された。
これはポーションか、町で見たことはあるが確かかなり高かったはず。
「ありがとうございます。危うく死ぬ所でした。」
「気にするな、それよりお前がこのリーボウとクレッセントベアーを倒したのか?」
あぁこの熊ってそういう名前なのか。
「まぁそうです。」
「EランクがCランクのモンスターを倒すとは、噂といいかなり興味深いな。」
さっきから言っている噂って何なんだ?
「ところでそのリーボウとクレッセントベアー、魔石はいくつあった?」
俺が質問をしようとしたら、逆に質問された。
「え?リーボウはまだ見てないですけどクレッセントベアーは五個ありましたけど。」
「こいつもか…」
「…あの、魔石が多いことって何かよくないんですか?」
「いや、悪いことでは無いんだが…」
ズズン!
会話をしていると突然どこからともなく地響きが聞こえてきた。
「あ、あきら、あれ!」
フォードが何かに気づいたようだ。その方向に向くとそこにあった木がなぎ倒され、そこから巨大な猪が出てきた。
「な!?何だこいつは!?」
うお!すごい巨大な猪だ。三メートルぐらいあるぞ。
リーボウか?いや確かこんなでかくはないはずだし、目が六つもあるぞ。
「ブフーーーー!」
驚いている中、巨大猪は鼻息を荒くしながら今にも襲い掛かってきそうな形相をしている。これは不味いぞ。
「おい!早くそいつを連れて逃げろ!このバケモノの相手は俺がする!」
よしそうだな…ってえぇ!?
「いやいや!こんなのとまともに戦うなんて出来るわけ」
ドォンドォンドォン
うわ、こっちにきた!
俺は必死にフォードを抱えて巨大猪の突進を避ける。
「はぁ!」
ズバッ
俺にヘイトが向いている隙に剣士が巨大猪の後ろ足を攻撃する。だが皮がぶ厚いのかあまり効いていない。
「ブフォーーーーー!」
今度は剣士の方に巨大猪が攻撃を仕掛ける。
ギン!ギン!ギギン!
「ぐっ!くっ!ぬぅ!」
すごい、あれだけ巨体な猪の攻撃をいなしている。だが防戦一方で攻撃しても効いていない。このままだと…
「早くしろ!今この状況を打開出来るような道具は持っていない!町に戻って援軍を呼んでこい!」
剣士の声に俺はハッとした。
…ギリ
見捨てることになるが今はそうするしかない。早く町にもどらないと。
俺は町へ急いで駆け出す。
「あきら!?あのひとはどうするの!?このままだとやられちゃいよ!?」
「こうするしか無いんだ。あの場にいても俺は」
ッ!
その時目の前が真っ暗に覆われる。
またこれか…
「あきら!?どうしたの!?」
フォードの声を聞きながら意識を失う。
―
「ねぇあきら!おきてよ!」
パチッ
数秒間の気絶の後明が目を覚ます。その表情はなぜか冷静で勇敢さを感じる。
「…あれは、あそこか。」
立ち上がってすぐに巨大猪の元に駆け寄る。
巨大猪と剣士の戦いは巨大猪の方に分があるようだ。
「くそ!まさかこんなバケモノがいるとは!」
すると戻ってきた明が剣士を横から押し倒す。
「ぐぉ!なっ、なぜ戻ってきた!?」
「剣を貸せ!こいつは俺がやる!」
さっきまで逃げていた男が突然とんでもないことを言った。
「な!?まて!このバケモノは一人でどうにかなるわけが」
明は聞く耳をもたず剣を奪い獲る。
「ブォーーーーー!」
巨大猪が牙による攻撃を仕掛けてくる。
ザン
それを明は両方の牙を切り落とし対処する。
「な!?」
そこからの戦いは一方的なものだった。明が攻撃するたびに硬かった皮がたやすく切れ、そこから血しぶきが飛び散る。巨大猪の反撃は全ていなされ、それを利用してさらなる反撃を受ける。
蹂躙していた巨大猪が逆に蹂躙される。しかも明はそれをまるで平然とやってのける。そこに今までの明の面影は全く無い。
「ブォォーーーーーーーー!」
最後の雄叫びを上げ巨大猪が倒れる。
「ふぅ、全くしぶてぇ奴だ。久々に剣持ったがやっぱ腕落ちてんな。」
「おまえは、いやあなたは。」
一部始終を見ていた剣士が訪ねてくる。
「よう、お前は大丈夫そうだな。説明はこいつから聞いてくれ、俺は戻る。」
ドサッ
明がその場に倒れこむ。




