祝500UA!これからは私と、家族のためだけに…!
文官棟の聖女ことミテーナ・サンクタは憂鬱な気分で窓の外を眺めた。肘を机につき、手に顔を乗せる姿は普段のできる女とはまた違う、幼い雰囲気を感じさせる。
「あの人、私の誕生日なのに今日やりたいことあるからって!・・・デート行きたかったのに」
そう、憂鬱な気分の原因は彼女の交際相手だ。せっかくシスコンな兄に認められたのに。誕生日のお祝いもせずに何をやっているんだ!と怒っているのだ。
やることもないので仕方なく、今日も文官棟で仕事をしている。
「せっかくの休みなのに!せっかくの誕生日なのに!」
いつもしっかりしている分、拗ねたらとことん拗ねるのだ。
はあ、と仕方なさそうに提出された今年の予算編成に赤で訂正を入れていく。
そこへ・・・。
こんこんこん。
「ミテーナ様。よろしいでしょうか」
「何?」
「その、お客様が・・・」
侍女が少しニヤニヤしているのは気のせいだろうか。
「・・・入れてちょうだい」
侍女に連れられやってきたのは・・・!
「こんにちは、ミテーナさん」
ミテーナはガタッと音を立てて立ち上がる。エプロンを着て布の包みを持って立っているのは彼女の恋人であるマーギラス。爽やかな見た目で非常に女性から人気のある宮廷料理人だ。
黙って侍女が出ていくのを横目で見つめながらミテーナは嬉しくて、嬉しくて、それでも素直じゃないため
「何しにきたの。今日はやりたいことがあったんでしょ」
と嬉しさを表現できずマーギラスを冷たくあしらった。
「やりたいこと、と言うのが終わりましたから。どうぞこれを」
布の包みを渡されて、開いて見ると。
「お菓子?」
「ええ。空也と言います。・・・食べてみてください」
食べると、とても甘かった。甘かったが、上品な甘さ。
「美味しいですか」
「・・・美味しい」
「そうですか。よかったです。では、結婚していただけないでしょうか」
「え?」
いきなりのプロポーズにミテーナは思わず目を瞬かせた。
「なんで、そんないきなり・・・」
「甘いものが苦手なあなたでも食べれるお菓子を作れたら、プロポーズすると決めていたんです。あ、やっぱり平民の私では分不相応でしたか・・・?」
不安そうにエプロンの端を掴む彼を見て、ミテーナは笑った。
「これからは!私と、家族のためだけにご飯を作ってちょうだい!」
なんとも傲慢な物言いだ。しかしマーギラスにはわかっていた。
これは、最上の承諾の返事だと。
久しぶりの投稿がSSになりました。
気付いたら500を通り過ぎていて、驚いたんですが、明日から本編も進めれるかと思いますので、ご期待ください!




