第二十七話 か、片耳豚?
クーリエ、メルそしてミテーナの一行はコション侯爵邸へと到着した。出迎えるのは太った男性2人と細身の女性の3人。
「・・・片耳豚?」
男性2人を見たクーリエは思わず呟く。
「クーリエ様、失礼ですよ!豚はほとんど筋肉なんです!脂肪じゃありません!比べたら豚が可哀想です!」
「・・・2人とも失礼よ。ちょっと黙って」
ミテーナがクーリエとメルの頭を抑えてにこやかに微笑んだ。
「ご機嫌よう、コション侯爵。それに・・・セルドさんも。お久しぶりね」
セルド、と呼ばれた背が低い男性がビクリと肩を震わした。
「・・・お久しぶりで、ございます。ミテーナ学園長」
「私はもう学園長じゃないわ。コション侯爵、彼は廃嫡されたのでは?なぜここにいるの?」
ミテーナは笑みこそ浮かべているものの、その瞳は凍るような冷たさを秘めていた。
「そ、それはですね。その、セルド以外に子供に恵まれなかったもので・・・。家を存続させるために仕方なく・・・」
「復権した、と。我が国の宝たる勇者を自殺にまで追い込んだのよ。そんなことが許されると思っているの?」
「い、いえ。まさかそういうわけでは・・・」
「この続きは王族も交えて今度じっくりお話ししましょう?今日は娘に直して欲しい人がいるようですし」
クーリエの頭から手を離してミテーナは笑みを深めた。
「・・・私、何をしたらいいのでしょう?」
クーリエが小首を傾げた。
「た、立ち話もなんですので中へどうぞ・・・」
コション侯爵邸はとても趣味がいいとは言えなかった。ホールの四隅には悪魔のようなよくわからない彫刻が、壁の絵画は色が剥げてもはや原型が見えない。
「・・・」
「・・・こんなところじゃ魔物は解体できませんね。不衛生です」
メルがつぶやいた。
「本当に。うちの納屋のような雰囲気・・・」
クーリエも呟く。
「お祖父様が彫刻ならなんでも集めていたそうだし。お祖母様は絵画を買い集めて」
コション侯爵と、セルド、そして出迎えてくれた細身の女性の後に続いて全員で階段を上がり、一つの部屋に入った。そこには青白い顔で、横たわる女性がいた。
「嘘でしょう。なぜ貴方がここに?セレーネ・・・」




