第二十四話 おかげさまで大繁盛!
あの全校朝集から一週間。変わらずお客さんはきていて、相変わらずの黒字を毎日叩き出している。もともと戦闘訓練もあるので魔物を狩る人は多いのだ。
「サンドウィッチ一つくれへん?」
「はい!チーズ・胡椒・しお・マヨネーズどれがいいですか?お野菜はどうされます?」
「そうやな。じゃあ、マヨネーズ。野菜は、普通でええかな」
「わかりました!」
屋台へやってきたのは図書委員長リブロだ。片手に本を抱えていつも通りに歩き読みをしている。
「ああ、あと。メルちゃんやったっけ?クーリエちゃん知らへん?」
「?クーリエ様ですか?そうですね。今学園長とお話ししてたと思います」
「ありがと。お礼に銅貨10枚や。5枚はメルちゃんが好きにしてええからね」
「え?え?」
飄々したその図書委員長は、歩き読み常習犯として有名だ。メルトの話を終えるとすぐさま本へと目を落とし、そのまま校舎の中へ戻って行った。もちろん、サンドウィッチを口に入れたまま。
***
「邪魔すんで〜」
「邪魔するなら帰ってもらえるかな、リブロ君」
「ひどいな、学園長。デレゲ君から伝言をクーリエちゃんに預かったから届けにきたんや。ついでにおもろい話をかあったら聞かせて?」
ズカズカと学園長室に入ってドカっと学園長の隣――クーリエの正面のソファに座った。
「こんにちは。リブロ委員長。生徒会長はなんとおっしゃっていましたか」
「いやぁ、そろそろ魔王討伐の時期やろ?やからたまにでいいから訓練に参加してほしいんだと」
「無理だ。クーリエは明日、王都に戻ることになった。侯爵家からの依頼だ。聖女への、な」
「そういや、聖女なんやったな」
学園長は前髪をかき上げて立ち上がる。窓の側までいき外の景色を眺めながら言った。
「たかが侯爵だが、聖女として箔をつけるならまあ、いいだろうと叔母上が判断してな。行ってもらうぞ、クーリエ」
「ついでに前叶わなかった食材の買い出しもいいですか?」
「ああ。あの侯爵には不穏な話があるが、叔母上と母上がつくから大丈夫だな」
「はぁい」
呑気な返事を残してクーリエは学園長室を去った。
「学園長。過保護すぎるんちゃうか?学園長も、クーリエちゃんの家族も」
「そうかもな。リブロ君。君は今のクーリエしか知らないだろう。昔はもっと、もっとなんというか。甘えたがりだったんだ。私の親友が――あの子の兄が死んでから変わってしまった」
リブロは立ち上がってドアノブに手をかける。
「あっそ。ああ、おかんが言ってたな。『魔王は今年、目覚める』とか。クーリエちゃんは戦闘の要や。そこがなくなるとなれば魔王討伐なんて不可能やろうな」
そう言い残して、リブロも出ていった。1人残された学園長は自分の机の引き出しを開ける。中にはたくさんの手紙が入っていてそのうちの一つ、古そうなものを手に取った。
「リブロの母親。予知能力者、だったか。加護は確か『予知夢』。・・・話を聞いてみるか」
フレールのためにも。クーリエを死なせることは絶対にしない。学園長は手紙を見つめながらもう一度胸に誓った。




