第二一話 桜餅、上達す
メルは1人で小型の、うさぎに似たような魔物を小型を使って捌いていた。もちろん、周りに誰もいない。今は授業中だ。大きくてまだ手に負えないような魔物はクーリエが処理して、壺の中に入れていってくれた。
メルの仕事は、小さな魔物を処理して壺に入れて氷室へ持っていくこと。どうやら、授業の後は給食らしく、サンドウィッチは必要ないだろう、と言われたのだ。
そして、なんと!メルはウサギを注意深く、しっかりと骨に肉を残さず、綺麗に捌いているのだ!クーリエにコツを教わりながら自分流に昇華させ、上達したのだ!
「よし!これで終わりかな。エプロン洗って消毒しなきゃ。あ、でも先に氷室に持っていこうかな」
ということで、メルは3つの壺を抱えて氷室の「屋台用」と書かれた棚に置いた。もう屋台の仕事も慣れたものだ。学園長はクーリエが屋台を始めてから3日後に帰ってきて、胃痛薬を飲んでいた。
「胃痛薬は飲み過ぎたら胃に穴が開くってミテーナ様言ってたな。大丈夫なのかな、学園長は」
ふとつぶやいた言葉は部屋の中で響いた。
「寒いし早く出よう」
メルはエプロンを脱ぎ、クーリエのエプロンも持って今度は洗濯場にやって来ていた。
「エプロン、今日もよろしくお願いします!」
「ああ、もちろん。クーリエちゃんだったかな。からお給料はもらってるしね」
「あのお嬢ちゃん、物の価値あんまわかってないよね。これ、2人で食べて」
「え!?いいんですか?ありがとうございます!久しぶりに食べます、この干し肉!」
洗濯場のおばちゃんから硬い包みをもらい、メルは嬉しそうに微笑んだ。
「農村から来たのかい?」
「はい!おばさんたちはなんで干し肉を?」
「私たちがここで作ったんだ。もともと魔物の処理は私たちの仕事だったからその時に作ったんだよ」
「え?あの、仕事奪っちゃいましたか?」
「いいや。流石に誰もゲテモノ干し肉を食べたがってなかったし、処理も大変だったから助かってるよ。ありがとう」
「よかったです!これからもよろしくお願いします!」
メルはとても可愛がられていた。
お昼の時間帯は自室――クーリエの部屋の隣で自由時間だ。校舎の中からだと、妙な身体検査を受けなくて済むので校舎の中をコツコツと歩いていると
「このように、魔王というのは魔物を統括し、品種改良を行う強力な魔物だった、と言われている。勇者は魔王を封じたのち、行方をくらました。が、勇者の妹の聖女、そしてお二人の姉であり、しっかりと育て上げた、通称聖女姉が勇者の偉業を発表したそうだ」
なぜ聖女姉などという雑な呼び方なの?と疑問に思いつつ、メルは立ち去った。しかし、メルは知らなかった。
自分の主人の祖先が聖女姉であることを。自分の主人が勇者パーティの一員として魔王討伐の旅に出ることを。




