第十話 うちの桜餅を口説かないでください
「・・・どなたでしょう?」
王子は雷に撃たれたかのように固まった。
「え?私だぞ?この国の王子!フレールの親友だぞ?お前の兄貴の後輩だぞ?」
「存じ上げませんね。あとフレールって・・・」
「クーリエ様!この方、なんかいきなり求婚してきたんです!どうにかしてください!」
メルがクーリエの後ろから小動物のように王子に対して威嚇した。
「王子かなんだか知りませんが、うちの桜餅に対して変なことしないでください。|お母様《元学園長&超優秀な文官》か叔母様《元最強の女騎士》を呼びますよ」
「それはダメ!ミテーナだけはダメだ!いや、リタもダメだ。2人とも遠慮がないから・・・」
王子は顔を真っ青にしてクーリエに迫る。ぽやぁとしたクーリエは一歩下がっただけで何もしようとしなかった。見かねたメルがパシっと王子の手を払う。
「いい加減にしてください!クーリエ様は聖女になるためにここにきてるんです、部外者は出てってください!お出口はあちらです!」
「・・・お母様方がダメなら学園長とかなら大丈夫でしょうか」
「プレセス?!いや、絶対無理。あの3人呼ばれるくらいなら帰る!さようなら!メル嬢、返事は考えておいてくれ!」
クーリエが学園長、と言った瞬間に王子はさっさと帰ってしまった。もちろん、メルに投げキッスをするのを忘れずに。
「なんなんですか、あの王子様。初対面でいきなり求婚してきて。クーリエ様に触れようなんて100億年早いですよ!」
ぷんすか怒るメルの言葉に先ほどクーリエをエスコートしようとし、失敗した司祭が一歩後ずさる。その音にクーリエが気付きぺこりと頭を下げた。
「すいません。で、ここで何をしたらいいんでしたっけ?」
「・・・と、とりあえず加護を調べさせてもらいます」
「え・・・」
その瞬間、なぜかクーリエの中でなんともいえない不安感、不快感が広がった。
「何かありましたか?」
様子の変わったクーリエを気遣ってメルがクーリエの顔を覗き込む。
「・・・いえ、大丈夫です。加護って、どうやって調べるん、ですか」
「この水晶に手を置いていただくと簡単わかるようになりますよ。・・・クーリエ様は現在学生ですか?」
「はい」
「では一度行ったことがあるはずですが」
「・・・母が行わないように、と働いてくれたそうですが。よくわかりません」
初代聖女の肖像画が飾られた祭壇の上の台を撫でながら司祭は顎に手を当てて考えた。
(文官棟の聖女が隠させるほどの加護?もしくは加護関連で何かあったのか?そういや、勇者フレールの妹だったか。学園の不慮の事故で亡くなったと聞いたがまさか・・・)
「・・・そうですか、まあ、問題ないでしょう。この台の水晶に手を置いてください」
「わかりました」
クーリエが台まで歩いて水晶に触れると宙に文字が描かれ始める。
『確認しました。クーリエ・サンクタのステータスはこちらです』
「ステータス?」
メルの頭に疑問符が浮かんだ。司祭が説明する。
「はい、ステータスとはその人の能力のことです。神聖な言葉なので普段使いは禁止されています」
『魔法:聖女の覇気(聖女らしさが出る)・解析(魔物やものを解析できる)』
「聖女の覇気・・・ですか。初めて見る魔法ですね。もしや本当に本物の聖女様・・・!」
司祭が危険なものに芽生えてしまうかもしれない。
『加護:料理(味がよくなる)・解体(時間も食材も無駄なく解体できる)』
「・・・これは、便利そうな加護ですね!私にこんな加護があったとは!味も良くなって効率も上がる!最高ですね!」
クーリエが興奮し始めた。
『属性加護:炎・氷・緑・土・雷・水・風』
「属性加護全種類、ですか。まあ、20人に一人くらいはいますね」
そこまで珍しくはないな、と司祭がつぶやいた。
『主加護:精神
効果:催眠・魅了・精神干渉など』
「!!」
クーリエが目を見開き呼吸が荒くなり始める。心配したメルが駆け寄ってクーリエの背中をさする。
「まさか、主加護があるとは・・・。主加護持ちは一世紀に一度いたらいい方なのに・・・」
『適正加護・・・』
次回:筋肉マシマシ学園長
ブックマークやリアクションを入れていてもらえると嬉しいです!




