語らう
街から出て湖の方に向かうと、リーカは既に小舟を準備してくれていた。やはり荷物を積めば二人しか乗れないようなサイズの小舟が一艇残されているだけのようで、俺たちしかあの島に向かえないのは確かだった。
「待たせたな。……あと、準備手伝ってあげられなくてごめん」
「ジュンキさんもやるべきことやったんだから、私もやっただけのことです♪」
そして舟は出立し、ゆったりとした時間が流れる。リーカは後ろを向いて舟を漕ぎ、手持ち無沙汰の俺は向かいに座って舟を揺らさないように努めるだけだった。
「それ、変わろうか?」
「この辺りは独特の流れがあるから、私がやらないとだめです!!」
「……そうか」
申し訳なさそうな様子の俺を見て、彼女は笑顔で語り掛けた。
「私、ジュンキさんの話が聞きたいです。結局、別の世界のことも全然教えてくれませんでしたし♪」
「そ、それは……ごめん」
「へへっ♪ なんか最初に会った時みたいですね!! ジュンキさん、謝ってばかりで───」
「仕方がないだろ。女神が急に俺を知らない世界に飛ばしたんだ。その上、女の子となんてほとんど喋ったことないのに……」
リーカの顔色がより一層明るいものとなった。
「ジュンキさんって意外と女の子と仲良くなったことなかったんですね」
「あぁ、そうだな。今じゃ周りが女子しかいないし、肩身が狭い所でさらに『増援』が来てしまうんだから……正直参った」
「私のことはどう思ってますか?」
「リーカと居るのは不思議と居心地がいいな。最初こそ緊張はしたが……慣れたのかもしれない」
「そうですか♪」
明るい声色で彼女は相槌を打った。
「ジュンキさんのお母さんとお父さんって、どんな人ですか?」
「働き者だったよ。父親は帰ってこない日もあったし、母親は朝飯作って学校に送り出してる間にパートに行って……って、リーカに言っても分からないか。でも、二人とも昔は時間を作って遊んでくれたり、旅行に連れていってくれたこともあったのはよく覚えてる」
「私がグランペじゃなくて普通の人間だったら……そういう両親が居たんでしょうか?」
「それはどうだろうか。この世界のことは知らないが、元居た世界でも親子が不仲なんてことはよくあるからな。……俺は結構、恵まれていた方かもしれない」
「なんか……なんて言葉で言い表せばいいか分からないですけど、あたたかい気持ちになりますね」
リーカは寂しそうに微笑んだ。それは俺に対しての哀れみからだろうか、それとも彼女自身がその「言葉」を持たずに生きてきた哀しみからだろうか、はっきりとしてことは分からないが、その表情を見て胸に刺さるものを感じたのは俺も同じだった。
「……もっと他に、私の知らないあなたの世界を───私の知らないジュンキさんを、教えてください!!」
「まだまだ時間はあるからな。……じゃあ、子供の頃から順を追って喋っていくか───」
俺は片っ端から、記憶に残る出来事を全て話していった。ついでに、元の世界の社会システム等の説明を交えながら語っていると、あっという間に島が見えてきた。
「リーカ、着いたみたいだぞ」
「本当ですか!? もうちょっと話してたかったのに……」
「大丈夫だ、身の上話なんていつでもできる。……ところで、なんで後ろを向いて漕いでたんだ? 楽に漕げるとはいえリーカなら前を見ながらでも舟を漕げたはずだろ」
俺の問いに対し、彼女の答えは単純なものだった。
「だって、ジュンキさんと顔合わせで話せるじゃないですか♪」
胸奥を貫くような破顔の表情に、俺はどうしても敵わない存在がこの世にいることを悟ったのだった。
マラーナイスピッチングで今日も勝ちましたね
最下位確定だと思ってたのに、セ・リーグ全体が低空飛行しすぎてて4位くらいまでは団子状態になってるそうです(順位表見るの嫌過ぎて言われるまで知らなかった)
実は私が知らないだけでAクラスもまだ狙えたりするんでしょうか(順位表は頑なに見ないので知らない)




