到着
俺たちは徒歩で七日間掛けて「はじまりの街」に向かった。帝国全土に勅書が届けられている影響もあって、道中で誰にも見つからないように行動する必要があった。だが、ミザリーの【望遠】の力のお陰で無事に懐かしい街に帰って来ることができたのだ。
「しかし、本当に活気のない街だな」
「帝都とサント・シュヴェルを繋ぐ通り道に作られた街……リーカはこんな街の管轄をしていたのね」
街を出立する前には多くの馬車の往来も、政変の影響かほとんど見かけなくなっていた。さらに、貴族や商人向けに開かれていた店の多くも営業していないようで、辺りは閑散としていた。食料品を出している出店以外に人の姿が見えない。
「エアス、引き続き周囲の警戒を頼む」
「うん」
「ミザリーは皇帝の場所を探ってくれ、できるだろ?」
「わ、分かった」
エアスは建物の屋上に上がり、【狙撃】の【ケガレ】を顕現させた。ミザリーは【望遠】の【ケガレ】を顕現させ、死んだはずの皇帝が潜む場所を探った。
「見つかりました!!」
「ありがとう、見せてくれ」
彼女の持つ望遠鏡のようなものを取り、覗き込む。すると、そこには見覚えのある場所が映っていた。思わずリーカを呼び、彼女にも同じ光景を見せる。
「見ろ、リーカ」
「もしかして……!?」
「あぁ。かつての君の生活拠点……俺が目覚めた、あの島だ」
皇帝は湖の中に浮かぶ孤島で一人、片膝を立てて座っていた。確かにこの場所なら誰も探しに来ないかもしれないが、何故あの島を選んだのかまでは分からなかった。
だが、俺には考える隙など一秒たりとも与えられなかった。屋上で周囲を警戒していたエアスがスコープ越しに何かを見つけたようなのだ。
「───何かがこっちに来てる。馬車から降りて……皆、同じ服着てる。多分、グランペだと思う」
「アルベルトが言ってた増援か……数はどれくらいだ」
「二十人くらい、かな」
「一個小隊くらいの兵力、か。あまり君たちに戦争みたいなことはさせたくないんだが」
俺の言葉に、シルトが反応する。
「なに? もしかして帝国を変える覚悟はしてるのに戦う覚悟はない訳? 戦争もしたくないなんて、私はそんな甘っちょろいことは考えてないわ」
「確かに全ての戦争を避けるというのは理想論だ。だが、理想論を振りかざして起こした戦争の行きつく先に、誰かが思い描いたような理想はない。それに……俺は君たちが傷つくのが怖くなってしまった」
「ジュンキさんは優しいですから」
「エゴを他人に押し付けるしかできない人間は優しくなんてない。……でも、ありがとう、リーカ」
俺たちは到着したグランペの集団を迎えに行った。エアスの報告通り二十人ほどしか居なかったが、彼女たちは高い身体能力を持ち特殊な能力を使役することができる。戦力として見れば国家転覆くらい可能だろう。
俺は一人ずつ彼女たちと対話していった。名前、能力、アルベルトの呼びかけに応じた理由、それらを聞き出していった。そして彼女たちを三つのグループに分けた。
「この三つのチームをシルトチーム、エアスチーム、ミザリーチームとする。君たちは別々に分かれてグランペを統率してくれ」
「ボ、ボボ、ボクもですか!?」
「ということは、ジュンキとも別行動するってことね……どうして?」
「折角お姉ちゃんと会えたのに……」
「ごめん……!! 俺の能力でここまでの数の人間は指揮できないんだ。それに……皇帝が居るあの島には俺とリーカの二人しか行けないからな。それまでの間に何かがあったときのための措置と思ってほしい。後、しばらくは俺が借りている家で身を潜めてもらう。……シルト、エアスと語り合う時間は意外とあるかもしれないぞ」
そして小隊規模まで膨れ上がったグランペの一団を、この街に来た時に借りたセーフティーハウスに案内した。さすがに人数が多いと狭そうだったが、無駄に広い貸家だったおかげで助かった。三人のリーダーに各グランペの能力を伝え、リーカを待たせていた浜辺に向かった。
フェランのゴール取り消し(オフサイド認定)に、「一点くらい取れないのか君は!」はブチギレていたら、急に体調が悪化・・・熱を測ったら38度ありました
今は37度台に落ち着きましたが、仕事を休んで将棋指してましたね、さっきまで
体調悪かったのもあって前回ちょっとアレな部分あったかもしれないですけど、とりあえず一区切りするまで書き続けることにします




