病巣の正体
街の中から水道管を辿っていくと、ミノ川の近辺にある巨大な施設に辿り着いた。どうやらこの貯水槽を分岐点として、各地に水を送り込んでいるようだった。そして、そこにはどこかで見覚えのある顔を目にする。
「また会ったね、異世界の怪人くん。シルトちゃんもあんだけ痛みつけたのに、もう元気そうじゃないか。いやぁ、よかったよかった」
「お前は……!!??」
「審問官、なんであんたがここに……!?」
そこに居たのは、俺が港町で葬り去ったはずの審問官だった。彼女は不敵に笑みを浮かべ、貯水槽の縁に座ってこちらを見下ろしていた。俺たちは仮面を外し、その姿が紛れもない彼女であることを再確認した。
「どうして……あのとき、確かにジュンキさんがあなたを倒すところを、しっかりと見たはずなのに……」
「だから言ったじゃないか。世界に歪みがあり続ける限り、私は蘇るとね」
「何者なんだ、君は……!!」
「私の正体を誰も知らないように、君の存在もこの世界にとってイレギュラーだと思うんだがね」
あの時は平静を失って気付かなかったが、どうやら彼女は俺が異世界から来たことも、元の世界での正体さえも知っているようだった。その瞳には虚無を灯し、何もかもを見透かしているようにも見えた。
審問官が何者で、何をどこからどこまで知っているのか、聞きたいことはいくらでもあったが、それよりも確認すべきことがあった。
「君は一体、ここで何をしているんだ」
「ちょっと身体に悪いものを流しているだけだよ。大丈夫、すぐには死にはしない」
「それってその内死人が出るってこと?」
「勿論、そうだよ。でもそうなる前に君たちが気付いた。まぁ、仮に君たちが来なくても、いつかは誰かが気付いていただろうさ」
リーカはいつの間にか大剣を携え、彼女に対峙している。
「ジュンキさん。この人は放っておいちゃいけないと思います。なんだか悪い予感がするんです」
「あぁ、そうだな……」
俺も戦闘準備に入る。その構えを見て、審問官は立ち上がった。その立ち姿からは戦闘の意思を一切感じなかった。
「逃げるのか? 卑怯者だな、審問官」
「そうだね。ここは退かせてもらうとするよ。では、また会おうじゃないか、異世界の怪人、ジュンキ」
「待ちなさい……ッ!!」
シルトは身体に隠し持った木材から短剣を作り出し、審問官に投擲した。しかし、短剣は空中を切り裂き虚空へと消えていった。
「な……!?」
そこに審問官の姿は無かった。どこかに逃げ去った痕跡も無く、最初からそこに居なかったかのようにも見えた。それからどこを探しても彼女の姿は見当たらず、狐に化かされたような気分になった。
「まるで手品だな……。何から何まで、分からない奴だ」
「これからどうするの?」
「さすがに俺たちが治安当局───いや、衛兵たちに報告しにいく訳にはいかないからな。まずは商業ギルドに報告して、その伝手で何とかしてもらう」
「街の皆さんは大丈夫でしょうか?」
「俺の見立てが正しければ、アイツの目的は殺戮ではないはずだ。……問題は、その本当の目的とやらが全く分からないというところだが」
俺たちはまた仮面を被って、商業ギルドに事の顛末を説明した。すると、【新世界】の構成員が報告を聞き終えたタイミングを計ったように、別の職員が個室に乱入してきた。
「街中で変な噂が出回っています!! グランペたちが反乱を起こし、この街のグランペも水道に毒を撒いたという噂が広がって……今、街ではグランペ探しが始まって、恐慌状態に陥った市民が子供を嬲り殺すような事件まで発生しています!!」
「……は?」
「ジュンキ様、残念ながら何者かに先手を打たれたようです。……収拾はつきそうにありません。お二人を連れてこの街を脱出した方が良いかと」
冷や汗が額を伝い、脳が一時的に機能を停止する。はっきり言って、何が起こっているのか分からない。ただ一つ分かることは、俺たちが今、大きな歪んだ渦の中に吸い込まれて行っているということだけだった。
これ書き始めた時、細川3ランで4点差になってウキウキしてたのにその直後のイニングで3点取られたというタイミングです。胃が痛い
あっ、逆転された・・・4点リードが、1点ビハインドに・・・
乱打戦になってしまったね、でも同点に追いついて嬉しい
橋本戻ってきてくれて助かるよー
吉田くんも頑張ろう




