移動、会話、次の街へ
日が昇り始める少し前に、俺たちは起床した。いくら昨日の疲れが残ってるとはいえ、布一枚敷いただけの劣悪な環境で朝まで寝続けることは至難だった。もっとも、就寝した時間は日が沈んでから何時間も経っていたとも思えないので、睡眠時間自体は十分に取れたと信じたい。
「メリヤン、約束通り次の街に案内してほしいが……どれくらいかかるんだ?」
「馬車で二日ほど、ですかね?」
「馬車なんてないだろ……。徒歩ならもっと時間がかかりそうだな」
「いいえ? 馬車なら用意しています。ほら、あそこに……」
森林を抜けると、なんとそこには馬車があった。しかも御者は俺たちをこの街に導いた男だった。
「久しぶりさね、旅の人」
「……なるほど、監視下どころか俺たちは鼻からマーガレットの監視下にあった、ということか」
「さっきから話が読めないんだけど、あんたらどういう関係なの?」
そういえばシルトには俺とマーガレットの関係について話していなかった。馬車に乗り込んだ後、俺はシルトにこれまであった出来事を話した。俺と彼女は友人関係にあること、ロンドベル商会とコネクションがあること、秘密結社を立ち上げたこと───どうせメリヤンも全て知っているのだ。隠す必要はなかった。
「なんか、とんでもないことになってるのね……」
全くその通りで、この世界に来てからたった一カ月ほどでかなり波乱万丈な生活を送っているものだと感傷に浸った。
「リーカ、ライバルも多いけど頑張るのよ!!」
「……? は、はい!!」
とんでもないこと、の意味が俺の思ったものとは違ったようだ……。
「そういえばメリヤンはなんで他のグランペと違う服を着てるんだ?」
「大司教区内において、グランペは教会の所有物となっていますので。女神ヴェリオッタの加護を受けているといっても、マグヌス教に帰依している証として全ての生活様式を教会の法に則って生活しなければならないのです」
「大司教区のグランペは他の街に移動することは許可されているのか?」
「いいえ。ですが、他の帝国諸侯たちと違って我々には柔軟性がありますから」
思いの外、彼女は質問に答えてくれそうな雰囲気を醸し出していた。こちらの信用を得ようとしているのだろう。だが、話を聞けば聞くほどマーガレットとの直接的繋がりが見えない。彼女の発言は、あたかも大司教区からの指令で動いているように聞こえるのだ。
考えられる可能性は二つ、【新世界】のメンバーであることを偽ってマーガレットとの関係を匂わせていること自体が嘘で、実際は大司教区の偉い人から指示を受けてこちらの動向をコントロールしようとしている。或いはマーガレットが裏で大司教区と繋がっており、そのつ繋がりを仄めかせるだけに留めて詳細は隠匿しつつ、大筋を察しろという姿勢なのか、だ。無論、第三の可能性が出てくる可能性も否定はできないが、彼女からもたらされた情報ではその可能性は見えない。……思考さえ誘導されているのかとも思えるほどに。
その後もいくつか質問を投げかけたが、背後関係を絶妙にはぐらかせられ、俺はとりあえず彼女の持ってきた砂糖菓子でも口に入れることにした。
「……甘い、な」
疲労を取るために甘味をつまんでいると、今度はリーカがメリヤンに質問し始めた。
「メリヤンさんの契約……【ケガレ】を使う条件ってなんですか?」
「相手がグランペであることが条件、人間は癒せないという【契約】です」
契約……かつてリーカから聞いた話によると、グランペの能力の制約を指す言葉のようだ。リーカは人間の命を奪えず、グランペの命だけを奪える。シルトは無から何かを創造することはできず、原材料から構築物を生成することができる。そして、メリヤンの契約はグランペしか治療できないというもののようだった。
俺は口の中の菓子を奥歯で嚙み砕き、勢いよく水で流し込んだ。
「グランペの【ケガレ】とか【契約】とか、それって何時自覚するものなんだ?」
「そうね。産まれた時には既に……ううん、産まれる前に女神様からのお告げを聞くのよ」
「ヴェリオッタが……?」
「私もそうでした……!! 【断罪】の使い方も、産まれる前から知ってますっ」
「皮肉なことに、マグヌス教の下僕の私でさえ女神に謁見して産まれたのですから、他のグランペも同様でしょう」
そういえば、リーカも「女神様の加護」と言っていたことがある。つまり、グランペという存在は、ヴェリオッタが何らかの意図を持ってこの世界に介入している証拠に他ならない。だが、俺をこの世界に送り込むという選択をした以上、その企ても失敗に終わったと見ていいだろう。
「一体アイツは、彼女たちに何をさせようとしていた……?」
馬車は進む。うねる道を切り裂きながら。
ダービーで三連単的中しました
さすがに4万以上の払い戻しは初めてだからね、震えたよ
ドラゴンズの話に戻ると、宏斗が最近明らかに崩れてて心配なんですよね、かといって二軍に無期限調整に行かせたら二軍の先発陣が・・・アレなんで
昂弥は今めっちゃ良いんだから怪我だけは絶対にやらんといてくれよという思いで一杯です




