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癒しのメリヤン

───物音が近づいてくる。攻撃に備えて、こちらもじりじりとにじり寄る。人影がくっきりと見えるようになると、「彼女」は俺に馴染みなる言葉を言った。


「……善き隣人となれ」

「た、旅路に幸あらんことを……」


 【新世界】の合言葉を交わした彼女は、全身を白いドレスに身を包み、顔は白いベールで隠れていた。どうやって俺たちの隠れている場所が分かったのか不気味だが、敵意は感じない。警戒を怠るつもりはないが、臨戦態勢は解除する。


「……マーガレットの差し金か?」

「ええ。……わたくし、メリヤンと申します。マーガレット様からの命令で、ここに参りました」

「今のっぴきならない状況でな。できれば明日に備えて早く休みたいんだ。……要件は?」

「そう邪険にしなくてもいいのに。……私たちはジュンキ様、及びリーカ様とシルト様の撤退を支援します。それに、連絡事項も預かっているので、すぐには退けませんね」


 そう言って彼女は、俺たちが港町で購入しロンドベル商会に預けた品々の一部を取り出した。


「持ってきてくれたのか? 気持ちはありがたいが……シルトの脚の状態がまだ悪い。手荷物を増やす余裕はない」

「それは彼女を背負っていくから、ということですか? 大丈夫です。私が今からシルト様をすぐにでも歩ける身体にしますから」

「どういうことだ……?」


 言われるままにメリヤンを彼女たちの元に案内する。シルトは怪訝そうな顔でメリヤンを睨んだ。リーカもシルトを庇うように前に出た。俺は彼女に敵意が無いことを説明すると、メリヤンはシルトの傍らに膝をつくと、ずたずたになった彼女の脚に手を翳して、その言葉を唱えた。


「奏でられる福音の祝詞、読み解かれる清流のざわめき、汝我を試すなかれ……顕現せよ、我に力を与えたまえ───」


 それは間違いなく、グランペの【ケガレ】と呼ばれる能力を使役するときに唱える言葉だった。しかし、彼女はグランペ特有の服装を着ていない。


 メリヤンが手を翳した部分が淡く光り、見る見るうちに傷が癒えていく。シルトの顔色も徐々に良くなっているようだった。……体調が悪くてあれなら、これからもっと煩くなるのかもしれない。


「メリヤン、君は何者だ」

「お察しの通り、グランペですよ? ただ……私の所属は帝国ではなく、『サント・マティウス・マグヌス大司教区』なのです」

「だいしきょうく……?」

「大司教はマグヌス教の一番偉い人って意味ね。南部の四都市を統治するコンスティナ帝国随一の自治地区を大司教が治めているの」


 リーカは説明されたところでしっくりと来ていないようだったが、俺は違和感と不信感を仄かに持ち始めていた。


 まず、俺たちが港町に辿り着いたのははじまりの街から出発して一カ月後、ロンドベル商会に挨拶したのが昨日だった。頭の中に地図を思い浮かべてみると、ジャルヴァナ公国より離れた南部の都市から俺たちに追いつくのは不可能だ。或いは、海路を使って行けばより短い期間で南部から北部の港町に辿り着くことも可能かもしれないが……こちらが北の港町に向かうという情報が無ければ出港できないはずだ。


 つまり、メリヤンがここに来るためには「陸路ですぐ後ろを追いかけてきた」か「はじまりの街での計画を盗み聞きして、先に南部に向かってから海路で港町に辿り着く」という二つの手段が考えられる。無論、この世界にグランペという存在が居る以上、俺の理解が及ばない領域で不思議な力が働いた可能性も否定はできない。……しかし、彼女がただ一人俺たちの隠れている場所を見つけられたということは、こちらを「監視」している証拠に他ならなかった。


「メリヤン、君はどの組織の人間としてここに居る? 大司教区か? 商会か? 新世界か?」

「その全て、と言っておきましょうか。……疑い深い人ですね」

「悪いな。シルトの怪我を治してもらったのに。……でも分かるだろ、自分が十分に怪しい存在だってことくらい」

「そうですね……それでは、顔くらいは見せておきますか」


 彼女はそう言って、顔を覆っていたベールを取り外した。


───吸い込まれるような黒い瞳が妖しげに揺れる。艶やかな肌に相応な輪郭を持った顔立ちは、彼女を絶世の美女と称するには十分な要素だった。そう、まるで子供のように見えるリーカやシルトとは違って……。


「ぁいだっ……」


 痛みを感じて視線をメリヤンから逸らすと、シルトが脛を蹴り上げていた。……脚が治っていきなりすることが、歩くことや走ることではなく俺を蹴ることなのかと思った。


「見惚れるな!! あと、なんか私たちに失礼なこと思ったでしょ?」

「いや、そんな……いきなり蹴るなんて酷いぞ。なぁ、リーカ?」

「……むぅ」

「……リーカ?」


 リーカも何故か、不機嫌そうに頬を膨らませてこちらを睨んでいる。……理由は分からないが、分が悪いことだけは確かだった。


「うふふっ、仲がよろしいようで」

「今まさに悪くなってるような気もするが……そんなことより、連絡事項を預かってると言っていたな?」

「ジュンキ、こんな何も信用できない顔だけのヤツの話聞くの?」

「静かに。……どちらにせよ、聞かない選択肢はない、そうだろ?」

「当然ですね。ジュンキ様は監察官という者をご存じですか?」

「監察官……さっきのシルトの話にも出てきたような」

「グランペには各街に一人ずつ、監視する責任者が用意されているものなのよ。彼らの認可が無ければ私たちは街の中に入れないし、管轄外の土地に行くことも許されないわ」

「あっ、そういえば……」


 リーカは何かを思い出したようだ。


「忘れてました。……監察官の人が私の住んでる孤島に様子を見に来るのって、もうそろそろだった気が……」

「残念ながら、既にリーカ様の行方不明は監察官によって皇帝に報告されています。我々の力で捜索は妨害していますが……今のままなら一カ月以内に帝国領域内での行動が制限されるようになるでしょう」

「困ったな。もっと他の街も回ってグランペを仲間に引き入れておきたかったが……」


 メリヤンは微笑んで、明るい声色で次のように告げた。


「いえ、ジュンキ様のその計画自体必要ありませんよ。だって……もうすぐ全てが『終わり』ますから♪」

「それは……どういうことだ」

「マーガレット様からのサプライズプレゼント、とでも言っておきましょうか。それ以上のことを言う権限は私にはありませんから。……楽しみにしておいてくださいね」


 どことなく不穏な気配を感じながらも、それ以上に彼女を追求しないことにした。これ以上なんと問い詰めても無駄な気がしたからだ。


「まぁいい。そのマーガレットからのサプライズプレゼントがどんなものであれ、俺は他のグランペと交流を持ちたいし、帝国の街の様子も確かめておきたい。……制限時間までは計画通りに動くつもりだ」

「あら、そうですか。一応こちらの方で隠れ家を用意させていただいたのですが……」

「必要ない。……ただ、次の街への道案内はしてほしいかな」

「図々しいところも素敵です♪ わたくしは断りませんので、是非素敵なジュンキ様のお供をさせてください♪」

「お褒め頂き光栄だ。協力ありがとう、メリヤン」


 俺たちの会話を黙って後ろで聞いている二人の視線も痛いほど感じるので早く出発したい気持ちはあるが、今は深夜だ。今日はゆっくりと休むことにした。

尾田に牽制飛ぶの、怖すぎないですか?副音声の英智も走塁にちょっと困惑してるし

細川がチャンスで打てると打線が良い感じに機能してて、いいね・・・(語彙力)

お、尾田が初安打!?(相変わらず牽制の時のレフスタのざわめきおもろい)

なんか交流戦になってからドラゴンズ強くないですか?

某球審が際どいコースをボールって言うたびに「ノーチャーンス、アンパイアイズマナベサーン」って言うのにハマってます。

どらほ~~~~~!!(4連勝の叫び)

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