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世界の歪み

 聳え立つ巨塔の前に、衛兵が立ち塞がっていた。


「貴様ら、何しに来た!!」

「二人か……リーカ、やるぞ」

「はいっ!! 我の剣は、断罪の剣。穢れし罪人を祓う、贖罪の剣。……顕現せよ、我に力を与えたまえっ!!」


 リーカが詠唱すると、その手にはまたもや大剣が握られていた。


「な、何もない所から剣が……!? 貴様、グランペか!!」

「私の【断罪】の【ケガレ】は、グランペの魂だけを刈り取ります。普通の人の身体は切ることはできません。命も、奪えません。……でも、多分すごく痛い思いはすると思います」

「身体的な痛みならすぐに癒えるさ。それくらい我慢してもらおう」


 リーカはその大剣を構えながらも、驚くほどの速度で衛兵に詰め寄った。それに気を取られた片方の後ろから回り込み、速やかに締め落とした。


「ぐあーっ!?」

「う、うぐぐぅぅ……」


 彼らは忽ち意識を失い、地に平伏す。見た目はリーカの大剣の方が派手だが、俺の方が手加減できずに殺してしまいそうだ。だが、無駄な殺生は今後のためにも避けていきたいところではある。不殺を心がけて、それでいて警備にあたる連中には痛い目に遭ってもらおう。


 塔の中に入ると、そこはやはりあの市役所の窓口のような場所だった。……楽に最上階に上がる方法がないか、窓口のお姉さんに聞いてみよう。


「いきなり申し訳ない。上の階に昇るのって、あそこの階段だけか?」

「ひっ!? な、なんでっ、今日は窓口業務お休みってお知らせしてるのにっ……!!」

「休日出勤のところ本当に申し訳ないんだけど、質問に答えてくれるか?」

「あ、ありません!! 他の階段は、ありません!!」

「よし、分かった。行くぞリーカ」


 なんだか怖がらせてしまったようで、非常に申し訳ない気持ちになる。だが、俺たちは進まなければならない。それも、この勾配が急すぎる階段を上って、途中で配置されている衛兵も倒しながら、だ。


~~~中央塔・最上階~~~


───戦い、昇る。戦い、昇る。途中で倒した衛兵の数は八十人を数え、休む間もなく階段を駆け上がった。そして、俺たちは遂に、巨塔の最深部に到達した。その扉を開く前に聞こえてきたのは、酷く醜いうめき声だった。


「ひぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!?????」


 その声は、拷問を受けている時にしか出ないような、取り繕うことができない喉から絞り出した断末魔の絶叫だ。むせび泣くような嗚咽と怪物のような咆哮が交じり合ったようなしわがれた声が木魂し、耳を劈く感覚に襲われる。その声の持ち主は、俺の予想では───。


「シルト───ッ!!」


 扉を蹴破り、中に突入する。数十人の衛兵たちが一斉にこちらに視線を向ける。


「何者だっ!!」


 衛兵の一人が俺たちに向かってそう叫ぶ。だが、彼の言葉に耳を傾ける余裕など既に無かった。その、目の前の光景を見てしまったからだ。


「……お前ら、これが、【浄化】なのか?」


 部屋の最奥で、シルトは椅子に座らされていた。その椅子は───敢えて拷問椅子と呼ぼうか。拷問椅子は分娩台のようになっており、手すりに括りつけられた荒縄は両腕に痣が残るほどきつく結び付けられており、両脚は同様に、荒縄で固定されている。さらに、脚を閉じれないように両膝にはつっかえ棒のようなものまで固定されていた。その姿を審問官は「まじまじと」見ていた。


 さらに、拷問椅子上の彼女の姿は、凄惨そのものだった。見える範囲だけでも親指と中指が骨折・脱臼し、あらぬ方向に曲がっている。耳たぶは引きちぎられ、血を垂れ流し続けている。晒し物になった生足の大部分は腫れているか青白く染まっているかのどちらかだった。


 拷問椅子上の、彼女の股の辺りから赤黒い血がぽたぽたと流れる音を聞いた。小さい声で呻くように、「やめてください」「許してください」と懇願する声を聞いた。怒りに震え、破壊的な脈動を打つ自らの心臓の音が、聞こえた。


「ひ、酷いです……こんな、こんなこと……」


 リーカはわなわなと震えている。凄惨な光景に言葉を失ってしまったようで、その大剣を持つ手も揺れていた。


「───お前らにとっては、これが、【浄化】なのかと聞いているッ!!!!」


 俺は衛兵に飛び掛かり、目にもとまらぬ速度で手刀を繰り出した。


───ズゥン!!


 鈍い音が響いた。一人、壁に打ち付けられたのだろう。もしかしたらめり込んでいたり、塔の向こう側に落下して死亡しているかもしれない。だが、知ったこっちゃない。俺は、こんなことをする奴らを……絶対に許せない。


「敵は二人だ!! 一人ずつ囲んで殺せッ!!」

「!? させませんっ!!」


ブォン!!!


「ぐあああああああああ!!」


 リーカは大剣で衛兵たちを薙ぎ払い、俺を援護する。

 

 俺たちは彼らを一撃で仕留め、倒していく。そして残された「敵」はシルトの傍らで薄ら笑いを浮かべる女、ただ一人となった。彼女は俺たちに拍手を送り、称え始める。


「素晴らしい……!! 階段での消耗もあったろうに、これほどの護衛をたった二人で片付けてしまうとは……さすがは【断罪】のリーカと、異世界の怪人───ジュンキだ」

「……何者だ。何故俺が異世界から来たことを知っている」

「今の私はただの審問官、とでも言っておこうか。もっとも、私はこの世界に歪みがある限り、常にそこに存在し続けるがね」


 何を言っているのか分からない。彼女の言葉は意味深に聞こえる一方で、何も中身が伴っていないようにも感じた。存在そのものも空虚で、この場に存在しないような感覚さえ覚えた。


「あ、あの……シルトさんを解放してください」

「あぁ、それは無理だね。だって、まだまだ『遊び足りない』し……もっと目玉とか放り出してさ、さっき火かき棒でぐちゃぐちゃにした陰部に入れてみたら面白いと思ったからね、早く試したいんだ」

「……あ?」


 頭の中が真っ白になる。腹の中でぐるぐると、何かが蠢く感触に襲われる。脳に直接、声が聞こえてくる。残酷で非情な命令を、身体が実行する。


「殺せ……殺せ……殺せ……殺す……殺す……殺すッ───!!!!」


 全身の血が沸騰していくのを感じる。汗は蒸発し、脳は破壊と再生を繰り返す。筋繊維が過度な収縮と膨張を繰り返し、爆発的な速度で殺意を消化していく。


「フンッ!!」


 最初の一発は、単なる打撃に過ぎなかった。ボクシングのパンチのような洗練されたものではなく、空手の突きのような研ぎ澄まされた一芸でもない、ただの「打撃」だ。


「ゴガッ!?」


 その一撃で、審問官の肋骨が全て粉砕したのを感知した。心臓や肺にも骨の断片は突き刺さり、致命傷は免れないだろう。しかし、それでも攻撃の手は緩めない。


「ゴバッ!?」


───腹


「グゲッ!?」


───脚


「グガッ!?」


───顔


 一通り打撃でダメージを加え、ボロボロになって倒れた審問官の首を掴み、持ち上げる。


「自分の首の骨が折れる音を聞きながら───死ね」

「フ、フフフ……ハハハハハ……!!! 楽しめたよ、ジュンキ。また会おう!! 世界に歪みがあり続ける限り、私は蘇え───」


ゴキュッ、メキッ……ビシッ、パタッ……


 審問官の首は俺の手によってへし折られ、魂の抜け殻が床に転がった。それでも、俺の気は収まらなかった。


「まだ……まだだ。シルトの苦しみは、こんなもんじゃ……!!」

「ジュンキさん、やめてください!! もう、終わったんです……!!」

「あっ……」


 審問官の死体を破壊しつくそうとする俺をリーカが背後から、抱きしめるようにして止めた。いつの間にか俺は、彼女のことも目に入らないようになり、一人で残虐の限りを尽くそうとしてしまっていた。


「……これで分かっただろう。俺は、リーカに尊敬されたり好かれたりして良い人間じゃないんだ。自分勝手な怒りに身を任せて、なんでも無茶苦茶にしてしまう、そんな存在なんだ、俺は……!!」

「いいえ。ジュンキさんが何をあっても私を見捨てないように、私もジュンキさんのこと、何も分かっていなくても、全て分かってしまったとしても……全てを、受け止めます。だから───」


 リーカは、消え入るような声で、漏らした。


「全部、私に教えてくれても……いいじゃないですか……」


どらほー!本当に苦しい試合が続いたけど、ようやくドラゴンズの勝利が見れたよー!!!

松山に打球直撃してどうなるかと思ったけど、大丈夫そうで良かった~

吉田君も勝ちパターン入りで大出世、嬉しいね


もう少しドラゴンズ語りしましょう

今最も期待してる二軍選手は、篠崎です。中継ぎ投手が心配なので、彼が一軍で通用するかで結構今シーズン流れ変わると思います

育成の井上くんも支配下登録ありそうな気がします(コントロールが心配ですが、投げてるボールは本物です)



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