港町の中へ
さすがに活気あり発展している街ということもあってか、入口で門番に止められた。名前と出身地、職業などを記帳する必要があるらしい。また、身体に武器を仕込んでいないかも入念に調べられた。
「それにしても、この城門はなんだ、巨人でも通るのか……?」
「旅客さん、アイディーナは初めてですよね。この門は唯一の出入り口で、物資の運搬にも使いますから……あっ、やべちょうど来ちゃっ……いましたね」
門番は街の方から進んでくる八頭立ての馬車を見ると、急いで作業を進めた。
「凄い荷馬車だ……」
「……よし、終わりましたっ!! ジュンキ、リーカ、両名通ってよし!!」
俺たちは巨大な城門をくぐり、港町に足を踏み入れた。
「お、おぉ……!?」
「ジュンキさんっ、凄いっ、凄いですっ……!!」
目の前に聳え立っていたのは、巨大な塔だった。現代世界の高層ビルを見ているようだった。
「階段で上まで登るのはキツそうだな」
そんなことを考えながら、巨塔に入る。事前に調べた情報によるとこの塔は役所で、観光案内所で、兵舎で、監視塔らしい。どうやら陸上の土地が限られている影響で、街の機能のほとんどを一か所に集約したらしい。商港と軍港の機能を併せ持つアイディーナだが、その心臓部は間違いなくこの巨塔なのだろう。
一階には受付があるようで、現代の市役所のように席が横並びして置いてあった。その一つ一つの対面に受付嬢が座っているようだ。
「整理券は……必要ないのか。とりあえず席につくか」
「ようこそ、アイディーナへ。ご用件はなんですか?」
受付嬢の応対もかなり現代的で、張り付いたような笑顔を浮かべる様はまさにサービス業といったところだろう。
「舟を出してほしい。一旦商業ギルドの会館に寄って、宿屋に泊まりたい」
「かしこまりました。宿屋のグレードやオプションに要望はありますか?」
俺は横で呆然と立ち尽くすリーカに目をやった。フリフリな衣装に身を包んでいるおかげで可愛く見えるが、大きく口を開けてボケッとしているのはお嬢様らしくない。……やはりこの設定は無理があるようだ。
「この横に居る───お嬢さんと泊まるから二人用の部屋さえ用意してくれれば助かるな。最高級でなくともいいが長旅で疲れたから程よい価格帯の場所に泊まりたい」
「───お舟の代金や手数料も含めて、価格はこのようになっております」
見積書が出される。当然安くはなかったが、手持ちの金を考えれば大したことも無い金額でもあった。
「よろしく頼む」
「では、こちらへ……」
俺たちは彼女に案内されるまま、受付の奥へと進んでいった。最奥の扉を開けると、そこには水路の入り口があった。さらに、数十艇の舟が浮かんでおり、それに対応するだけの船頭と舵取りも待機しているようだった。
「では、良い旅を」
小舟の一つに乗せられて、俺たちは出立した。




