表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

8話 ~乗り掛かった舟~

 


 電話を終えた真利亜がリビングに戻って来ると、その顔に弾んだ微笑みを浮かべて言った。


「お母さんに話したらね、フレイヤの宝飾品にすごく興味を持っていて、これから急いで日本に戻って来るって言ってたわ!」


「……買って、くれますか?」


 フレイヤはすがるような、けれどどこか怯えるような声で尋ねた。真利亜は力強く頷く。


「うん。どれくらいの値段になるかは、まだ私も想像は付かないけれど、ある程度の量のきんを買うことは出来ると思う」


「ありがとうございます……! 金があれば、私の国が魔物から救われます」


 フレイヤの表情に、ようやく張り詰めていた緊張が解け、大きな安堵が広がった。真利亜は言葉を続ける。


「ただ、色々と向こうでの片付けや準備をしなくちゃいけない事があるから、こっちに到着するのは三日後くらいになるんだって」


「三日後、ですか………」


「その間は、知り合いのツテに頼んで、いつでも金を融通してもらえるように準備しておくって言ってたわ。日本だとね、沢山の金を買うためには法律でいろいろと手続きが必要なの。前もってそれをやっておけば、鑑定が終わったらすぐに金と交換することが出来るようになるからね」


「分かりました。そこまでしていただいて……本当に、助けてくれて、ありがとうございます」


 椅子から立ち上がったフレイヤは、まだ不慣れなたどたどしい言葉の後に、深々と頭を下げた。その一連の動作は、ただ頭を下げるのとは違う、指先の角度に至るまで徹底して洗練されたものだった。それは彼女が異世界において、相応に高い身分や立場にいることを容易に想像させた。


「そんな、気にしないで! ね、兄さん」


 真利亜が話を振ると、それまで静かに聞いていた招福まねふくが、いつも通りの平坦な声で応じた。


「ああ。乗り掛かった舟というやつだ」


「のりかかった、ふね……?」


 初めて聞く言葉に、フレイヤは小首を傾げた。


「それはね……」


 招福がその言葉の意味を、分かりやすく噛み砕いて説明し始める。その静かな語り口を、フレイヤは熱心に耳を傾けて聞いていた。






最後まで読んでいただきありがとうございました。


「ブックマーク」と「いいね」を頂ければ大層喜びます。


評価を頂ければさらに喜びます。


☆5なら踊ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ