表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

15話

 


「んー、ファンタスティコ!」


 リビングのテーブルいっぱいに広げられた、異世界のいくつもの宝飾品。


 その中の一つである美しいカメオを、ルーペを片手にじっくりと覗き込むたびに、母である日葵ひまりは弾んだ声を上げて感嘆した。


「すばらしい……! 本当に、なんて素晴らしいのかしら。真利亜まりあが送ってくれた写真でも凄さは分かっていたけれど、やっぱり現物の放つオーラは桁違いに良いわね! ああ、仕事を放り出してでも、今すぐ日本に帰国して来て本当に大正解だったわ!」


 日葵はルーペを置くと、息を呑んで成り行きを見守っていたフレイヤの元へと歩み寄り、その白く細い両手をきゅっと温かく握りしめて微笑んだ。


「素晴らしいものを見せてくれて、本当にありがとう、フレイヤちゃん」


「いえ、どういたしまして」


「すごーい!日本語が本当に上手ね。発音が自然だもの、よっぽど勉強したんでしょうね」


「いえいえ、それほどでも………」


 フレイヤは赤らめた顔を左右に振った。


「全部でいくらになりそうなの?」


「あ、それ私もすっごく気になってた」


 招福まねふく真利亜まりあの素朴な問いかけに、日葵は首を少し傾げ、しばらく熱心に計算するように考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。


「詳しく細部まで調べてみないと何とも言えないけれど……今の段階で言えるのは、そうね。この十五個で『千五百万円』くらいの値段は付けても良いと思っているわ」


「へー、っていうことは、一つ平均で百万円くらいって計算なんだね」


「まあそうね」


 招福の言葉に日葵は頷いたが、すぐにプロの顔になって小さくため息をついた。


「でもね、正直に言ってしまえば『値段なんか付けられない』というのが本当のところなのよ。普通のアンティークだったら、過去のオークションの取引金額なんかを参考に相場を決めればいいんだけど、異世界の宝飾品なんてこの地球上に今までに存在しないんだから。参考にすべきベースの価格がどこにも無いのよね」


「なるほど………」


「フレイヤちゃんは、この代金の代わりに現物の『きん』が欲しいのよね?」


「はい、その通りです」


 日葵の確認に、フレイヤは緊張しながらも真っ直ぐに頷いた。


「だったら、とりあえず今から私の会社に行きましょうか。日本に戻ってくる直前に、巌頭がんとうさんには連絡を入れておいたから、もう金の用意は出来ているはずよ。あそこなら専用の鑑定機械もあるから、もっと精密な査定ができるしね」


「緊張します」


「大丈夫、ちょっと見ただけだけど、ある程度の量の金は渡せると思うわ」


 フレイヤの表情が少し和らいだ。


 こうして一行は、日葵が共同経営者を務めるアンティークジュエリー専門店『グリーンランド』へと向かうことになった。





最後まで読んでいただきありがとうございました。


「ブックマーク」と「いいね」を頂ければ大層喜びます。


評価を頂ければさらに喜びます。


☆5なら踊ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ