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第18話 学園大運動会!妹、全競技制覇への道(地獄の兄道付き)」

晴れ渡る空の下、学園中が熱気と応援に包まれる中、運動会は幕を開けた――が、今年の様子はどうも普通じゃない。いや、正確に言えば「妹」が普通じゃないのだ。


「今年の開会宣言はこの私、霧島梓が――」

「はーい♡ 代わりに結衣がやりまーす♪」


マイク前にヌルッと現れたのは、我らが妹・城ヶ崎結衣。生徒会長の梓の口から「今世紀最大の不愉快」のような呻きが漏れる中、結衣は笑顔で言い放つ。


「皆さん、今日は私の大切な兄さんも出場していますので、命を大事に楽しみましょうね♡ 兄さんにうっかり触ったら……ふふふ、あとは察してください♡」


開会早々、観客席が静まり返った。誰もが思った。「今年も地獄が始まる」と。


第1種目、徒競走。

スタートの合図と同時に、結衣の姿が消える。観客が「え?」と目をこする間に、ゴール地点でスキップしながら手を振る結衣。タイム、3.2秒。実況席がざわついた。


「人間やめてんのかアイツ……」

「うん……でも可愛いからいいかも……」

「待て、それは思考の敗北だ!!」


次の障害物競走。難解な数学問題と跳び箱が組み合わさった超難関種目。しかし、結衣は問題をチラ見しただけで回答し、跳び箱を“踏まずに”飛び越えた。助走なし。浮いてた。重力仕事しろ。


その次の借り物競走――


「『世界でいちばん尊いもの』って……うふふ♡」

そう言って結衣が持ってきたのは、兄・春。無理やり手を引かれ、全速力で走らされた彼の目は死んでいた。


「借り物っていうか、俺、拉致されてない!?」


春の見せ場は、唯一のチャンス・玉入れ。誠実に玉を拾い、入れて、また拾ってを繰り返す姿に、周囲から応援の声が上がりはじめたそのとき――


「兄さん♡ 落ちた玉、私が全部キャッチして再利用しておきました♡」


「お前の善意がルールを殺したああああ!!!」


そして迎えるは最終種目――水上騎馬戦(※学園名物)。紅組大将・城ヶ崎結衣、白組大将・霧島梓。水上に浮かぶ足場の上、学園最強のふたりが対峙する。


「今日は正々堂々勝負してあげるわ」

「はい♡ 正面から全員まとめて水没させます♡」


合図と同時に動いたのは――結衣。いや、もう、動き方が戦車だった。馬役3人を引き連れて猛突進し、波しぶきを上げて敵軍をなぎ倒すその様子は、もはや競技じゃない。災害。

凛「結衣様、お加減を……」

春「もっと手加減しろォオオオ!!」

梓「うっ……この妹、常識が死んでる……!」


大将戦は結衣の突進により一撃決着。水面にぷかぷかと浮かぶ梓を見て、実況がつぶやいた。


「……生徒会長、ドロップアウト……」


閉会式、当然のように結衣は優勝メダルをすべて首にかけていた。春はその横で、顔面にタオルを被せられたまま虚空を見つめている。


「兄さん♡ 楽しかったね♪ また来年も出ようね♡」


「……俺、もう出たくない……」


学園一の運動会は、今年も無事、妹に蹂躙されて幕を閉じたのだった――。


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