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19/50

後日談 兄は疲労困憊だった。

「もうダメだ……筋肉痛というより骨痛……」


城ヶ崎家のリビングのソファで、春は保冷剤を抱えて倒れていた。

背中、肩、ふくらはぎ……全てが限界。いや、限界を超えていた。


そこに現れたのは――もちろん妹。


「兄さん♡ お風呂、湧いてますよ。今日は特別に“疲労回復バスソルト・プラチナver.”入れておきました!」

「どこで仕入れた!?」


「ドバイの王族専用通販サイトです♡」

「どんなルート持ってんの!?」



一方その頃――


◆学園・生徒会室


梓は、びしょ濡れになった髪を乾かしながら、黙々と議事録をまとめていた。

水上騎馬戦の。


「……これ、本当に公式行事じゃないのに、なんで生徒会が議事録つけてんのよ……」


副会長の凛がすかさず微笑む。


「梓さまが“反省文出すから書記を任せる”って言ったので♡」

「……私、そんなこと言ってない」


「言葉にしなくても、目が語ってました♡」

「怖い!」


梓は机に突っ伏して叫んだ。


「……ぜったい、あの兄妹、学園から追い出してやる……」

(※なお、内心ではちょっとだけ楽しんでた)



◆その後、兄の部屋


「兄さん……今日はお疲れ様でした♡」

「いやほんと、もう二度と水上戦とかやりたくないからな……」


「え? じゃあ次回の“兄さん争奪・無重力バンジー綱引き”は中止ですか?」


「やらせる気だったの!?」



春は、この日を境に、妹の思いつく“イベント”には常に警戒するようになった。


だが同時に――


(……まあ、結衣が楽しそうなら、いいか……)


と、こっそり思ってしまった自分に対しても、ちゃんと自己嫌悪した。


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