Chapter7 再び示すもの
昨夜、白いネフィルの計らいで、村の外れにある空き家を一晩借りた。
小さな石造りの家だった。
ルティスは窓辺に立ち、薄い霧に包まれたINTERISの村を眺めていた。
INTERISの空には、朝も夜もなかった。
淡い光を含んだ霧が、巨大な木々の間をゆっくりと流れている。
それでも村は目を覚ます。
石造りの道をネフィルたちが歩き、家々から細い煙が立ち昇る。
ルティスは窓辺に立ち、その景色を眺めていた。
三つの世界が壊れ始めている。
昨夜聞いた言葉が、まだ頭に残っている。
TERRA。
ASTRA。
そして、INTERIS。
原因は分からない。
どうすれば止められるのかも分からない。
八年前から続いていた境界の問題とは、何かが違う。
境界を閉じればいい。
そんな単純な話では、もうないらしい。
ルティスは胸元へ手を伸ばした。
指先に触れたのは、古いペンダント。
宝玉を探す旅で、何度も自分たちを導いたもの。
全てを集め終えてから、ほとんど意識することもなくなっていた。
「……?」
ルティスの指が止まる。
僅かな熱。
気のせいかと思った。
だがペンダントの一部に、淡い光が宿っている。
「……どうして」
「何が?」
背後から声がして、ルティスは振り返った。
ミナが立っていた。
まだ少し眠そうな顔をしている。
「これ」
ルティスがペンダントを見せる。
ミナの眠気が飛んだ。
「それ……光ってる?」
「うん」
「でも……」
ミナはすぐに気づいた。
「宝玉って、もう全部見つけたよね?」
「えぇ」
「じゃあ、何に反応してるの?」
「分からない」
扉が開いた。
「朝から何してる?」
カイルだった。
ルティスの掌を見て、眉を寄せる。
「そいつ……動いてるのか?」
「……反応は弱いけど」
導きの役目は終わった。
ずっと、そう思っていた。
けれどペンダントは確かに何かを示している。
ルティスは窓の外へ目を向けた。
人の世界がある方角へ。
「俺に聞かれても知らねえよ」
ポップは朝食のパンを齧りながら言った。
人の姿――ネフィルの姿になった彼の前には、木の杯が置かれている。
中身を見たミナが顔をしかめた。
「朝からエール?」
「何が悪い」
「普通に悪いと思う」
「狭間に朝も夜もあるか」
「朝食にエールはないでしょ」
「ほっとけ」
カイルが二人を無視して、テーブルの上のペンダントを見る。
「昨日の石の輪が原因ってことはないのか?」
ポップの手が止まった。
「あり得なくはねえな」
「もう一度行ってみる?」
ミナが言う。
ルティスはペンダントを手に取った。
「行ってみたい」
「決まりだな」
カイルが立つ。
ポップがため息をついた。
「お前ら、人の村に来た翌朝くらいゆっくりできねえのか」
「ポップは来なくてもいいよ」
ミナが言う。
「行くに決まってんだろ!」
「なんで?」
「監視だ!」
「あ、そうだった」
ミナが笑う。
ルティスも僅かに口元を緩めた。
だが、胸元のペンダントは静かに光り続けていた。
村外れ。
巨大な木々の間に、古い石の輪が立っている。
昨日と変わらない。
その周囲だけ、世界の境目が曖昧だった。
TERRAにある草。
INTERISに咲く淡く光る花。
そして少し離れた場所には、紫色の霧の中にASTRAの植物が混じっている。
三つの世界が、同じ場所に存在している。
ルティスは石の輪へ近づいた。
ペンダントを握る。
だが。
「……違う」
「何が?」
カイルが訊く。
「ここじゃない」
ルティスは石の輪を通り越し、その向こうへ目を向けた。
「もっと遠い」
「ASTRA?」
ミナが訊く。
「分からない。でも……」
ペンダントを少し動かす。
光の強さが変わる。
「私たちの世界だと思う」
ポップが腕を組んだ。
「また何か探してんのか?」
「でも、宝玉は全部ある」
「なら別の何かだろ」
簡単に言われて、ルティスは黙った。
別の何か。
それが分からない。
カイルがルティスを見る。
「宝玉を近づけてみたらどうだ?」
「宝玉を?」
「元々そいつは、宝玉に反応してたんだろ」
「……そうだね」
ルティスは荷物から宝玉を取り出した。
一つずつ。
ペンダントへ近づけていく。
Aqua。
大きな変化はない。
Gaia。
同じ。
Aeris。
変わらない。
Volt。
変化なし。
Lumia。
やはり何も起こらない。
そしてIgnis。
近づけた瞬間。
赤い光が走った。
「……!」
ルティスが息を呑む。
ペンダントが強く脈打つ。
一度。
二度。
三度。
赤い光。
まるで――。
「……どこかに行きたがってるみたい」
ミナが呟いた。
誰も答えなかった。
Ignisを離す。
光が弱まる。
もう一度近づける。
また脈打つ。
「ビンゴだな」
カイルが言った。
ルティスはIgnisを見つめる。
炎の宝玉。
何かを求めるように、赤い光を放っている。
「じゃあ……Umbraは?」
ミナが訊いた。
ルティスは答えなかった。
胸元へ手を当てる。
Umbraはもうずっと前からルティスの中にある。
その属性に対応していたペンダントの部分だけは――
最初から光っていなかった。
色もなく役目を失ったように、ただ、静かに沈んでいる。
「……ここだけ、変だね」
ミナが覗き込む。
「宝玉は私の中にあるから?」
ルティスは指先で胸元に触れた。
胸の奥には、確かにUmbraの気配があった。
「Ignisが示してるなら」
カイルが言った。
「調べる価値はあるな」
「うん」
ルティスは頷いた。
「行ってみる」
ポップが顔をしかめる。
「何があるかも分からねえのに?」
「だから行く」
「……お前、結構無茶するタイプだな」
「何言っても無駄だから、諦めろよ」
カイルが言う。
「お前も苦労してんだな」
ポップとカイルが妙なところで頷き合った。
「何?」
「何でもない」
二人が同時に答えた。
ルティスたちはTERRAへと戻って来た。
森を抜けた時、ミナが大きく息を吸った。
「……なんか落ち着く」
「そんなに違うか?」
黒猫の姿に戻ったポップが足元から訊く。
「違うよ。空が青いもん」
「狭間の空だって悪くねえだろ」
「綺麗だけどね」
「だろ?」
「でもやっぱり住み慣れた世界が一番!」
「お前、狭間の村に住みたいって言ってなかったか?」
ルティスは二人のやり取りを聞きながら歩く。
ペンダントの反応は続いている。
森を抜け、街道へ出ても反応は変わらなかった。
ペンダントは、北西を示している。
そのまま歩き続け――昼を過ぎた頃だった。
「……あれ」
ミナが足を止めた。
街道の先。
一人の男が歩いてくる。
黒い外套。
風に揺れる銀色の髪。
その姿を見た瞬間、ルティスも足を止めた。
見間違えるはずがない。
けれど、こんなところで会うとは思っていなかった。
「……ノア」
小さく、その名が漏れる。
ミナが目を凝らす。
男もこちらに気づいたのか足を止める。
紫色の瞳が、ルティスを捉えた。
次にカイル。
ミナ。
ほんの僅かに、その目が見開かれる。
だが、それも一瞬だった。
「……ほう」
懐かしむでもない。
驚きを口にするでもない。
まるで昨日別れたばかりのような顔だった。
境界を閉じたあの日から、姿を一度も見ていなかった。
どこへ行ったのか、何をしているのか。
ルティスたちは知らなかった。
ノアもまた、ルティスたちがこの三か月をどう過ごしていたのか知らないはずだった。
数歩分の距離を残して、両者が立ち止まる。
短い沈黙。
最初にそれを壊したのは――やはりミナだった。
「ノアさん!」
ぱっと表情を明るくして、大きく両手を振る。
「久しぶり!」
ノアの眉が僅かに上がった。
「……なんで嬉しそうなんだ?」
「だって三か月ぶりですよ!」
「三か月程度だろ」
「三か月も、です!」
カイルがその様子を横目で見ながら、ルティスへ少し身を寄せる。
「なぁ」
「何?」
「……あいつら、そんな仲良かったか?」
「知らない」
ルティスは無表情で答えた。
「お前ももう少し何かないのか。三か月ぶりだぞ」
「別に」
「冷たいな」
その声が聞こえたのか、ノアがルティスを見る。
「お前は相変わらずだな」
「あなたもね」
そこで会話が途切れる。
ノアが三人を順番に見た。
「まあ――」
僅かに口元を上げる。
「相変わらずの御一行か」
そのときノアの視線が、ふと下へ落ちた。
ルティスたちの足元。
そこにいる、見覚えのない黒猫。
赤い布。
金色の鈴。
そして、自分を睨んでいる二つの金色の目。
「……」
ノアが首を傾げた。
「猫?」
「猫じゃねえ」
「……」
ノアが黙った。
目を細める。
もう一度、黒猫を見る。
「……口をきく猫?」
「だから猫じゃねえ!」
「猫にしか見えないが」
「ネフィルだ!」
「何だそれ」
「お前、さっきから失礼だな!」
ノアはポップをしばらく眺めたあと、ルティスへ視線を戻した。
「……猫の手でも借りたかったってことか?」
「言い方に棘があるわね」
「監視役だ!」
「余計に分からんな」
ノアは少しだけ興味を示したが、すぐにルティスへ視線を戻した。
正確にはルティスの胸元へ。
「それ」
「何?」
「まだ持ってたのか」
ペンダント。
「えぇ」
「……光ってるな」
「今朝から」
ノアの表情が変わった。
「今朝?」
「宝玉は全部見つけたのに」
「見せろ」
「嫌」
「見るだけだ」
「そこから見て」
「……相変わらず信用がないな」
「あると思ってた?」
ポップがカイルを見上げる。
「本当に知り合いか?」
「一応」
カイルが眉を寄せた。
ルティスは構わず訊いた。
「あなたは何してたの?」
「変わってないさ」
「神の力?」
ノアは隠しもせずに答える。
「ああ」
「まだ探してるんだ」
「当然だ」
「三か月ずっと?」
「それだけじゃない」
ノアは街道の先を見る。
「妙な場所が増えてる」
「妙な場所?」
「前日までなかった道がある。森を抜けたら、まったく別の場所に出る。何もない空間に、一瞬だけ知らない景色が見えることもある」
ルティスたちは顔を見合わせた。
ポップがノアを見る。
「いつからだ?」
「はっきり増え始めたのは最近だ」
「三か月前からじゃねえのか?」
「……なぜ?」
今度はノアがポップを見る。
「狭間でも起きてるからだ」
「狭間?」
「人の世界とASTRAの間にある場所だ」
ノアの目が細くなる。
「そんな場所があるのか」
「あぁ、この人の世界、ASTRA、狭間の三つの世界が壊れ始めてる」
ノアは黙った。
驚いている。
だが、恐れてはいなかった。
むしろ――。
その瞳の奥に、別の光が宿った。
「……なるほど」
「何?」
「いや」
僅かに笑う。
「面白くなってきた」
ルティスの表情が曇る。
「世界が壊れてるんだよ」
「分かってる」
「なら何が面白いの?」
「閉じていたものが壊れれば、今まで行けなかった場所へ行ける」
ルティスはすぐに分かった。
「ASTRA」
「ああ」
「その先に神の力があると思ってる?」
「あると思ってるんじゃない」
ノアはルティスを見る。
「手に入れに行くんだ」
変わっていない。
ルティスはそう思った。
ノアはずっと、同じものを見ている。
日が傾き始める前に、一行は街道を外れた。
小さな林の中で休む。
ノアもあれから別れようとはしない。
我々に情報があると睨んでいるのだろう。
「なあ」
ポップがルティスへ小声で訊いた。
「あいつ、信用していいのか?」
「駄目」
「聞こえてるぞ」
ノアが言う。
「聞こえるように言った」
「お前、前より性格悪くなってないか?」
「誰のせい?」
「俺じゃないだろ」
ルティスは返事をしなかった。
ミナが苦笑する。
カイルは慣れた様子で焚き火の準備をしている。
「で」
ノアが言った。
「そのペンダント、何に反応してる?」
「分からない」
「宝玉には?」
「試した」
「結果は?」
ルティスはIgnisを取り出した。
ノアの視線がそこへ落ちる。
ペンダントへ近づける。
赤い光。
一度。
二度。
三度。
ノアの目が僅かに見開かれた。
「……Ignisか」
「これだけ反応が違う」
ルティスは離す。
光が弱まる。
「他は?」
「ほとんど何も」
「Umbraは?」
ルティスが胸元へ手を置く。
「ここ」
「ああ」
ノアはペンダントを見る。
Umbraに対応していた部分。
色を失い、光もない。
「ここだけ、最初から何も反応しない」
ルティスが言う。
「考えられることは一つね」
「あぁ」
ノアは即答した。
「そうだろうな」
ノアはルティスの胸元を指した。
「すでにお前の中にあるからな」
ルティスは黙る。
「Umbraを探す必要も、お前のところまで導く必要もない」
ノアは色褪せた部分を見る。
「こいつにとっては、もう用済みなんだろ」
「やっぱりそう考えるのが普通よね……」
ルティスが呟く。
そして再びIgnisを見る。
「……なるほどな」
「何?」
「このペンダント」
ノアは少し考える。
「宝玉そのものを探してたわけじゃないのかもしれない」
「じゃあ、何を?」
「行くべき場所だ」
カイルが顔を上げる。
「行くべき場所?」
「Umbraがいい証拠だ」
ノアが言う。
「お前と結びついたのが、八年前。その時からすでに役目を終えてる」
「……」
「ならこいつは最初から、宝玉を拾い集めるためだけの道具じゃなかった可能性がある」
ノアの視線がIgnisへ移る。
「宝玉を、あるべき場所へ導いてる」
ミナが首を傾げる。
「あるべき場所って?」
ノアが笑った。
「器」
ルティスの目が細くなる。
「……また、それ?」
「何だ」
「私やエレナをそう呼んでた」
「ああ」
ミナが眉を寄せた。
「やっぱりその呼び方嫌い」
「別に気に入ってもらう必要はない」
ミナはこれ以上反論するのを諦めた。
ノアはIgnisを見つめる。
「仮に俺の考えが正しいなら」
ノアはルティスの胸元のペンダントを指差して言った。
「Ignisは、まだ行くべき場所へ辿り着いてない」
ルティスは赤い宝玉を見る。
Ignis。
遠くにある何かへ。
呼びかけるように。
「……心当たりがあるの?」
ルティスが訊いた。
ノアはすぐには答えなかった。
Ignisを見る。
ペンダントを見る。
そして、その光が示す方角へ目を向けた。
「確証はない」
「何でもいい」
「三か月、色々調べてたって言っただろ」
「うん」
「妙な話をいくつか拾った」
「どんな?」
ノアは少しだけ笑った。
「死んでも死にきれてない亡霊に、心当たりがある」
ミナの顔が固まる。
「……亡霊?」
「ああ」
「幽霊ってこと?」
「さあな」
「さあなって……」
「俺も直接確かめたわけじゃない」
ルティスがノアを見る。
「何が妙なの?」
ノアはゆっくり口を開く。
「大火災に巻き込まれて死んだという奴がいる。治癒出来ないほどの致命傷だったらしい」
「なのに?」
「歩いてる」
カイルの手が止まった。
「人違いじゃないのか」
「どうかな」
ノアは続ける。
「飯を食わず、眠ることもない。まともに息をしてるかも怪しいって話だ」
ポップが耳を動かす。
「それで亡霊か」
「不気味な不老不死の噂さ」
「なんでそんな奴を調べてたの?」
ミナが訊く。
「普通じゃないからだ」
「それだけ?」
「普通じゃないものの近くには、普通じゃない力がある」
ノアの目が冷たくなる。
「神の力を探すなら、そういうものから当たるのは当然だろ」
「最後に目撃されたのは何処?」
ルティスが訊く。
「北西」
ルティスの目が動いた。
ペンダントを見る。
示している方向。
同じだった。
カイルも気づく。
「……出来すぎてるな」
「ああ」
ノアが言う。
「だから、俺も興味が出た」
「行くの?」
ミナが訊く。
「当然だ」
「私たちと?」
「目的地が同じなら問題ないだろ」
ルティスはノアを見る。
「私たちは世界を壊してる原因を知りたい」
「俺は違う」
「知ってる」
「なら話が早い」
ノアは立ち上がった。
「他に手掛かりがないんだろ?」
ルティスも立ち上がる。
ポップが大きくため息をついた。
「……面倒なのが増えた」
夜。
皆が眠りについた後も、ルティスは一人起きていた。
焚き火は小さくなっている。
掌にはペンダント。
そしてIgnis。
近づける。
赤い光が脈打つ。
ルティスは自分の胸へ手を当てた。
Umbra。
こちらは何も示さない。
ペンダントの一角も、色を失ったまま。
ノアの言葉を思い出す。
――すでにお前の中にあるからな。
宝玉を、あるべき場所へ。
「……器」
ルティスは小さく呟いた。
嫌いな言葉だった。
昔も。
今も。
自分が人ではなく、何かを入れるための物になったような響きがする。
それでも、もしIgnisの先に、本当に誰かがいるのなら。
会わなければならない。
三つの世界に起きていることと関係があるのなら、なおさら。
ルティスはIgnisを仕舞った。
少し離れた木の下、ノアが眠っている。
いや、眠っているのかどうかは分からない。
あの男が何を考えているのか。
それも昔から、よく分からない。
ただ一つだけ。
神の力を諦めていない。
それだけは、はっきりしていた。
ルティスたちから遠く離れた北西の町。
深夜。
人気のない石畳を、一人の青年が歩いていた。
二十歳ほどに見える。
灰を被ったような黒灰色の髪。
身に纏っているのは、煤で汚れた黒いロングコートだった。
裾には焼け焦げた跡が残り、裂けた箇所には何度も縫い直した跡がある。
腰にも、背にも、武器らしいものはない。
それだけなら、旅人に見えなくもなかった。
だが――。
肌が、異様なほど白い。
夜のせいではない。
生きた人間なら僅かに残るはずの血の色が、どこにもなかった。
唇は青紫色に冷え、目の下には深い影が落ちている。
何より奇妙なのは、歩いているのにほとんど息をしていないことだった。
青年が、不意に足を止める。
「……」
左胸へ手を当てた。
――ドクン。
黒いコートの奥で、赤い光が脈打った。
青年の眉が僅かに寄る。
もう一度。
――ドクン。
胸元から首筋へ。
焼けた皮膚に走る亀裂が、赤く浮かび上がる。
同時に、灰色の髪の先が炎の残り火のように淡く染まった。
「……またか」
青年は左胸を押さえたまま、低く呟いた。
「最近……うるさいな」
――ドクン。
三度目。
それは確かに、心臓の鼓動に聞こえた。
Chapter 7 ― 再び示すもの END




