大変そうだねアンタら
ペルシャ語もベンガル語もおそらくです。ペルシャ語に至ってはGoogle検索で勝手に出てくるAIでさえ出てきやがりませんでした。申し訳ありません。
クラカタウが噴火して南洋連合が対応している一方だ。第三共和制フランスが阮朝との戦いから発展して清朝との戦争になってた。大日本連合帝国的にはそれどころちゃう。
何がヤバいって津波のデカさと規模で周辺一帯に広がり十五目取とか言う頭のおかしい観測もあった。島の地形変わるレベルの衝撃が津波となって押し寄せたのだから人智の及ぶライン超越しとる。
そんな訳で南洋連合にバチボコ軍隊ブチ込んで所属国の救助復興を援助してた所にある国から使者がやって来た。
「関係の再構築ですか」
外交団の応対をした外務大臣の渋沢栄一が和やかに言う。
通訳が話せば使者は頷く。場所は大日本連合帝国日本州台湾道であり使者は姓を何、名を如璋、字を子峨。清朝からの使者だった。
大日本連合帝国的には地味に面倒な事になったって状況。
「その上で軍事顧問の派遣と技術供与を受けたい、と。それはグレート・ブリテンに頼んでみては如何でしょう。彼の国ならば快く受けてくれるでしょうから」
グレート・ブリテンの女王陛下が来日した時に大日本連合帝国はヌエバ・エスパーニャやヌエバ・グラナダの事と一緒に清朝に関して色々と取り決めたのだ。
日本海は朝鮮半島を、カリブ海は大アンティル諸島を、此処に手を出さない様にして緩衝地にしようって感じ。それは安全保障上の相談は早めに行うが経済的には手は伸ばさない形の物。互いの行動指針が決まったから相互商圏確認会談とでも言う二大帝国の報告会だった。
雑にいえばお互いに変なチョッカイかけ無い様にしようねって話で、直接じゃなくてお互いを通して交易しようってのが要綱。
要望の受け入れは取り決めを破る形になってしまいかねない訳だ。大日本連合帝国的には天秤にかけるって言うより投石器にかける様な物である。当然グレート・ブリテンが下がり清朝が城壁をブッ壊すレベルで飛んでく。
「ドイツ帝国に戦艦を発注した為に難しい」
通訳が言った。納得である。南洋海門海峡は金さえ払えば誰でも通る事を南洋連合および大日本連合帝国は認めている。しかし清朝や阮朝に向かう船はグレート・ブリテンを除くと基本的に南洋に入った先で南洋連合加盟国に入港拒否をされる。それは早い話が清朝と阮朝が仮想敵国だからだ。
ほんで通過後の寄港申請が無いドイツ帝国艦隊。その艦隊から南洋海門海峡の通過申請が来てた。
「寧ろ戦艦の購入は我等への威圧では?」
「否。矛先は西洋である。東洋の団結が為に」
「東洋の団結ですか」
無理じゃね? と意訳すれば思った。夷を以って夷を制すしかねぇ国の言葉。別に戦艦が脅威かって言われるとンな事は無い。無いが大日本連合帝国はポテンシャルってもんを見誤る気は無かった。
大日本連合帝国の認識的に明君と名臣の揃った時の中華はヤバい。まぁ言っちゃえば名臣は居ても明君は居なさそうだなって情報ばっかだが。それでも国交途絶し久しく又聞きの知識しか無いのだから油断はできない。
「申し訳ないが現在は南洋で起きた災害の対応で他に割ける余力が有りません。大使の交換であれば対応できますがそれ以上となると不可能です。当然ですが現在の戦争に関わる余裕もありません」
渋沢栄一は南洋連合の復興と経済発展の為に外務大臣になったのだ。ファッキン噴火の災害規模がヤバすぎてマジで清朝に構ってる余裕は無い。とは言え国交が断絶している国が関わりを持ったのは確かだった。
尚あたりめーだけどトンキン、アンナン、コーチシナのフランス領ベトナムの成立後の事である。加えて言えばグレート・ブリテンにもフランスにも使者が来た日には経緯を通達したんで清朝のケツ持ちはしていない。てゆーかやっぱ大日本連合帝国が後ろにいる感を出そうとしてたらしく油断も隙もできねぇなって感じ。
またグレート・ブリテンとの約束があったんで交易もグレート・ブリテンを経由を継続する形になった。そのグレート・ブリテンやフランスなどが加盟する南洋連合の通商加盟国連盟機関。此処への加入要請はフランスがケツ持ちしたので聞くだけは聞いたけど。
「オーストリア=ハンガリー帝国が南洋通商連盟加入の打診? イタリア王国も?」
報告を受けた渋沢栄一が驚きつつも納得と共に聞いた。早い話が海外覇権に乗り遅れた欧州各国の海外利権の確保である。しかも清朝は大日本連合帝国が手を出さない地だ。
「南洋諸国に良い報告が出来そうだ」
南洋連合の飯のタネは寄港地、船員供出、資源輸出。南洋連合各国の大事な大事な財政の根幹である。それを各国共通で使える円決済で経済をブン回してるノリ。
通商加盟国連盟機関の利用権を買い取れば南洋連合各国の港、人、船を借りられる。また大日本連合帝国の円を基軸にした円の発行と両替も行っていた。もちろん未加入でも取引は可能だが加入してい国は信用されず加入すべき物である。
尚、加盟国は取り締まりの軍船を警邏として走らせている。遠過ぎたりして軍船の用意が出来ない国は金で済ますが。
「清朝は何方も用意する気は無いか」
まぁ、そう言う事である。理由は主に清朝の倭寇に対する感情と保守派のアレコレだ。大日本連合帝国には正味どーでもいい。
無論、これは想定通りで稼げないから興味ないだけで警戒はしている。主に衛星と潜水艦でバチボコ見張ってた。
ドイツ帝国から来た船も常に炮烙火矢の標的だ。
「ああ、それと定遠と鎮遠の長崎入港。これは断っておいてください。南洋の港なら構いませんが日本州に入れるほど信用は出来ない。と言うか船渠が香港にしか無いのに何故あんな船を……?」
これは信用という部分を除けば主に大日本連合帝国の軍事的な情報秘匿が目的であった。
しかし後に朝鮮帰りの清朝の北洋艦隊が長崎港に突入しようとして、三世代くらい前の練習艦にビビって急に逃げ出した。
そう上に示威行為ってか八つ当たりで寄ったリゴールで、五百人程の水兵が遊女屋に入れなかった事で暴れ、南洋連合の共同治安維持軍に首を切られる醜態を晒す。
これで普通にルールを守る気が無いと受け取られて、南洋連合の軍船に砲を突きつけられながら逃げ帰る事になった。
日欧の対清感情がゲロクソに悪化する要因と成り果てる長崎リゴール事件の経過である。
我等がフリッツと呼ばれた百日皇帝フリードリヒ3世の子ヴィルヘルム2世が即位した。露悪的に過ぎるかもしれないが何つーかノリと勢いで動く感のある皇帝である。端的に無思慮に口が軽いっつーか、うん。
とてもアホな見方だがオットー・フォン・ビスマルクが感情の程度を見落とす欠点こそあるが類稀なる宰相であるなら、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2は全く良い所がないとまでは、無いとは思うけど何かこう悪い意味でウェーイ系のポンコツっていうか……。
尚、未だ王太子だが良い意味でのウェーイ系の王様はグレート・ブリテンのエドワード7世だろうか。
「母上の幽閉はもう無用だ。父の日記は預かった。それと公の右腕のプットカマー前内相を戻そうと思うが」
首相オットー・エドゥアルト・レオポルド・フォン・ビスマルク=シェーンハウゼンは首を振った。
「とても有難い申し出です。しかし陛下は未だ御若い。先代が拒否した者と関わるのは君主として宜しく有りませんな」
ヴィルヘルム2世は小さく鼻を鳴らし。
「宰相がそういうのなら、そうしよう」
そう答えた。皇帝も首相も大雑把に言ってしまえば保守的で、もっと言ってしまえば君主主義ではある。少なくとも百日皇帝フリードリヒ3世や前皇后の様な自由主義とは対をなす考えだ。
例えばビスマルクは妥協的に意見を別にする社会主義を標榜する党の政策を受け入れたりはしたがそれはドイツの為であった。だから少なくとも現状では表面上ヴィルヘルム2世はオットー・フォン・ビスマルクに敬意を抱いてはいる。
しかしそれで政策的に合力する訳ではなくハッキリと言っちゃえば新政、要は皇帝ヴィルヘルム2世自身が政治を動かす事を目指しており、補佐は欲しいが首相の力が強過ぎると考えていた。
「咲は先ず国民を味方に付けるべきだと考えるが」
「同感ですな。しかし方法は違える事がない様にせねばなりません」
「ふむ。それとだ。ヒーナとの交渉は如何なっている?」
「……入れ込む相手を間違えないで頂きたい」
「ヤーパンの事は耳が腐るほど聞いた。公もイギリス女にもな」
此処である。オットー・フォン・ビスマルクが煽った事ではあるがヴィルヘルム2世は母親との関係が宜しくない。そのグレート・ブリテン出身の母嫌いで、母がやたらと持ち上げる為に、ジワっと大日本連合帝国が嫌いだった。
また大日本連合帝国は秘密主義で大使の交換こそすれど関係は深化せず、グレート・ブリテン以外の国の扱いは若干フランスが良いくらいであり、後は凡そ同じ様な扱いなのも皇帝的に気に入らない。それこそナンヨーの商圏での扱いも徹底してグレート・ブリテンの下に置かれており若い皇帝的にバチギレ案件であった。
またオットー・フォン・ビスマルクを始めとした少数の大日本連合帝国を訪れた者、誇り高いはずの彼等が「まぁしゃーない(意訳)」的な対応なのも凄い嫌。
マジむっちゃ嫌。
「一度行ってみれば宜しい」
「断る」
この2年後にビスマルクは唐突にクビになった。ドイツ皇帝は世界で最も力のある玉座に座っている。
主義を信奉する連中を警戒して労働者の敵となり、植民地を持たない事に覚える国民の不安と不満を切って捨て、長く続く安穏とした外交に飽きられた首相を辞めさせるのは簡単だった。
その対価が何になるかはドイツ帝国の誰も理解していなかったけど。
オスマン帝国の船が日本を訪れていた。イスラム教の国々を歴訪し、東の果ての国がどんな感じが確かめる旅である。
ベンガル王国や南洋連合の内のアチェ王国など何カ国か、また大日本連合帝国も日本州呂宋道にはイスラム教が居るし、少なくともキリスト教の国よりは関わりやすかった。また実利的に言えばオスマン帝国的には地理関係的にロシア帝国を挟み撃ちに出来るので友好を深める意味は大きい。
大日本連合帝国も親王夫婦がグレート・ブリテンや欧州の南洋通商加盟国連盟機関参加国への歴訪に際して訪問し良くして貰ったので歓迎してた。
「絶対無理ですって!! 船を治すか安くしますから訓練艦を買って下さい!! と言うか嵐は拙い!!」
と、大日本連合帝国側は言ったがオスマン帝国海軍少将オスマン・パシャは丁重に謝絶。マジ現状のオスマン帝国には海軍に払える金はねぇ状況だった。
結果、座礁大破沈没。船長以下オスマン帝国海軍将兵を救助し母国に送る事になる。船の名前を取ってエルトゥールル号事件と呼ばれる一連の出来事だ。
さてクソ唐突だが大日本連合帝国の主力軍艦は全てが重油燃焼式である。続いて石油の補給的な問題で欧州や他国へ行く用の艦は石炭燃焼式だ。主に重油燃焼式が戦時の戦闘の船で石炭燃焼式が平時の警邏の船だった。
これは大日本連合帝国内で石油は結構取れるのだが石炭の方がいっぱい取れる事が主な理由。また石油は用途が多く発電とかでも使うし人口的な問題でバカスカ使えないと言う節約思考の産物でもある感じ。
ベンガル連合王国、南洋連合諸国、ホデノショニ連邦、ルイジアナ王国も同様である。
「え、オスマン帝国からベンガル王国のオーマスを譲って欲しいと連絡が来た?」
ベンガル連合王国のいわば総理大臣的な立ち位置の宰相が困った様に頷いた。ベンガル連合王国は独立を拒否したので内政は好きに出来るが技術的なアレコレと外交権は大日本連合帝国に丸投げしてる。今回のは技術の問題と外交の問題なので連絡した感じ。
「軍艦を売るのはグレート・ブリテンに確認の上ですが構いません。しかしオーマスは……」
「ええ。百年以上前の船です。加えて我が国に取っては……」
「大事ですよね」
オーマスはベンガル王国ナーシリー朝で使われたペルシャ語でダイアモンドだ。機帆船が主力だった頃に織田幕府から贈られた金剛型装甲機帆船八番艦である。ベンガル王国ナーシリー朝の軍船として海賊という海賊を吹き飛ばした保存艦の一つ。
「それが無理ならヒラを売って欲しいと」
こっちはベンガル語のダイアモンドで石炭燃焼式の蒸気転羽を搭載した蒸気船だ。海賊もそうだが主に技術習得の為に購入運用された金剛型二十八番艦ヒラ。この船は主に災害救助で活躍した保存艦。
「普通に買うか練習艦ではダメなんですか?」
「金が無いそうで……」
こうしてグレート・ブリテンと相談の上でオスマン帝国と交渉を開始。
電探とか自動装填装置とか自動射撃装置とか所謂ミサイルとかバカ金掛かる部分を抜いて、装甲と水密区画を加えて安価にした石炭燃焼式の頃の金剛型戦艦二隻が売却される事になった。
因みに財政的な理由でちゃんと直すならベンガル府まで来ないと無理。
今回の投稿は此処までです。
暇つぶしにでもなれてらば幸いです。




