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どどんがドン

 ナポレオン戦争以来ドイツ地域の人々が抱いていた悲願であるドイツ帝国でけたった。とある人物がいっぱい頑張って建てたプロイセン中心のドイツ。1世の方のナポレオンと殴り合ったプロイセンとオーストリア。

 此のドイツ地域の二大巨塔は普墺戦争で殴り合いオーストリアがやられちったのだ。でオーストリア帝国をハミった小ドイツ主義でブチ建てたって訳。その戦いの終わりかけの時にナポレオン3世がプロイセン王国をブン殴って普仏戦争が起きてもた。

 ほんで殴り返されたフランス第二帝政も崩壊して共和制になるとかいう中々にエグい事もついでに。


「あうぐ、ムッシャムッシャ……もご、おご、んぐ。ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッゴッゴッゴッゴッゴッゴ……」


 口に食べ物という食べ物を詰め込んで酒で流し込みと言う中々エゲつねぇ食い方をするのは髪は無いが髭と眉のがスゲェ感じの恰幅の良い厳つい爺さん。


「ブヘーーー!! あー食った食った!! 此の食い方が一番美味い!!!」


 ナプキンで口を拭うジジイのクジラ以外がやっちゃダメな食事風景にグレート・ブリテン首相ベンジャミン・ディズレーリがドン引きしていた。


「そういえばヘル(ミスター)、ディズレーリ。一つ伺いたいことがあるのだ」

「何でしょうか宰相殿? いや、またですか」

「ああその通りだ。大日本連合帝国だよ。神秘主義過ぎるあの国との渡りを着けてほしい」


 グレート・ブリテンと大日本連合帝国は非常に昵近である。例えば清朝の事では大日本連合帝国がグレート・ブリテンを立て、メキシコ合衆国の事ではグレート・ブリテンを立てた対応をする仲だ。フランスやイスパニアとも大使を交換する程度の関係はあるが欧州に対しては凡そグレート・ブリテンを中心とした行動しかしない。

 それはまるでグレート・ブリテンを欧州の王と見ている様だったし割と間違ってない認識だった。まぁ信用とグレート・ブリテン以外の国が不安定な状況が続いてるってのが大きい。ほんで特にドイツ地域は三十年戦争以来「あの辺コワとずまりすとこ」って思ってるのが理由。

 これは非常にグレート・ブリテンとして都合が良かった。強大化し過ぎたドイツ帝国と大日本連合帝国の関係は憂慮に値する。だから引き延ばしていたのだが。


「以前から何度も頼まれていた事ですし良いでしょう。メキシコ合衆国の対応も一段落したそうですし。近日中に大日本連合帝国に連絡をしておきましょう」

「あの国は優れた技術を持つと言うが何れ程の物なのかな?」

「我が帝国が唯一勝てないと断言する国です」

「我が国と比べては?」

「話になりませんな」

「でしょうなぁ」

「しかし技術に関して交渉をするのであれば良く考えておく事です。またあの国は取り決めの穴をつくと言う行いを極度に嫌う。チャイナは未だに許されておりませんからな」

「うぅむ。忠告感謝しよう」


 グレート・ブリテンは大日本連合帝国の技術供与の申し出を断っているが、理由の一つに大日本連合帝国に早くから技術研究保護推進法があった事が挙げられる。

 これは万象館宣言を元にした研究者や技術者を保護する法令である万象令が発布され、そこから派生した技術者や研究者を保護助成する法で、まぁゴチャゴチャ言ったが強力な特許の様な物。

 技術提供に関して大日本連合帝国は善意で申し出たが同時に知的財産権の保護の観点から両国間で技術研究保護推進法を相互批准する事は絶対としたのである。


 しかし技術において大日本連合帝国とは圧倒的な格差があるグレート・ブリテンとしては技術保護推進法とそれへの加盟に理解は出来ても、凡そ考え得る以上の技術を既に大日本連合帝国が発見している以上は受け入れたくても受け入れられなかった。

 主に技術の使用料が払えないと言う理由、また秘匿が出来な買った場合の賠償、自国技術の発展阻害になる事、それらの理由などから血涙流して断ったのだ。


「上手く行くように祈っております」


 グレート・ブリテン首相が全く祈ってないのは理解していたが暴食ジジイことビスマルク公爵オットー・エドゥアルト・レオポルド・フォン・ビスマルク=シェーンハウゼンは力強く頷いて立ち上がった。


 大日本連合帝国大日国蓬莱州駒知府袋烏港にドイツ帝国のアルコナ級コルベットが 引船(タグボート)に牽引されて入港した。


「ちょっと……思ってたのと違う」


 ビスマルクは穏やかな顔で手を振りながらタラップを降りた。入港する前に見かけた自分の乗ってきた船の五倍くらいある民間豪華客船を思い出しながらだ。ともかくドイツ帝国と大日本連合帝国の間で通商が始まった。


 さて唐突だが大日本連合帝国と欧州の取引は金である。これは大日本連合帝国内の別通貨を用いるベンガル連合王国 、ホデノショニ(イコロイ)連邦、ルイジアナ王国とは変動相場制で取引をしている一方で欧州とは従来通りの取引を続けているのが理由だ。何せ幾らデカい国っつっても円を基軸にするには欧州と関わりが薄い。


 ただ取引規模の増大と金の総量の問題は前々から相談していて例えばグレート・ブリテンからは円金または円金銀本位制とか相談されたが金も銀も少な過ぎて大日本連合帝国の経済規模でも足らんかった。

 つーか金本位制よりマシ程度でしかないし流石の大日本連合帝国でも経済の循環の為に国際規模で金を垂れ流して赤字になりながらも信用を維持するなんて矛盾の解決方法は分からんかった。

 ともかく国際取引の相互の信用という意味で金って物が重宝されていたのである。大日本連合帝国は国内で円を用い国際取引は銭で取引を行う形だった。


 プロイセン王国との戦いなどの敗北、ロシアとの関係悪化などの外交失敗、そこから他民族を抱えるが故の妥協アウグスライヒ。

 そうして誕生したオーストリア=ハンガリー帝国の首都ウィーン。荘厳という言葉が良く似合うホーフブルク宮殿を中心に広がる重厚なる都だ。ローマの頃より有りバーベンベルク家が遷都してから都であった地ウィーンの証券取引所。


「アメリカじゃ無いんだぞ!!? ふざけるな!!!」

「銀貨を無くすなんて事を言うからだ!!」

「あああああああああああああああああ!! 私が貯めに貯めた500万ヘラーが飛んでいくうううううううううう!!!!!」

「集金した300万ターラー投資に使ってもうた。末までに返せば良い金。魔が差した。完全に魔が差した……バカだ。馬鹿だ!!

 アメリカで損した50万取り返したら返す気だったんだよォッ!!!!!」

「ああああああああああああああああああ!! あああああああああああああああああ!! 

 首になる! 首になる!! 首になる!!! 犯罪者になる!! 犯罪者になる!!

 許して……。許して……! 許して!!! 来月子供が生まれるのよ!!!

 ……お願い! 許して!!

 死んでも返すからお金返してエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」


 老若男女が凄い事になってた。凄い事って言うか、凄い、こう凄い惨いと書いて。


 そう、凄惨。


 その日ウィーンではぬとねの区別が付かなそうな、またはFXで有金全てを溶かした様な顔が見られる様になった。状況に合わせて言えば過剰投機で資本溶かした顔。


 そしてその顔は広がる。


 ダメージが大きかったのはグレート・ブリテンだった。完全に大福に垂れすぎた大きな虚無の目と半開きの口。

 外務大臣ダービー伯爵エドワード・スタンリーは天辺ハゲの厳ついおっちゃんだが何か可哀想な感じになってた。


「要は関税を引き上げて特に鉄鋼の輸入を抑えたいと」


 大日本連合帝国の外務大臣である小栗又一忠順が少し驚いた顔で確認した。グレート・ブリテンは自由貿易を旨とする国だ。それは大日本連合帝国を除くと言う但し書きは付く。

 だが大日本連合帝国が交易を結ぶ国の中で最も関税率の低い国。その国が保護貿易を推進したいと相談して来たのだから驚く。


「ウィーンの話は伺いましたがそこまで酷いのですね」

「ああ、酷い。手を打たねばならない。極端な状況になりかねない酷さです」

「良いでしょう。他国の様な契約の不履行に比べれば受け入れ易い。了解しました」

「深く感謝します」


 大日本連合帝国は経済が面倒になると出てくる必殺技があった。今回は質と価格から関税込みでもバカほど注文されてた鉄鋼がアホ程にキャンセル喰らった特に鉄工所に発布される事になる。キャンセル代や代替案は飲ませたが鉄工所が潰れたらかなわない。


 鬼乃手形。


 すっげー雑な物であるが戦国時代に勃興した吉備国司内藤家当主(チート転生者)。彼が絹織物の製造から様々な商工業を発達させた結果なんか爆誕した大日本連合帝国の商工業全般は元より技術研究に政府中枢までの全てに顔が効いちゃうゲロクソバカデカ財閥の鬼屋が発行する手形だ。今回は早ぇ話が輸出予定品纏めて全部買うたるから安心しなさいってアレ。


 その特性上どうしても乱発は出来ない伝家の宝刀の類だが大体コレ出しとけば市場が安定するクソみてぇなチートである。既存の例で言えば大災害の時とか発効してっけど経済学者が発狂すると思うって言うかした。とどのつまり織田幕府から政権継承した政府と内藤家財閥が信用され過ぎてんのだ。

 もっと簡単に「大鬼さんが動くんなら何とかなるな」である。極論通り越して暴論を言えば経済はノリと勢いと信用で出来てた。


 さて。だが、だ。ちょっと今回に関しては量がヤベェ。何せ全てではないにせよ数カ国分の鉄鋼受注のキャンセルである。当然だが鉄鋼関係や国内市場も鉄鋼の用途を注視していた。

 正味、似た様な事があった時に淡路島に保存鉄道ってか登場早々に「起きよ怠け者。気分転換に走りて我を捕まえて見せよ」とか言いだして大きな機関車に「覚えておけ! 必ずやこの恨み返さん!!」とか言われて速攻で仕返しされる機関車戸升の再現娯楽施設(テーマパーク)ブチ建てたりもしたが今回は行き先がある。


 それは面倒だがヌエバ・グラナダにある連邦制国家コロンビア合衆国のアレコレを説明からしないといけない。ここは公教育を導入しようとした自由党と教育をローマ・カトリックの管理内であるべきと考えた保守党の抗争がエグい事になってた。

 正味もう暴力抗争っていう既に教育に良くない事を経て内戦おっ始めてる感じ一歩手前な情勢だったが、何か急にメキシコ合衆国が大日本連合帝国とかいう意味不明な怪物国家と国交を持って変態進化ブチかましやがったのだ。

 で、メキシコ合衆国経由で国交持ちませんかって来たんで人を送ったのである。メキシコ合衆国から「マジで自由派も保守派も行っとけマジで。と言うか行って? 行くよね? 頼むから行けよ(意訳)」って言われてイスパニアから独立した国の誼で行くことが決定。


 戦争寸前の両党の重鎮二人がメンチきりあいながら行った。ほんで両陣営が寂れた様な顔して帰って来たのである。両陣営何事かと問いただすが良いから見てこいと言われて皆んな何か悟った顔をする事になった。


 そら別世界線ならカルフォルニアの金鉱脈の発見で出来たパナマ地峡鉄道さえ無い国に新幹線見せたり、バリバリ帆船が働いてる国にカッコいいし使えるかもしれないからで作ってるデカい大和戦艦的な物見せたり、移動大変だよねってジャンボジェット的な物に乗せたりしたら誰だって内戦とかしてる場合じゃねぇって悟る。


 そんな国に自分の国を空から取った写真見せられて「いっぱい援助するからここ(パナマ)に運河作らせて」って言われたら頷くしか出来ないじゃんっていう。

 取り敢えず運営資金とか差っ引いた純利益から大日本連合帝国とコロンビア合衆国で運河出来てから五年間は9対1の割合で以降は半分で分けるって妥結。

 大日本連合帝国の水路二本、コロンビア合衆国の水路二本、更に水路二本の計六本の水路を計画。周辺調査と生物の保護及び採取をやって。


 資金ドーン!! 絨毯爆撃ドーン!! 港ドーン!! 重機ドーン!! 物資ドーン!! 鉄道ドーン!! インフラと建築用の街ドーン!! 出張大使館ドーン!! 大日本連合帝国技術者ドーン!! ダムドーン!! コロンビア合衆国人への技術供与と雇用ドーン!! 維持経営の教育者派遣もドーン!! その他の諸々もドーン!!! ドーンドーンドーン!!!!!


 的な感じでドンと完成した。


 もうちょい詳しく言えば訓練がてら絨毯爆撃で運河を作る線上の森とか吹き飛ばして両サイドに港建設。重機持ってきて馬鹿でかいコンビナート的な感じに港を拡張して物資を運び込み鉄道を敷設。大日本連合帝国人が住める程度のインフラの整った街をこれから雇うコロンビア合衆国人の分も含めて建築し大使館を設置。その街に運河建設に関わる技術者を集めて検証したところ運河や街用に水が足らない事が分かりダム建設。コロンビア合衆国人に重機の操作技術とかの教育して雇用。運河の維持や運営に必要な教育を提供。コロンビア合衆国政府の要望を聞いて対応できる事に応答。


 おかげさまで鉄鋼生産量を減らすどころか増やす感じになったのである。尚、メキシコ合衆国やコロンビア合衆国は「何アレ……怖」ってなってた。マジで10年足らずで地形変えられたらビビるのもしゃーない。


 グレート・ブリテン東インド会社が終了したり、ヴィクトリア女王陛下がインド皇帝になりがてら大日本連合帝国に来訪したり、南米硝石戦争が起きたりはしたが大日本連合帝国は平和だった。

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