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激動

将軍と大老が電話小姓(オペレーター)達から状況説明を受けていた。また必要な指示を出しつつ専門家達の意見を聞く。ひと段落したところで将軍は大老に。


「被害の程は?」

「現状で三十二名に御座います……。加えて灰が酷いようで。魔漉(マスク)の配布で緊急の対応をしております」

「天災ばかりは如何しようも無いが随分と出たものだな。武田家や北条家の資料が無ければ如何なっていたか」

「天正大船出の頃の物ですな。浅間山が噴火すると何ぞ大事となる」

「勘弁してくれ……。関東復興もあるのだぞ。話が大きすぎる。

ああ、そうだ。周辺の道に連絡して仮住まいの手配を。それと他府への連絡と移住受け入れの要請を忘れるな。加えて被災者への移住奨励を急がせろ。斯様な有様の街に人を住まわせては灰で肺がイカれるわ。

それと農林奉行に降灰による農作物の被害と影響を早めに出させておけ。田畑自体もそうだが灰が日光を断つ事もあると言うからな」

「はは。む、大樹、被災地に装甲車部隊の一陣が準備出来たと」

「すぐに出せ」

「只今」

「全く機器類の防災を施していなかったらと思うとゾッとする。折角ルイ16世陛下を御招きする話が出ていたと言うのに」

「其方について外国惣奉行よりフランスから内内の連絡があったと」


構内電話(インカム)を押さえていた大老が言えば将軍はズラリと並ぶ電子映像板(モニター)を見て一先ず指示の必要はなさそうだと判断し。


「また聞くだろうが今の内に聞いておこう。誰か茶を持ってきてくれ。他の者達にも頼む」

「フランス外務大臣のヴェルジェンヌ伯シャルル・グラヴィエ殿より哀悼の意を示すと。出来ることがない故に取引に関して融通をするとの事で御座います」

「向こうも戦の最中だと言うのに。一先ず御礼を伝えてくれ。取引の方も何とかなろうが有難い気遣いよ。……何とかなるよな?」

「鉄鋼であれば問題ないかと。被災に於いて既に赤嶺より鉄鋼の需要は任されたしと返答を貰っております。寧ろ鉄工所の全力稼働を願っています。

ああ今、蓬莱からも食料の運搬を開始すると通達が。先に江戸港の復旧を急がせます」

「頼む。鉄工所のやらせておけ。木工所の方は如何か」

「確認致します」


将軍は己の携帯電話を取り出して覚書(メモ)に『フランスへ返礼』と打ち込んだ。その後でグレートブリテンからも似た様な通達があり『グレートブリテンへも返礼』って打ち込む。


「吉備様より着陣の知らせ!! 医療班を専攻させるとの事です!! 自身はこのまま港の復興を押し進めると!!」


電話小姓(オペレーター)が喜びながら声を張る。


「良し!! 直ぐに上陸させよ!!」


こうして日本は火山噴火の対応を行った序でに関東一帯の再開発をゴリ押したりしてたが、これを合図とするかの様に世界はエグい変化を始める事になった。


天明大噴火と呼ばれた災害の凡そ一月後、パリ講和条約にてアメリカ独立戦争終結。


アメリカとなった蓬莱(アメリカ)東岸部と交渉した帰りにフランス外務大臣にしてヴェルジェンヌ伯シャルル・グラヴィエが日本訪問。

仲介として彼に加えてリシュリュー枢機卿の後を継いでリシュリュー公爵となった大甥の家系シノン伯アルマン・エマニュエル・ソフィー・セプテマニー・ド・ヴィニロ・デュ・プレシーも新婚旅行という体で訪れ同行していた。

彼等を迎えるのはリシュリュー枢機卿以来リシュリュー公爵家、延いてはフランスと縁のある内藤家、前大老の内藤吉備国司貞吉である。


場所は蓬莱府他化国。内藤家二代目(チート転生者)が人を襲う猛獣撲殺したり交易などで蓬莱人に気に入られ譲られた地の一つで、当初は借受国と言う別の名前だったが日本人も蓬莱人もバリバリ住民として住みまくった結果、借受でも何でもねぇなってなって信長の為に建てた他化自在天御殿が建てられてた事で国の名前が変わった一国だ。

他化自在天から取った他化国って名の通りに欲望の国みてーなノリで博打とか遊廓とかあるけど治安は蓬莱で一番良いまである。


「良くいらっしゃって下さいましたな御両名。ヴェルジェンヌ伯は顔を合わせるのは三年振り。シノン伯は母君に似て参りましたな」


齢50程の好相の壮年男性。内藤吉備国司貞吉は和かに話すが岩山の様にデカい体躯と岩を砕けそうなモリモリマッチョ過ぎて何か微妙に怖い。建前上は気楽な席だと言うのに服装は正装だ。

彼が西洋に合わせた欧州造りと、要は西洋風な部屋に二人を招いたのである。


フランス外務大臣は長年の激務の為か皺深く60を越えた実年齢以上に見え、同時に外交と言う戦場を長年に渡って泳ぎ続けた歴戦の風格があった。

シノン伯の方は逆に若さと気力に満ち溢れている。印象も中々の才気と品性のある好青年という非常に好意的に感じる物だ。お爺ちゃんのが凄いが父母に似てるの方が褒め言葉として嬉しいらしい。


「飲み物は?」

「ワインを」

「私は黒薬(コーラ)を」


飲み物で口を潤したフランス外務大臣ヴェルジェンヌ伯シャルル・グラヴィエが口を開いた。


「今回、ムッシュには無茶を承知の上でお願いしたい事が御座います」


内藤吉備国司貞吉の印象ではフランス人は明確に、そうズバッと物を言い饒舌で小粋に話す者だ。だが目の前の外務大臣は言葉に迷う様なそ振りで非常に言い難そうであった。しかしそれも僅かの事で。


「今回の戦費に関してとインドシナの事です」


フランスの言うインドシナとは阮朝(ベトナム)の事で、阮朝は親清朝な国であり日本とは関係が良くない。というか周りの国がどんどん日本南洋府に参加する為に日本に対する警戒が凄いのだ。最初こそ清朝と商売相手の華僑に気を遣っての物だったが今ではガチでコッチ来んな的な感じ。

特にカンボジア王国が南洋に属して国家を立て直した辺りから警戒がヤバくなりだした。んで昨年コンバウン王朝がベンガル府の近場の国々に攻め込んだのだ。そん時に侵攻された国々に援助をした辺りで本気で「マジこっち来んな(意訳)」って雰囲気。


「端的に申し上げればフランスの国庫は破綻寸前です。恥ずかしい話ですが減額や支払い期間の引き延ばしを相談したい。対価としてはインドシナとカンボジア王国の和解を確約出来るかと」


内藤吉備国司貞吉は苦笑い、その中でも困った色の強い物を浮かべた。


「無茶を仰る」

「承知の上です」


別にフランスが如何こうしなくても阮朝は何も出来ない。軍勢並べて警戒は凄いが手を出さない理性は普通にある。

あと近場の海域で此処二百年ちょいの間ずっと海賊船が木っ端微塵になってるから。


「ムッシュ・キビ。その上で減額や引き延ばしに足る代替条件。如何にかこれを提示して頂けませんか」


内藤吉備国司貞吉は黙考した。フランスの主力商品は言っちゃ何だが奴隷、その次に砂糖である。だがハッキリ言えば日本は砂糖は欲しいが奴隷は邪魔なのだ。


良い例として挙げるなら別世界線では三角貿易の一つとして有名な砂糖、銃、奴隷の貿易は、この世界線だと利益的な側面から日本で銃の部品を買い、フランスで組み立てる工程が入った事で少々だが複雑になっている。これは一応は日本の領地だが両国の関係維持名目でフランスが統治してるルイジアナの存在が大きかった。

先ず日本が英仏東蓬莱《フレンチ・インディアン》戦争で中立を維持する為ルイジアナに戦力を入れさせなかった前提がある。その代わりにルイジアナの治安維持と防衛を日本織田幕府が担った事により、当然フランスも最低限の治安維持部隊を起きはしたが莫大な軍事費が浮いた。また日本から蒸気牽引機(トラクター)や肥料等を試験導入して農業を開始しプランテーションへの食料供給と砂糖や綿花を日本に輸出してたのである。要は軍事費を日本に任せて商売を回す事ができる非常に重要で高利益の土地だったのである。

こうなってくるとルイジアナでは反乱起こしそうな奴隷使うよりフランス人に蒸気牽引機(トラクター)を貸し出した方が儲かる訳で。しかも日本への手前あんまし待遇が悪く出来ない先住民でありキリスト教徒になったインディアンとか居れば十二分だった。んでマジでルイジアナの人口割合がだいたい白人7インディアン2日本人1な感じ。


要は機械の試験導入始めたルイジアナでそのレベルともなればガソリンと石炭で機械を動かしてるレベルの日本からすると奴隷はデメリットのがデカい。誰が好き好んで恨み骨髄の意思疎通も常識も全く分からない相手をコスト掛けて連れて来て、コスト掛けて言語と文化を教えて衣食住とサーカスの準備すんねんアホかって話。それだったら元から同じ言葉を話し同じ文化の日本人を仕事が必要な近場で雇い、衣食住とサーカス多めに用意して済ます方が如何考えても安上がりじゃねーかって話だ。

しかも奴隷の消費活動なんて雇用主というか奴隷主からすれば抑圧して、そう奴隷主の出費を減らす為に抑えて当たり前。こんなん経済の根幹である買うと売るの買うを堰き止めてんだから経済が腐り果てない訳ねーじゃんっていう。余りにも極端な話だが日本のノリとしては稼ぎたきゃ従業員に賃金払えよって、まぁカッコつけて言えば人に投資した方が経済が盤石になるし、バカ長い目で見て儲かるよねって感じなのだ。


だから日本的には砂糖の代入で良いよくらいしか正直言えないが、フランスの貿易構造的にアレだし既にメッチャ買ってるしって困っちゃう。

でもフランスとの関係も長いし、この前の噴火で気を使って貰ったから、大変なのは分かるから如何すっかなってなる。あと中立って立場を許容され続けてる微妙な負目もあるのだ。


「あー。鉄鋼関税の引き下げをして頂き、例えば其方で鉄道の敷設などに投資するとか。いっそルイジアナに限定していた蒸気牽引機(トラクター)の購買許可。いやルイジアナの例を鑑みればフランス本国では拙いか……」


内藤吉備国司貞吉は思いついた事を言ってはみたが途中で拙い事に気づいた。ルイジアナで蒸気牽引機(トラクター)が使われ始めた結果として黒人奴隷が一気にサン=ドマングなど近場のプランテーションへ売り払われたのだ。戦争に疲弊して不満の溜まったフランス農民が仕事が無くなる恐怖でバチギレしかねない。

実際にフランス側の二人も難しそうな顔をしていた。外務大臣ヴェルジェンヌ伯シャルル・グラヴィエが悩ましげに。


「そもそも蒸気機関を使える石炭が何れだけ有るか……」


シノン伯が端正な顔を歪ませつつ。


「宜しいでしょか」

「何かな?」

「若輩者の思い付きですが炭鉱近くの港を日本に貸し出し、炭鉱と港の整備をして貰っては如何でしょう。

30年を目処に日本に対し港の噸税等を無税に、またその間は炭鉱の石炭を格安で日本に使って頂く。また日本には港を欧州外交の拠点として貰えばどうかと。そうすれば日本には欧州全域への橋頭堡となりますし、各種設備の建築にフランス人労働者を用いて頂けばフランスも日本の様になれるでしょう。

であれば時間はかかりますが返済も含めて如何にかなるのでは無いかと考えます」

「それならば説得出来るかもしれませんがグレート・ブリテンとの話し合いが必要になりますね」


頷いた内藤吉備国司貞吉にスッと外務大臣ヴェルジェンヌ伯シャルル・グラヴィエが。


「そこを何とか……イングランドではなくフランスのみとして頂けませんか」

「流石に無理です」

「50年に伸ばします」

「三十年で。グレート・ブリテンを怒らせる方が大事になります。と言うか不利益が大きくなり過ぎる」

「仕方ありませんね。ムッシュ。では、その方向でお願いします」


この後はプレゼント交換会とかやった。


日本へはアフリカの動物や植物。特筆する物としてはルイジアナに来てた事から内藤吉備国司貞吉が知古を得た巨匠フランソワ・ブーシェの遺作の一つとなる内藤貞吉の肖像画はメッチャ大切に保管される事になる。

他にはジャン・ジャック・ルソーの本やフランスじゃないがモーツァルトの楽譜などだ。


日本からはアントワーヌ・ラボアジエってガチ科学偉人の一人が求めた日本科学関連の書籍や論文などで有る。

あとは漫画いっぱい。ほんで高級什器とか眼鏡とか顕微鏡とか螺子回しとか組み立て錠前一式とか旋盤とか木造帆船の模型とか絹とか養殖真珠とか色々。


この後に数年をかけて相談の上でフランス国王ルイ16世と家族を日本へ招待の上で条約を結ぶ手筈となった。これは調整や折衝なんかは一年ちょいで済んだが別の理由で数年後という話だ。なんせ日本側も噴火の所為で直ぐに対応出来なかった為で有る。


内藤家はこれを悔やむ事になった。


それから日本は乾隆帝の外征によって手間取る事になる。

ベンガル府の対応したゴルカ朝ネパール王国の国交開始、日本府の対応した林爽文の福州の乱の始末、南洋府が対応した戦争で余裕のなくなったコンバウン王朝からトンブリー王朝の独立と、トンブリー王朝のチャクリー王朝への変化と南洋府参加希望。

海底伝送路(ケーブル)を通す事とかの折衝だの何だのでてんやわんや。


そんな中で駐在フランス大使から緊急の衛星通信が齎された。


『有り体に一揆を通り越して暴動ですな。集団狂乱とでも申しましょうか。

一月程経って尚も情報が錯綜しておりますがパリ要塞(バスティーユ)監獄の司令殿と都の商人頭は縊り殺された上に槍先に首を掲げられセイヌ川に捨てられたとの事で御座います。

今は都周辺で農民の蜂起が起き各地で貴族や聖職者の館や蔵に台帳が燃やされているとの事で忍びの者に撮らせてまいりました。

既に亡命の手筈を願う方々も多くいる有様に御座いますが有体にそれも頷ける惨状というのが実感に御座います。

瓦版に写すのも憚られる有様で情報は送りますが精査が必要かと』

「そこまで酷いのか?」


愕然と誰かが問う。駐在フランス大使は即座に頷き画面にある物を写した。それは密書である。


「既に国王陛下は自身の身が無事なまま騒動がが収束しない可能性を考慮しております。つきましては御家族の保護を頼むかもしれないと此方に」


将軍はドン引きした。吉備国司もだ。何なら語隠居、大御所、若将軍、御世嗣に加えて内藤家一族に加え中老および奉行の家家の当主も引いている。


「と、ともかくだ。その様な状況なら大使館を何時でも引き払える様にしておけ。武官を派遣出来ていたのは幸いであった。

それにしても吉備殿の二代目様は本当に未来でも見えておったのか……?」


語隠居が言った。ここにいる面々はチート転生者が絶対に外に出さない様に良い含めた預言書を知る者達だ。それは『夢見覚書』と題された本で嫌に現実的な夢の体験記。それも未来に起こるかもしれない事として書き記した物である。

内容は主に成り得ない状況や極めてあやふやな内容が列挙される奇妙な代物だが、時に異様なまでに合致した内容があったりするのである。最近の出来事では原子力の危険性やアメリカの独立など当にがそうで、故に無視も出来ない日本の中枢のわずかばかりが知る本だった。

だが、そんな中で確実に起こることとして民による政治が書かれていたのだ。またその流れ如何によっては将軍家が危険に晒されるという記述だ。大鬼という存在をして狂乱したかの様に注意を促し最悪の状況を列挙して将軍という立場を変容させてでも織田家を守る様に子孫に伝えていた書物。


その最悪の流れに近しい暴動が友邦フランスで起きていたのだ。王族と言う存在が自身の身の安全を市民に害される可能性を考える状況という最悪の形。織田幕府中枢は朝廷を交えて軟着陸の道を探る事になる。


「一先ず大評定を開く。それまでに情報を集めておいてくれ。気を付けろ」

「承りました大樹」


そして日本の各地から緊急収集された日本の政治中枢が揃った大評定の面々はドン引きだった。小型写真機や様々な手を用いて撮られた光景は狂乱と混乱を坩堝で煮込んで作り上げた絶望だ。市民が武器どころか料理用の短刀や農具を握って暴れていた。


「上様」


二十も半ばの吉備国司内藤忠連が将軍織田定忠へ頭を下げた。


「どうした吉備殿」


織田家や内藤家の両家は何度か婚姻を結んでいる縁戚。それは別に内藤家に限らずだが両者で見れば普通に友達だった。だが場所と頼み事という話であるが故に互いに畏まり。


「当時リシュリュー枢機卿殿より王の一家に災厄が降り掛かった際に手を貸して欲しいと請われ、二代目様は将軍家に何かあった際に手を貸してくれるのであればと返し互いに約したと代々伝えられております。

故に二代目様より我等子孫への遺言と申しますか……。そう、頼まれた事がございます。ルイ王家に何かあった際には出来れば骨を折ってくれと。故に軍を動かす許可を頂きたく存じます」

「構わんが承服できるだけの益を申せ。すまんが吉備の軍を動かすと言うのであれば理由がいる。でなければ日本もフランスと同じ事になりかねん」

「は、では軍を出すと申してもフランス王家からの申し出を起点として威圧の軍勢と王族救出の別働隊を送る形を考えております。

これによってフランス王家を保護した上で彼等を通じ東インド会社と通じて阮朝を此方側に引き入れる乃至は中立とし南洋を安定化させ清朝を掣肘出来ましょう。

少なくともルイ王家を救えば欧州の国々は王族が相互に婚姻を結んでおります故に欧州全体への間口ができるかと」

「……ふむ。だがルイジアナのあるフランスは良いが他の国がフランスと同じ様な有様になれば何とする。頼られても困るだろう」


将軍の問いに他の者達がギョッとした。中老丹羽秀忠が思わず。


「まさか!! フランス王家が敗北するというのですか? いや、身の危険を感じているのであれば……有り得るのか」


将軍織田定忠が驚愕する家臣達へ苦虫を噛み潰したような顔で頷き。


「イングランドでは実際に国王が斬首された事がある。また日の本とて室町の頃だが加賀一向一揆の例があろう。杞憂であれば良いが最悪を申せば否定は出来ん」


絶句する中で吉備国司内藤忠連は。


「他の王族なれば欧州の国々は広範囲に彼等が曰く植民地を持っております。其方に送るのが宜しいかと。さすれば最低でも植民地との交易を始められましょう。

植民地は豊富な土地の資源採掘を本格的に始めておりません。ベンガル府および南洋府の調べからグレートブリテンやネーデルランドでさえで御座います。辛うじてイスパニアが金と銀を集めておりますが我等は採掘における技術に於いて先行しており交渉の札と出来る。

欧州王家が統治者として続けば王家との繋がりを用いて国益とし、続かぬのであれば植民地に送る事で取引相手とし国益と成せるかと」

「もしそうなれば石油が出れば幸いだな」

「正に」


将軍織田定忠は頷き。


「さて納得したので、ではフランスに注視せよ。大国に大きな動きがあれば世界に波及する。気を付けねばなるまい」


こうしてフランスへの注目度が極めて高くなった。大評定は休息の時間となり早速フランスの状況について語り合う。


「増税をするしないで揉める迄は分かり、国王が都に軍勢を集めたのも、まぁ大分苦しいが辛うじて分かる。

だが、そこからなぜ三部会に関わるでもない民衆が激昂して身を守る為に武器を奪い弾薬を求めてバスティーユ監獄を襲うのかは本気でわからん。

これが議員であった者の策謀であったなら未だ国王に対して優位になれるという益があるから分かるがその後を見ると統制が取れてはおるまい」

「それもそうだが民が余りにも血生臭い。何があればあそこまで……。監獄の司令官までならば行き過ぎだが分かる。しかし商人頭の方は余りにも惨かろうに」

「それは貧困と飢えに追い詰められた所為もあるだろう。日本は噴火によって作物の出来が悪くなっているが欧州氷島(アイスランド)でも同じく噴火が起きたという。窮鼠が猫を咬むのであれば人であればああもなろう」

「それにフランスの民は寺子屋に行けていない者が大半と聞く。そも知らねば善悪の判別など出来ないよ」


日本は上層部の誘導によって大きな畝りに対した準備を進めていく。

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