茶ァッ飲もうぜ!! 茶!!
感想、ブクマ、ポイント、いいね有難う御座います。
今回の連続更新は調べる事が多すぎて短いです。だいたい今連続更新最終話の出来事の所為。登場人物多い。出来事も多い。作者の容量と処理能力が足りへんかった……。
こんな感じですが暇つぶしにでも見てってくれたら幸いです。
新大陸で起こった別世界線ではフレンチ・インディアン戦争。この世界線ではバトル・オブ・ヤンキードゥードル。日本では英仏東蓬莱戦争と呼ばれる戦いが終わり北蓬莱からフランスは追い出される事となった。唯一のフランスの政治活動が残る北蓬莱の土地は日本のルイジアナだけである。
この戦いは莫大な戦費を費やし敗者となったフランスは勿論、勝者のイングランドも酷い事になった。
両者共に日本から大枚叩いて購入した船も沈んだし鉄砲や大砲どころか食糧から衣服まで日本からの輸入に頼ったのだ。
と言うか衣食を貿易に頼ったのがマジで拙かったし頼らざる追えなくなったのが本当にヤバい。新大陸は毛皮の獲得や猛獣の存在から銃の利用と取引の下地があった。その火力を遺憾なく発揮して互いの軍事施設は勿論だが村や街も破砕。
取り分け統治領域の拡大とボロボロになった新大陸を建て直すイングランドの財政は終わり果てた有様となる。つーか復興にかかる費用考えたら余裕でフランスより酷いまであった。
その為にイングランドは新大陸で税を導入する事になる。雑な話だが今までは開拓という段階であった事から関税以外の税を取っていなかった。だがその余裕がねぇって言う状況になっちったのだ。
だからまぁ新大陸の戦争と運営で必要だし良い加減取ってええやろって言う。ただ新大陸的には本国の始めた争戦に巻き込まれた形だった。その上に税は取るが新大陸は政治参加が出来ないと言う状況に強い不満を覚え所謂「代表無くして課税無し」と不満が蓄積したのである。
色々なやり取りの末にイングランドと敵対してるネーデルランド等の密貿易業者と、それに付随したイングランド東インド会社の保護や新大陸との緊張緩和などの色々な理由があって、イングランド東インド会社に植民地での茶の関税廃止を認めたのだ。
交易の正常化と言う大義名分の下で新大陸の人々の為に茶自体の値を下げつつ無理のない範囲で税を取る。本国と新大陸の双方の妥協点を考えた物だったが、寧ろ密貿易で稼いでいた者も少なくなかった新大陸側は不満が渦巻いた。
その様な情勢で合法茶葉の一大輸入港となっていたボストンに東インド会社のダートマス号が入港。
ボストン茶会事件。勃発である。
ダートマス号、エレノア号、ビーバー号にモホーク族の変装をした者を含む、即ち事前に計画した者を含む男達が乗り込み、凡そ340箱、46トン、9660ポンドのの茶葉を用いて海水に味付けした。
「ほんとキレそう……」
と、世界で三番目。同列という物が有りなら二番目に心底から言ったのは日本だった。英仏東蓬莱戦争はメチャクチャ日本から輸出したのだ。まだその代金を払いきって無いのに戦争なんてすんなって話だった。何せ規模が規模なので日本蓬莱三府の経済が危うい。マジなんしょんって感じ。
この話の面倒なところはフランス、イングランド、イスパニアとの双方の外交官すなわち特使の派遣は終わっており、そのお陰かイングランドとフランスは確りと払い切りつつあるが、十三植民地の方は返済意思は有りそうだが実行は難しそうってトコだった。
ほんで十三植民地が敗北すれば代金が払われない可能性がある。
「どうすっかな」
織田信隆は落とし所を考えていた。当然だがこれは大評定で話される物となっているが将軍の意向と言うものは大事だ。織田幕府なんだから当然である。
群臣の一人が言う。外国惣奉行だ。早い話が外務の実働総指揮官つーか外務大臣的な立場だ。
「こう言う時こそ特使を用いるのでは?」
「確かに。誰か電話を」
日本では慣例上イングランドって言ってたのを、正式な国交の樹立に向けた動きの一環としてグレートブリテン王国に更新したグレートブリテンイン王国へ、特使として派遣した森傅兵衛隆可。
彼を通して十三植民地の支払い状況を通達し支払いは可能かの確認を行なった。その通達を受けグレートブリテン王国はダイヤの輸出増と最恵国待遇、インドのカルカッタ商館の移譲などで支払いの減額と日本を中立に立たせる事に成功。
十三植民地とは支払いが済むまでの取引全般を拒否し、戦争が終わるまでは双方に武器を売らなかった。
尚、途中参加したフランスはベンガルのポンディシェリを日本に譲って借金を抑える事には成功していた。
当然だがフランスもグレートブリテンも代金を払えば商業港および補給港としてのベンガル利用は可能である。だがベンガルの統治権限というか厳密に言えば徴税権とかをナーシリー朝もとい日本側に完全に返還ないし移譲した感じであった。
まぁ恒例のグレートブリテンとフランスの戦いに日本が「(戦争とか)困ります! (航路不安定化して)困ります! (貿易相手の)お客様! (本当に)困ります! (私掠船を出した?)あーっ! (争ってる)お客様、お客様! (マジ)困りまあーっ!」ってなったってだけだ。
序でに言っとくと十三植民地の方は十三植民地で何か中立なら御の字って感じだった。借金踏み倒したら国踏み潰されかねない国力差があるから交渉する札がなかったのだ。最悪の場合は債権回収の為の進駐の可能性さえ考えていたのである。
でも日本のやってる事が本人の望んだこっちゃ無いにしても死の商人以外の何者でもねぇって言う有様だった。
最終的にそうなる端緒を通達した将軍は一息付いて巨大な電子映像箱を操作させる。
「全く今日の実況時間ギリギリだったな」
映像の先は黒に光が点々と点在していた。満天の星空と言うには余りに範囲が広すぎる。全てが全て星の中。将軍以下いい歳の厳ついオッチャン達がキラキラした目で映像に食い入る。
『青い地球の皆様、安保楼十一号より今日は。今日のお日柄の程は如何でしょうか。通信士の湯入加賀の麟です。
日がな星空か計器か芸夢を見て過ごす事、既に二日目となりました。月までの道のりまで未だ半ば。今日も船外の映像を送りますのでご覧ください』
安保楼十一号は宇宙に持っていけるか確認の為の一号機から始まり動物を宇宙に上げて帰ってきた十号まで、それらの経験を用いて作られたガチガチに安全第一の為の装備を満載した宇宙飛行機だった。
五人乗りで余暇の為の芸夢も乗せてある。取り敢えず月まで行って基地とか作ろうぜ的な計画である月の都作戦の第一歩だ。
言ってしまえば変わり映えのしない、しかし目を離せない映像が流れている。この映像は発射日から流し続ける生存確認にして宇宙への軌跡の記録。安永の御代の話である。
そして二日の後に月に日の丸の旗が立った。
宇宙飛行士の五名の腕野強次郎左衛門仁入、湯入加賀守麟、秋山源四郎信虎、雷火犬次郎衛星、青山与六郎勝吉も無事に地球に帰る事になる。
……まぁ距離的に言えばザッと38万4400キロ先なんすけど何処まで行ってんねんホンマこれ。
地球一周かて4万キロやぞ。
どうしようコレ。
『取り敢えず蒸気機関車で行こうって言う話になった。未だ石油の発見には至ってないし日本でも鉄道の主力は蒸気機関車だ。それに蒸気機関車なら技術の基礎を教えるのにも丁度良い。
それでオリッサで石炭が豊富に取れるから骸炭炉と発電所を建てて余裕が出来たら電気機関車だ。オリッサ港の二十万噸船舶を入れる為の拡張もそろそろ出来るだろうからな。これだけ水が豊富なら工場の方は先ず水力が基本になるだろう。
まぁ最初の大規模工事の後も採掘場や農場の重機には石油も使う積もりだが。ったく大量の石油が取れるか取引ができる国があれば良いんだがね』
卓上の大きな画面の先で溜息を漏らしたのはベンガル府の大弐である。続いてはその横の画面に写るホデノショニ連邦オンタリオ藩主。
『ホデノショニ連邦の方は鉄鉱石と石炭だな。調査中だが石油も取れるかも知れん。タタンカ牛を始め畜産は既にやってるが安定生産が期待できるぞ』
更に三枚目の画面。
『南洋府は参加希望国が増えた。パタニ王国に続いてジョホール王国だ。ケダ王国とも交渉中。トレンガヌ国なども使者を送ってきた状況である。
欧州の国々も南洋では行儀良くしてくれておるよ。イングランドに気を使う国が多いがな。
欧州の事に付いての情報はまた其方に送ってくとしよう』
「あぁ……三人ともご苦労さん。今度あれ。新作の芸夢送るわ。ありがとな」
手を振りながら通信映像を切る。その御世嗣として各府へ回った現若将軍の織田信連はシオシオの顔だった。通信先は各府で出来たダチである。彼等に各所の最新情報を教えて貰ったのだ。革張椅子にもたれ掛かり横を見上げて。
「勝っちゃんコレもう無理くね? 将軍一人でどうこう出来る話じゃねぇってコレ」
言われたのは横に控えていた内藤家嫡男にして鬼屋を取り仕切る内藤勝左衛門忠連だ。
「まぁ確かに三ちゃんの言う通りだ。俺らの世代は良いけど次世代は範囲とか文化とか考えると無茶だなぁ。清は大人しくなったがロシアなんかはずっとキナ臭い。
正直言って八府は日本語が通じるし如何とでもなるがベンガル府や南洋府は完全には日本語が通じないからな。
南洋府なんてコッチが向こうの言葉を纏めてる段階どころか新しい言語が増える有様だ」
「つーか八府の方もなぁ。しゃーないけど各地に住んでいるわけでは無いから。此方で良かれと思った事が向こうにとってはって場合もある。
理想は各地に住む者達、民が望む物と為すべき事、これらを選択してくれれば楽なのだがな。
……勝っちゃんの二代目様が手稿と一緒に残した半分予言書にそれっぽいもの書いてないか?」
「選挙とか言うものなら書いてたな。目安箱みたいな要望を聞くってんじゃ無い感じだよ。民が投票で統治者を決めるとか何とか」
「合致はしてるが……纏まるかソレ? 勝ちゃんは如何見る」
「予言書はボヤけた書き方しかしてなし分からんってのが正直なとこかな。二代目様も同じ状況じゃないなら間に受けるなって諄いくらい書いてるし。検討くらいはしてもいいと思うけど劇薬だとは思う」
「ふーむ……触りだけ教えてくれるか?」
「幾つかの党とか言うのを作って大臣を国民に選ばせるらしい。まぁ言っちゃえば派閥の延長線みたいなものっぽい感じだが。何というか漫画の人気投票みたいな印象を受けた。
芸人でも神輿にする気か? と思ったな。まぁ深い知識が必要な議題だと成る程、知見の深い者が話し合ったほうが良いと思うが。うーん、ホント分からん」
「段階を踏む必要があるんだろうが。如何言う流れでそうなるのか分からんのは困るな」
「全くもって同感だ。府単位で行うにしても利害の調整なんて如何するのかね。耳心地の良い事だけしていると国が滅びるしなぁ」
「だが現状のままというのも機能不全を起こし兼ねんだろ。評定で何方も正論であったり何方も選びたくない場合。この場合に民に選択させる形はどうだろうか」
「いやぁまぁ一先ず今の各府評定を中継させるくらいでどう? 大半の民は政治なんぞ関わりが無いし関わろうとも考えていない。自分の住む場所の事は分かるだろうが法律だのとなると知らない事も多いだろ。そんな政治を全く知らない様な状態で参加させるのは無理があるし無責任だ。
それに災害や戦争の時は将軍の下で一元化した動きを取る方が良いと思う。絶対にここは変えない方がいいと言うか変えちゃいけない」
「重いけど照れるねぇ」
「まぁ将軍様や大御所様や宿老の方々に相談してみるべきだな。資料研究所の方にも連絡しとく。話はそっからだ」
「だな。じゃあ面倒な話は終わらして新作の大乱戦強打兄弟やろーぜ。芸夢九豊」
「お! やんべやんべ」
「これが長忠公の描いていた物じゃあ!!!」
畳の上スゲェ顔でエグいテンションのオッサンがはしゃいでいた。子供が自由に研究する為に万象館が販売して各地の塾や学校に格安で下ろしてる夏休み研究箱の中身が周囲に散らばってる。そんな部屋は広いのに雑然と物が多くて狭く感じる状況。
「まーた源内さんが壊れた。今度は何を作ったのかな?」
少し年下の男性がベンガル茶葉で入れた紅茶が注がれた白磁器の茶碗を置いて言った。この家で唯一物のない食卓に座った彼に源内と呼ばれた男は制作物を見せ。
「玄白殿!! これじゃあ!!」
グルグル巻きの銅線の線輪が大量に並んでいる。それが倒したコの字に組み合わせた板の左右部分に等間隔で大量に並んでいた。その合間に不恰好な鉄道模型が不安定に浮く。
「……反作用ですね」
「そうじゃ!! 空想科学物、鉄腕阿闘夢にあった僅かに浮く陸荷挙猛駄貨列車!! その作り方を閃いた!!」
「それ電磁砲と一緒に万象館で研究されてませんでしたっけ」
「しとる。いや! しておった!!が、何せ電気が足らんのよ!! 即ち研究の価値はあるが現状実現不可能と見られ新技術の出現を待っておる!!」
「ふむ……」
「だがある技術の可能性を知ってな!! 未だ空論の類だが核分裂反応で大量な熱を産める可能性があるとワシは見た!! そして発電は百々のつまり熱と水で産む蒸気!! 核分裂反応の膨大な熱で生じた蒸気で転羽を回せば格段の発電が叶う!! 膨大な電力は手に入りコレも実用する!! ワシはそう見とるのよ!!」
「それは、万象館では半ば禁忌なのでは?」
「ああ、危険だとされているからな。妙な事だが有害な物質が放出される物だと言う噂がある。しかも当然の事の様にだ」
「ああ、うん……そうだねぇ」
「どうした玄白殿?」
「いやぁ、何でも無いよ」
「ふむ? そうか? 体調が優れぬなら日を改めるが」
「大丈夫さ」
杉田九幸翁玄白は優れた医師で万象館から資金援助を受け、蘭学に加えて欧州の医学を研究していた過去を持つ。
尚、ネーデルランドをポルトガル人がホランドと呼んでいた事からとりあえずランドではあるだろうとネーデルランドの事は此の世界線でも蘭の字が使われてた。
要は医術と欧州の特に医療的な知見に富んだ存在という事だ。
さてそんな杉田九幸翁玄白は個人で天真楼と言う医学や欧州の学問を研究検証する学校を建てた存在である。また万象館でも立場を持っていて、とある極秘の検証で協力しており、そのために噂の出所を知っていた。
(三)百年後戦記の原本に原子力爆弾という悍ましくも強力な兵器の事が記されているのだ。それはヤケに忌避感を極めた記述であり、幕府からも非常に厳重な情報管理が敷かれていて万象館で慎重な検証が行われている。どんくらい厳重かと言うと協力した杉田九幸翁玄白が何処で研究してるか知らんくらい。
その協力を依頼された検証も洋上の巨大船舶の上で行い、厳重な鉛の壁と宇宙服みたいなのの上から更に高分子樹脂繊維の雨合羽みてーなの着て、とある物を浴びた動物や囚人を十年間に渡って察たのである。
「石炭も石油も何時迄も掘れるとは限らん。新たな燃料は必要じゃろ玄白殿」
「そうだね」
それは、そう。杉田九幸翁玄白は非常に危険な物であるという事実しか知らない。だがその上で燃料問題から研究が続けれれている物だと聞いていた。
即ち理解する所は危険を承知で研究の必要性がある状況、乃至は不利益を覆い隠す程の利益が見込まれる、端的に言えば危険承知で国家に必要だと目されたという事である。
どこか直感的に必要な物を識る源内と言う男を杉田九幸翁玄白は評価しており、故に。
「源内殿、成浪物の続きは書けたかい。塗本を書いてると言っていただろう?」
「……スランプに候」
そう酷い事にはならないだろうが念の為に幕府の探られたくない腹、というより探ると危険な腹から話を逸らしておいた。




