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悪女が、嫁に、来るらしい!? ~政争敗北で放逐された悪女、ド田舎で娯楽にされる~  作者: あかね
夏デス

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勝者は微笑む

 ついにやってきた結婚式の日。

 添えものである新郎は朝から雑務に忙しい。もうちょいなんかない? 休んでてよくない? 近隣への挨拶はしなきゃダメ? そうだよね、俺当主。わかってるけど、こうお嫁さんとご一緒にいちゃいちゃしてても許され、ない。

 はい。

 一週間の休暇があるからそれで我慢せよと。旅館のいい部屋二人占めというけどねえ。どうせ、来客対応あるんでしょ。

 あ、それは一時的にやってくれる? ありがたいけど、なにか不穏な気がして。

 いいえ、執事と副官の敏腕さを信用しているんだけど、過剰戦力のような。


 あ、王家からの使者も来てる? 結婚祝いも? 都合の良い話で……。い、いやだなぁ。国家転覆とかしないよ? ね? ちょっとイラっとしただけだから。

 てきとーに流しておくよ。難癖付けられたくないしね。


 近隣の領主の人からもお祝いが来てるって? 使者の人にはおもてなししてあげてね。言わないでもやってると思うけど。年若い男女ばかり? ああ、結婚相手探しにでもきたのかな……。そっちは見守り対応で。少ない労働力減らされるより増やしたい。移住してくる気がありそうで、良さそうなら文通からかな。

 やる気ありそうなら、冬の期間雇いでも……。

 そのあたりは追々かな。やっぱりさ、雪かきとか限界だって。


 会場の見回りもしてこいって? 働かせるじゃないか。祝いの言葉を聞いてこい、と言われてもな。

 いつもの広場だけど、華やかにはなっているかな。


 やあ、人だかりと思ったら、なにこれ。わかるけど、なにこれ。

 人の奥さん木像にするのやめてくんない!? 木とは思えないすべらかさと繊細なレースのベールとか正気なのかというヤツだけど。え、一応、配慮してデコルテは見せないようにした? 装飾過剰にしてラインも不明感?

 …………。

 おう。

 確かに作風的に言うと服がぴっちりくっついているボディがウリだったね。そうじゃない分配慮はある、かもしれないけど! これは秘蔵品にするよ。もうさ、数年に一回しか見せないよっていうブツにするよ。

 完全にお蔵入りさせないのかって? せっかく作ったんだから仕方ないよ。ああ、途中経過見せないとか言うのを疑えばよかった。


 ん? というと石工のほうもやらかしてない? あの人どこ!?

 あっち。わかった。

 あっちもなんか人だかりが……。

 あ、領主さま、じゃないよ。

 全くなにしてんの。こっちは……勇ましい。どこから来たのこの槍。あ、あの槍。最初の構想があったのに、なんか、似合いそうが頭を離れずついうっかりと。

 どこの戦乙女。かっこいいのは認める。奥さん、たまにこういう笑い方するんだよね。

 なにそのにやにや顔。いやだな。

 まあ、まともというか露出度なくてよかったよ。だから、そのにやにや顔……。一人占め希望なの。ほっといて。


 絵描きのとこも面白いって? あの人、人物画やめたはずだけど、無理に描かせてないよね? 嬉々としてやってた? 眉間にしわを寄せてむーって顔しながら? それのどこが嬉々としてなんだろ。

 じゃ、そっちも行ってみる。


 …………。

 あの、お義母さま。なにをしていらっしゃるので? モデル。はあ、あのその勇ましい銃は、私物。

 …………。

 そぉっすか。ちょぉっと画家借りていいですか? 疲れたから休憩していただいて。誰か、お水、お世話を……。


 ちょっと、画家さん? なにしてんの? 名前じゃなくて職業で呼ぶな? つってもねぇ。今は画家であるあなたが問題であるわけでしてね? 嫌味。そう通じて良かった。浮世離れしているからわからんかと。

 だいたい、うちの奥さんの絵があるって聞いてきただけなのに。

 ……あれ。あの最高にフォームが決まってる女神様が? 疾走する夏の女神。きっと早い。いや、そうだけども。なんというかお嬢様しているわりに体に恵まれているというかなんというか。

 わがままボディ。

 ……訴えて勝つよ。権力者に冗談言わない。顔がマジってうちのお嫁さんだからね。口は慎むように。いや、そんな首振り人形みたいにならんでもいいけどさ。


 体力があるって話。反射神経も悪くないし、身体能力高すぎる。というのにご令嬢必須の刺繍は壊滅的。うちの母も苦手でと涙ぐんでてちょっとかわいかった。

 こほん。

 まあ、おかげでうちでもやっていけそうなんだけどさ。

 たぶん、大奥様のおかげ? ああ、お義母さまのことね。え、なんでさま付けなのかって? 迫力かな。

 で、なんでモデルしてもらってたわけ?

 連作、狩猟の女神とするので、と。冬と春は絶賛募集中。死ぬまでには見つける予定って、気が長い。題材探しには一生をかけてしかるべき。

 わからんけど、わかった。

 本人の同意があるなら口出ししないけど、変なものをだそうものなら……。ああ、もう義父さまのほうに宣告されていると。

 あの人もよくわからないんだよね。無口が過ぎる。

 ……え、人見知り? まさか。そんなことないでしょ。侯爵閣下だよ。人に会うのが仕事ってくらいじゃない?

 うん、そう。まあ、言われてみれば、初顔合わせで目が合わなかったような気がしないでもないけど……。


 さぁて、他のとこも回ってくるかな。じゃあ、粗相のないようにね。

 ほんと、みんな張り切っててまあ……。夏祭りのついでだっていうのに。


 やあ、小さい人たち。君たちはちゃんと楽しんでるかい? それはよかった。おいしいものは色々あるからね。あと、夜遅くまで飲み会しているみたいだけど君たちは早めに寝るんだよ。わかってるかい? ああいう悪いことは大人になってからね。

 二日酔いの親の世話はしたくない? ま、まあ、ほどほどで帰すようにするよ。なんかあったら後でお駄賃あげる。ほんと、ごめんね?

 じゃあね。


 あとは誰かな……。おや、三婆。

 ドラバだけ超年上だからまとめるなと。同じくら、違う。わかりました。で、なんです? 身構えるなと言われましても、ドレスアップされた迫力、マジ半端ない、という風で。

 どこから出してきたんです。実家からの取り寄せ。ああ、ご実家の方も大変でしたでしょうに。

 最初はどうなるかと思ったが、ちゃんとまとまってよかったと。その節はお世話になりました。特にドラバ。ええ、花冠は家に飾ってます。つけるとぼろっていきそうで。強力接着剤を用意してくれると。こそっとつけときます。


 ああ、呼ばれているようなのでもう失礼します。

 あちこちで呼ばれて……。

 ええ、ほんとですって、やだなぁ逃げてなんか。はははっ。


 視線をそらさず後ずさりするとかどこの野生動物なのか。まだまだ元気そう。さて、もうそろそろお嫁さんの顔を見に行ってもいいと思うけど、なっと。

 服屋さんの防御力は硬いままかな。装甲厚そうだな。やあ、準備ごくろうさま。ちっ、いいだろ。部屋は入っても。仮にも旦那なわけだし。


 ね、部屋覗いても? だめ? あら残念。

 ちょびっとだけ。

 ダメ。

 俺、旦那さんよ。

 だから余計駄目。


 くっ。

 またあとでねって。


 ……なんか落ちてるし。ふぅん? なんでもないよ。ちょっと紙クズが落ちてただけ。あ、裏口ってこっち? いやぁ、ごみ捨てておこうと思って。

 大丈夫、すぐだからね。


 ……ふぅ。裏口で、ってお誘い受けたら断るわけもないし。

 それにしても、俺のお着替えとかマジで忘れてないかな。まあ、添え物だし。

 お、扉があい……。


 あ、ごめん。変なのかとかそういうんじゃないから。奥さん美人なの知ってたけど、どえらい美人だった。え、こんなかわいい子が俺の奥さんになってくれるの? 君にとって罰ゲームじゃない? 他にも嫁げそうだけど。

 もっと良い家とか、あ、はい。すみません。

 あまりにも不釣り合いかなって。こんなド田舎だし、娯楽もないようなとこだし。


 とても楽しいので、良いと。収穫は嫌なので来年はもっと体制を整えて計画的にする。もっと働くつもりって。

 そっか、よかった。


 え、俺の笑顔? は? べ、べつに可愛くないし、というか男に可愛いって何。それはとても特別ってなに。

 あ、はい。

 俺も。


 ちゃんと言え。無理。恥ずかしい。死ぬ。誰もいないから、って。


 ああ、わかりました。


 ローラ、君を……。

こちらで一度、完結になります。

お読みいただきありがとうございます。

また、評価やブックマーク、感想やいいねもありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
完結お疲れさまでした。基本的に会話とか独り言で進むのでちょっとわかりずらいところもあったけど面白かったです。
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