悪女とは何か
ド辺境住まいの農家のおじさんによるお嫁様評。
お嫁さんがきてぇ、どうだってか?
わかんねぇな。悪女とかいうらしいが、めんこいお姫様だべ。おらぁ、たまげて、腰抜かすかと思った。
んだからぁ。
おっかねぇとじいさま連中もいってたからさぁ、どうすんだべって。
わがんねぇな。
でも、ま、悪い人じゃねえんだろうなぁと。子どもが泣いてるとオロオロしているし、転んで怪我してたらテキパキと処置してたしなぁ。
あのおーほっほほ、とかは、なんかすげぇと思うし……。迫力が違うべ。あんな人、先代の奥方以来だべ。
そうそう。
あっちはアタシに不可能はない! だったべ。あっちも濃ゆかった。なんで領主どんは薄味なのになぁ。足してちょうどいい。それは、そうかもしれんけどもぉ。
まんず、まんず、なにもねぇといんだけど。
まあ、秋に逃げ出さんといいんだが。
領主どんもアレだべ。実家なのに家に帰りたいとか血迷ったこと言いだす。わかるべ。ああ、あの穏やかなあの日に帰りたい。
おらも帰りたい。あれは嫌だべ。
今年は外部から人手借りてくるとめんずらしく、悪い顔していたっぺ。あれは笑顔で押し切るつもりだべな。
領主どんのほうが質がわりぃべ。人畜無害、人が良いですよぉという顔でえげつないこということあるべ。
周りもあれだかんね。仕方ない。
で、そんなこと聞きにきなすった? え、ドレス審査の紙を配布しにきた。会場は集会所。はへぇ、こりゃあ、楽しみで。おっかあとあとで行ってくるべ。
領主どんの衣装は? ………なにぽけっとした顔してるんで? 忘れてた? いやいや、そりゃあ、きれいな娘っ子の相手は楽しいだろうけど、ひどくないべか?
ドレス合わせで。
ああ、かわいそうな領主どん。どうせ、服に着られる。
…………。
そうだべな。
先代の奥方も爆裂美女で燦然と輝きすぎて、先代、グレーがかってって見えたくらい。普通の格好していると普通なの不思議だべな。
あの二人も元気にしてっかな。ほんと、困ったもんで。
戻ってきたら? そうだべな。
ひとまず、収穫祭までは労働してもらうってのはどうだべ。いやはや、若くないなんていわせねぇべ。あのジジババよりわかい。にがさねぇべ。
自分でも話す訛りを文字化するとなんか違う……。日和った方言でも許してけさいん。




