表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【日刊上位ランクイン】チャネリングしたら宇宙船の美少女艦長に繋がったので、ブラック企業を辞めて人生を取り戻すことにした  作者: ハイカラな人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/76

59

接続を切ったあと、恒一は床に寝転がって、天井を見た。


 暗い。

 静かだ。

 でも、前みたいなただの閉塞ではない。


 世界は動き始めた。

 空に名前がついた。

 ルイゼたちは避難船だった。

 自分はその判断材料の一端だった。

 追手は地球近傍まで来ているかもしれない。


 どれも、ひどい話だ。


 なのに、明日も自分は顧問先案件の診断を進めるのだろう。

 問い合わせテンプレを直し、一覧を整え、就寝前整理シートを微修正するのだろう。


 そのスケール差が、少しおかしかった。


「……」

 スマホが震える。


 ニュース通知。

 また宇宙の話題だ。


各国研究機関が情報共有へ 未確認構造物報告受け


 恒一は画面を見つめた。


 もう個人の成功や、個人的な感情だけでは済まない。

 その段階は、完全に終わったのだと思う。


 世界が本気でざわつき始めるのに、そう時間はかからなかった。


 未確認構造物。

 近地球空間。

 複数観測点。

 情報共有。


 その単語だけで、十分だった。


 翌々日の朝には、テレビの情報番組が半分面白がり、半分真面目な顔でその話を扱い始めていた。

 コメンテーターは慎重。

 司会は少し浮ついている。

 街頭インタビューでは、若い男が「宇宙人なら見てみたいっすね」と笑い、中年の女が「変なことにならなきゃいいけど」と眉をひそめていた。


 どっちも正しい。

 どっちも浅い。

 でも、たぶん、そういう段階だ。


「……始まったな」

 恒一は、朝食代わりのコンビニおにぎりを持ったまま呟いた。


『はい』

 ルイゼの声は短い。


「専門家は慎重」

『当然です』

「メディアは拡大気味」

『当然です』

「SNSはもう半分祭り」

『それも当然です』


 この艦長、本当に人間社会を嫌なほど冷静に見るようになってきた。


 恒一はニュースアプリをスクロールする。


 国内天文台のコメント。

 大学研究者の短い見解。

 “既知の人工物である可能性を排除できない”

 “データの精査が必要”

 “現時点で断定は避けるべき”


 慎重。

 徹底的に慎重。


 でも、慎重であることそれ自体が、逆に本気度を匂わせていた。


『判定しますか』

 ルイゼが言う。


「してくれ」

『正しい点。公的な観測コミュニティは、もはや“何もない”とは思っていない』

「うん」

『不確実な点。公開情報の裏で、どこまで軍・政府ラインが進んでいるか』

「……」

『不明な点。地球側の初動が、対話準備になるか、防衛反応になるか』


 その最後が重かった。


 対話。

 防衛。

 どちらに転ぶかで、全部が変わる。


「……俺が渡してた情報ってさ」

 恒一は画面を見ながら言う。

「国家の反応速度とか、通信事情とか、軍事水準とかも含んでたんだよな」

『はい』

「改めて言われると、最悪だな」

『はい』


 ルイゼはそこを濁さない。


 そこが今はきつい。

 でも同時に、ありがたくもあった。

 少なくとも、もう誤魔化そうとはしていないからだ。


「……」

 恒一はおにぎりを置き、メモ帳を開いた。


地球側の初動想定

•観測機関の慎重発表

•政府内の非公開情報共有

•研究機関・防衛ラインの並行検討

•メディアとSNSの先行過熱

•一般市民の半信半疑


 書いて、少しだけ息を吐く。


 整理すると、逆に気持ち悪いくらい現実味が出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ