3.御令嬢からの呼び出し。
ちょい短いですが、おまけ更新。
その人がボクのクラスにやってきたのは、体育の授業が終わった直後だった。
「お、おい篠宮! 御令嬢がこられてるぞ!?」
「御令嬢……?」
「立花先輩だよ!!」
「…………あぁ」
クラスメイトの田中君が、大慌てで呼びにくる。
すでに着替え終えて時間を持て余していたボクは、ひとまず教室を出て廊下にいるという貴音を探した。するとすぐに、窓際に立って空を眺める彼女を発見。
声をかけようとするが、それより先に動いたのは貴音だった。
「ごきげんよう。わたくしの悠」
「貴方の、ではないですけど。こんにちは」
「あら、つれないのね」
挨拶と同時に所有権を主張されたので、ボクはハッキリと否定。
それを受けて、貴音は少々詰まらなさそうにしていた。頬を小さく膨らせ、唇を尖らせている様は普段よりもかなり子供っぽい。愛らしいとも思えた。
だからといって、彼女のものになるつもりは微塵もないのだけど。
ひとまず、要件を聞き出さなければならない。
ボクはそう考えて咳払いを一つ。
「で、今日はなんの用ですか?」
「そうね。こんなところではアレですし、場所を変えましょう」
そう言って、スタスタと行ってしまう貴音。
首を傾げてしまったが、無視して後々に面倒になるのは嫌だ。
ボクはそう考えて、とりあえず彼女のことを追いかけるのであった。
◆
「こ、ここは……?」
「生徒会室ですわ」
「なぜに、そんな場所に」
そうして辿り着いたのは、理路整然と手入れの行き届いた一室。
貴音の言う通り、生徒会室というものだった。いや、それは分かるのだけれども。こういう部屋に勝手に入って良いものなのだろうか。
関係のある生徒だけ、というものだと思うのだが……。
「許可云々を考えているのでしたら、心配いりませんわ」
「え……?」
すると、こちらの思考を読んだように。
貴音はそう言うと、会長と札の立ててある席に腰かけた。
そして――。
「この席は、わたくしのもの、ですから」
「え、それってもしかして……」
「その通り。わたくし、立花貴音こそが――」
自信満々に、こう言うのだった。
「私立立花学園の、生徒会長でしてよ?」――と。




