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義腕の王  作者: リョウゴ
三章・果たし状と体育祭
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相棒のいない一週間 2

 先程の俺の発言に、訝しむような反応をする村上さんに対してもう一度言った。


「だーかーら!魔力の腕、使えないんだよ!」


「いや、何でよ?」


「こういうこと。」


 右腕を外して村上さんに渡す。


「これがどうかし………あれ?普通の何の変哲もない義腕じゃないの。いつものはどうしたの?」


「それがさ────────────────









────………………というわけで、今腕が入院中ってわけだ。」


 土曜日に起きたことを説明する。


「そういや、さっきの話に出た厨二の勧誘員(スカウト)って知ってるか?」


「…………ぜ、全身黒づくめの男何て、し、知らないわよ?」


 そっぽを向きつつ村上さんはそういうが、声が微妙に震えていた気がする。


「………まあいいや、話戻すと、腕が前の奴じゃないから魔力の腕の一本がここに消費させられちゃうんだよ。だから使えないんだよ。」


 首を傾げる村上さん。とても不思議そうに言う。


「それだけで何で使えないと、決めつけているの?」


「いや、出来ないもんは出来ないだろ。二本目だって一瞬しか出せないし。」



「魔法はイメージの力が重要なのに、限界を決めて動かしてたら成長しないわよ?例え無意識でも。」



「…………?」


「魔導師が殆ど唯一共通してぶつかる壁よね。無意識に限界を決めてしまうってのは。魔法には魔力量以外に制限なんか無いのに。」


「………どういうことでしょうか?」


「魔法は何でも出来るってことよ。それこそ魔力が許せば生物だって創れちゃう。まあ、魔力を自己生産出来ない物が多いからコスト半端ないけどさ。あんたは、自分の魔力の腕が二本以上に出来るとか想定すらしてないんじゃない?」


「確かに…してなかった気もする。」


 言われてみればってやつだが。これが無意識というやつか。


「じゃあそのイメージをすれば…。」


「まあ何本でも魔力が許す限り出来るでしょうね…練習すれば。」


 流石に、すぐには出来ないわよ。と言う。


「というか、一回コンクリートを盾にするなんていう魔法をとっさに出来るんだから、大丈夫、すぐに出来るでしょ。」


 まあ、それはアイがいたからってのもあるかもしれないけどね…。


「あ、じゃあ、この右腕を属性魔法化して燃える右腕とか出来るのかー。それは楽しそう。」


「ふつうの義腕じゃ黒焦げよ……。」


 それもそうだな。







 何でも出来る…………か……。


「ロケットパーーーンチ」


 全力で右腕が正面に吹っ飛んでくイメージをする。

 起きた事象は前に向けた腕が、ぼとりと下に落ちるだけだった。


 本来、義腕を外すのには十秒ほどかかる。それを一瞬で、手も触れずにやったのはすごいことなのだが。


「俺がやりたいのはそういうのじゃないんだよ………。」


 いっそ、接合部を魔力で繋いで、鞭みたいに操作したろうか………これも出来たら楽しそうだな。


 ………静かだと集中もしやすい。が落ち着かない。


 何か色々と出来ることは無いのか考えてはいるが考えが纏まらない。


 ………そう言えば、金曜日の戦闘、防御手段があれば違ったかなあ……。


 そして右手で左手を触りつつ思いついたことを口に出す。


「例えば盾とかあれば……………ん?」


 左手が突然重くなったかと思い、右手で確認しようとしたが、義腕に感覚なんて無かったんだったと思い、目を向ける。


「盾がある………。」


 それは左肘から先にあり、左手と殆ど同化していた、円形の盾であり、防御手段として簡単に想像したものである。大きさは直径が肘から指先程度、歪みのない円形をした盾だ。


「こうもあっさり出来てしまうと、俺は自分の才能が恐ろしいな…。」


 と、ふざけていたが、この後結局、魔力の腕の二本目が安定する事も、他の魔法が出来ることも無かった。


 盾は安定して出現するが、防御力が低そうだった。想像では何でもはじくとかイメージしたのに、木に叩きつけるだけで綺麗な円が歪んだ。

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