相棒のいない一週間 1
昼休み。体育祭をあと数日と言うところに控えている故に、高校全体が活気づいているように思える。元々騒がしいところではないというわけではないが、やはり年に一度の行事に対して全力を尽くそうとする生徒が多く、グラウンドにはたくさんの人がいた。
かく言う俺もその中の一人であるが。
グラウンドでは、二人三脚やらリレーの練習やら長縄やらをやっている生徒たちがいて、大体クラス単位で纏まってたりする。そしてうちのクラスはというと、クラス全体競技の長縄をやっていた。これが他のクラスだとやる気のあるやつが先行して、やる気のない人に文句の一つでも言われるのかもしれないが、うちのクラスは何かが違った。
「体育祭の練習!やりましょう!」
昼休み始まるやいなや、先週転校してきた女子は言う。そしてそのやる気に当てられたのかそうじゃないのかはわからないが、発言された途端にみんなやる気を出して外に出て行ってしまった次第だ。まあ、扇動したのはエリカだけじゃないんだが。
「んで、長縄か………。」
「不満か?鐘本君。」
「いや、場所どーすんだってな。」
「まあ、適当でいいんじゃないかな。」
因みに今話しかけてきたのは荒井という、小学生と間違われるレベルの低身長の男子だ。彼に二度目の成長期は無かったのだろうか。
そんなこんなで長縄を跳ぶ訳だが、ルールは簡単。連続してどれだけ跳べるか、と言う奴だ。時間は関係ない、が、さすがに長いと色々弊害が出るらしく上限はその時の遅れ具合で決まるというアバウトさを見せている。去年は時間切れ起こしたクラスなんて無かったから、大丈夫だろう。なので、どれだけの回数を跳べるかが基本的には勝負となる。
転校生は上手くクラスに馴染めていたようで、やる気を出す転校生に釣られて他のクラスメイトがやる気になっていた。
「せーーの!いち!にー!さん!………あーどんまいどんまい!次に生かそう!」
やる気だけで結果が出たら良いけどな。
別に誰か特定の人達が引っかかるわけでもなく、順調に回数は増えてっている。跳ぶ回数が平均して十を越えた辺りでこの日の昼休み終了間近を知らせる予鈴が鳴った。
「ねぇ、アキ君。」
「どうしたの?篠原さん。」
「腕、大丈夫?」
そう、俺の右腕を指し示しながら言う。やっぱり気付くか。
「土曜にいろいろあってね。今入院中。」
「何が入院中だって?」
これを言ったのは、後ろから近づいてきた野中である。
「ん?ああ、知り合いがちょっと怪我で入院してるんだよ。」
一応言うが、義腕であることはバレていないはずなのだ。別に平気だと思うが、色々言われてるから、隠してはいるのだ。バレたら仕方ないが。
というか修理の間の間に合わせだとしても違和感が凄い。あの義腕に慣れきってしまったのがいけないのだろうが、動きに差がでる。
そして、やはり静かだった。
「そう言えば鐘本君は属性魔法を使ったことあるかな?魔法はイメージの力で発動するなんて言ったとおり、殆ど魔力とイメージだけで出来るのよ。問題は消費がでかいことが、問題といえば問題だけど今は置いておくわね。」
日曜から体調が良いけど、それは勘違いではなかったことが、長縄やら長階段上りで証明されている。登ったあと、村上さんが何か話があると言い、語り出した。
「属性魔法だけど、そもそも魔術は魔法を効率化したものなんだからファイアボールは魔法でも再現出来るの。消費が激しいから術式で効率化してるんだからわざわざ魔法でする必要はないけど。」
そう言って村上さんは日本刀を魔力で創り出す。
「これが無属性状態。鐘本君の魔力の腕と同じ状態ね。」
日本刀の刀身が炎となる。
「これが火属性の日本刀。属性魔法ってのは属性の無い独自の魔法に属性を付与するものが多いの。今回言いたかったことはこれ。」
日本刀を消しながら言う。
「要するに、君の魔力の腕は属性付与できますかー?ってこと。」
「………………。」
そんなことが出来たのかとか聞きたくない訳じゃないしそんなことができたのかと感心したようなことを言いたいけど。
「すまん、俺今魔力の腕使えないわ。」




