↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義腕の王  作者: リョウゴ
五章・盲信する狂信者と人としての意地
101/164

巨人斬り

 魔力は回復に徹しては、いるものの。はっきり言って、使い物にはならない。


 刀を握る。


 刀を扱う能力は素人ではない。ただ、高いわけじゃなく、魔力任せの力押しで今まで戦った。


 目前のゴーレムを見る。


 扉が開き、狂言を垂れ流していたそれの勢いが増す。最早、俺など見てはいないだろう。


 まだ足は冷たく、かなり無理をして立ち上がっている。背後を見ても、開いた扉以外に何もない。


 さり気なく、背負い続けていたリュックを下ろす。義腕スペアを持ってきてはいたが、魔力のないこの状況にそんなものを背負う理由はない。


 一歩一歩前へとゆっくりと。魔力で足に熱を定期的に与えて、まだ殆ど凍っている足を溶かしつつ、歩く。


 無理してるなと思う。


 背後の扉。周りにいた人が消滅してゆっくりと開いてく。


 何故だろうか、扉を開けないようにするべきかは考えなかった。


 ただ、目の前の土でできた巨人を斬り倒す事だけを考えていた。


 アレを倒すには、胴体、胸の辺りに核となっている男がいる。それを斬り離せばいい。


 引きずり降ろすか、こちらから登るか。


 登るか。



 のっそのっそと地響きとともに開きかけの扉に歩を進めるゴーレム。


 ゴーレムに歩いて近付いていく。ゴーレムは近付いてくる人影を見、しかし興味なさげに視線を外した。天使が来るだろうその時が見逃すまいと。


 そうして俺はゴーレムの二足に近付き、片足に飛び付いた。ゴツゴツとした岩の集合体のため、手足をかけるところに苦労はしない。


 右手は魔力を使わないで動かしているため、少々ぎこちない動きだが、問題は、ない。


 身体能力は低くはない自信はある。


 そのままゴーレムの腰の辺りに大きな石が使われていて、そこまでたどり着く。ゴーレムに登ってからすぐのことだ。実際そんなに大きくないしね。


 そのまま一気に胴体の上部、胸の辺りまで到達する。だが、少し間違えて背中側に来てしまったようだ。


 岩に左手と足をかけて右手に刀を持ち、右腕にこの間に回復した魔力を流す。


 右半身を大きく後ろに反らし、その溜めを余すことなく叩き込む。


 勢いを利用し、刀で思い切り斬り、刀がゴーレムに食い込んだ時に両手持ちにして裂いた。


 まるでそこには何もなかったかのように振り抜ける刀。一瞬だが、刀身が伸びたように見えた、いや、伸びたのだろう。


 その一太刀はゴーレムの胴体を真っ二つにした。


 しかし、刀を振り切った俺の体は大きく反れていて、バランスを保てずに後ろへと倒れ込む。


 この高さで、落下するのはマズい!!!


 しかし、辛うじて背中から地面にダイブする事はなかった。


 ゴーレムが爆砕したからだ。












 村上咲の加速力に驚いたが、どうせ、彼女のことだ。ひとりで何とかできるだろうと、標的をゴーレムに変えた。


 限界まで集中し、ゴーレムの頭部に飛びつけるように、足裏の魔力を調整。


 ………そういえば、何故ゴーレムになる必要が有ったのだろう?


 きっと意味はないと思いつつ、右手に自分の身長程もある長い槍を顕現させる。


 そして爆ぜる。


 敢えて縦方向に回転を加えた。そして相手の頭部に回転の威力を余すことなく叩き込む。縦に炎が入り、ゴーレムは真っ二つとなった。


 そして振り切ってゴーレムの背後に入った時、槍を消し、ゴーレムは爆砕した。











 爆風で飛んでくる岩々、辛うじて大きい物には当たらなかったが、小さな破片が俺の身を襲った。


 着地は爆風の影響で、運良く右手、足の順で地面へと接触。まるでバク宙みたいな動きだが、下手すれば頭から地面に当たっていただろう。


 扉を見ると地面と垂直になって、それ以上に動きそうにない。


 次いで、ゴーレムだったものを見ると、焼け焦げた死体があった。が、何故だろう。それが死んだとは思えなかった。


 そして、その勘の通り、ゆっくりと立ち上がる。


 先程、その姿は燃えていたローブで見えなかったが、立ち上がった今、その異様な様が見える。


「『ふふふははは! 天使様が来るステージが整った! 分かりましたわかります! 奴らを手始めに捧げればいいんだな!?』」


 その声は二重に聞こえる。奴の周囲に渦巻くナニカ。禍々しさを一切感じぬそのオーラと呼ぶべきナニカは、扉から流れ出しており、濁りの無さ過ぎ、何より渦巻く中心の奴の禍々しさとで、より恐怖を与える。


 何より、何よりも……!!


「『溢れるぞ』『この力は』『ありがとうございます』『天使様の』『手始めに捧げれば』『力だな!?』『いいんだな!』」


 その男は、外見が二十代の男と言っても通じるくらい若々しい肉体でそこに仁王立ちしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。