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第1話:両親

両親紹介回的な。

「998…999…1000…」


 夜が明け、まだ村の人々は眠っている朝早く、大きな剣を持って素振りをする男の姿があった。


 男の名はノアル・エールディン


 アルトの父であり、28歳にして村を治める領主でもある。その身に宿る魔紋は<火竜>。竜種の魔紋を持つものは少ないため、本来なら国の騎士へ迎えられるのだが、ノアルはこれを拒み、このハール村の領主として生活している。


「よし、次は……はぁっ!」


 剣に力をこめる、すると右手の甲の魔紋が淡く輝き剣は炎を纏う。<炎を操る>火竜の紋の力の一つである。炎を纏った剣を正眼に構え素振りを再開する。1700回を超えたころ、ふと背後からの視線を感じ振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。


「セリカ……もうそんな時間か、それより、起きても大丈夫なのか?」


 ノアルが心配そうに声をかける。


「ええ、ノアル、もうだいぶ楽になりました」


 そう言ってノアルに微笑むセリカ、彼女はセリカ・エールディン。ノアルの妻でノアルの一つ下の27歳、村の警護団の団長を務めている。魔紋は<氷竜>ノアルの<火竜>と対を成す魔紋であり、高い攻撃力と氷壁による防御能力が特徴的な魔紋である。


「そうか、でもまだ無理はダメだからね、なんてったってキミはお母さんなんだから」

「わかってるわ、ノアル。それをいうならあなただってお父さんなんだから無理は禁物よ?」

「ハハッ、わかってるよ」

 

 苦笑いしながら応えると、家のほうから泣き声が聞こえてくる。


「あら、あの子も起きたみたいね、じゃあノアル、私は朝ご飯の支度とアルトにミルクをあげに戻るから、なるべく早く戻ってきてね」

「ああ、わかった、すぐに戻るよ。ところでセリカ」

「なぁに? あなた」

「キミのミルクは僕も貰っても……」


 ピシィッ そんな音を響かせ一気に空気が凍りつく。


「あなた……なにを言っているのかしら?」


 凍りつくというのは比喩でなく、セリカが魔紋を発動させたため、本気で周囲が凍りだしている。


「ゴメン! ゴメンなさい! 冗談! 冗談だから許してっ!」


 ノアルはすでに足首あたりまで凍り付いていて逃げられない。


「謝ったところで許すとでも?」

「デスヨネー」


 そう言って、凍っている範囲を上へ上へと上げるセリカ、ノアルの腰の辺りまで凍らせた所で


「次言ったらまたお仕置きですからね?」


 そう言ってニッコリと笑うセリカ、首がもげそうな勢いで首を縦に振るノアル。その姿に満足したように家のある方向へ歩き出すセリカ。


「えっ? この氷は? セリカ? どうするのコレ? ねえセリカ? 返事してぇぇぇえええ」


 泣きそうな声でセリカを呼ぶノアル、しかしセリカはそんなことは気にもせず家へ戻って行く。





「まったく、いきなりなんてこと言い出すのかしら…」


 セリカは顔を真っ赤にして家へと着く。その後、ノアルは自分の炎で2時間程かけてなかなか溶けない氷をゆっくり溶かし、家へ戻ると。


「帰るのが遅すぎですよ」


 とまた凍らされるのであった。

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