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ダンジョン

 「悪かったなクエストの件。 それにこんなところまで連れてきてもらって。本当に今回の件は助かったリリィ」


 俺はリリスという勇者の立場を利用してクエストを無理に受けさせ、パーティーにさせて貰った事をリリィに謝った。私欲のためとはいえ随分と無茶な頼みをしたのは自分でも十分分かっていたからだ。


「ほんとだよ。 本来私がいなかったらクエストを受注すらできてないし、それにまだアルトはランクが低すぎて本当は私とはパーティー登録すらできないんだから。それを私の相方にしてくれって無理やりパーティーに加えさせるんだもん。受付嬢のロシアナさんも無茶な要求に凄く困惑してたよ」


「まぁ結局ギルドマスターが出てきて勇者が相方って呼ぶくらいの相手なら特別に許可させてやるって言ってくれたけどな。一筆は書かされたが……」


「コイツは私が責任を持って守るからこのクエストを二人でやらせろって私に言わせてさ。酷いよねアルト」


「いや、ほんとに悪いと思ってるよ。 でもリリィがいてくれてよかった。 こんなことお前じゃないと頼めなかったからな。ありがとな」


「もぉ。 今回だけだからね。 それと私もフロアボスのミノタウルスとは戦うからね。これは決定事項だよ。それといくらレベルを上げたいとはいえ、フロアボスまでに危なくなっても私の判断で手を貸すからね」


「う……分かったよ。 ここまでしてくれてるからな。 文句はいえない。 それにしてもダンジョンは本当に不思議なところだな」


「ダンジョン自体が生きているって説もあるみたいだからね」


「なるほど。 それは興味深い話だな。 ダンジョンに来た人間達をダンジョンから生まれた魔物達が捕食し、それを栄養としてダンジョンコアは生きているとでもいいたいのか。まるでハエトリグサやサラセニア草みたいだな」


 ダンジョンは普通の洞窟とは違い、ダンジョンコアから擬似的に作られた洞窟みたいなところだ。

 特に有名なのはリッチなどの知能の高いフロアボスがいる場合、ダンジョンは整地され、壁やランプまでまで擬似的に作られているところもあったりする。知能の低いフロアボスの場合はその逆が多いというが、不思議だが今回のダンジョンはその中間といったところだ。


 整地までとはいかないが、明かりが灯された比較的歩きやすいダンジョンで俺達は最下層の7層に向かっていた。


 出てくる魔物はコボルトにワータイガー。バトルハーフウルフなど獣人系がやたらと多い。やはりフロアボスのミノタウルスの影響を強く受けているのだろう。

 なるべく一人で倒し、経験値を稼ぎながら俺は進みたいのだが、外の魔物とは違い明らかに連携を使い攻撃を仕掛けてくるのが地味にやり辛い。

 俺は地下5階層まで来た地点でレベルを一気に12まで上げる事が出来たのだが思っていたよりも疲弊してきていた。


「大丈夫アルト? 大分疲れてきてるけど私も手を貸すよ」


「いや、大丈夫だ。 もう少しだけレベル上げをやらせてくれ。 マナポーションはまだ残り3本残ってるから、ここで1本飲んだら最下層の7階まで一気に行くつもりだ」


「確かに疲労とは逆に肉体の動きは信じれないくらい上がってる。 でも私が駄目だと思ったら助けに入るからね。分かったアルト?」


「ああ。分かったよ」


 過保護な姉みたいな台詞をリリスは言うが、それだけ俺のことが心配なんだろう。

 俺としては探さなくても湧いて出てくる魔物には探す手間が省けて助かってたのだが、ミノタウルスを倒すにはもう少しだけレベルを上げておきたい。

 そのためにはあと一踏ん張り必要だ。



 そこから7階層まで降りてフロアボスまでにあと少しというところで、今までいなかったリザードマンの上位種、ハイリザードマンが立ちはだかった。


「クォ……ォォ」


「ハイリザードマンか。 だが、ここにきて敵の数が明らかに減ってきたのは失敗だったな。単体の強さより集団で戦われる方が厄介だったよ。じぁあな。お前の経験値を頂くぞっ」


 キンキン、ガッ!! キンキンッ!!!


 ハイリザードマンは確かに強い。ダンジョンに入った時のレベルだったらリリィの助けがなかったら厳しかったかもしれないが、今の俺には問題ない!!!


 ズバァァァ………ン


「ギェェェ……ェ…!!」



 なんだ大した事ないな。ゴーレムほどの硬さを誇るハイリザードマンと聞いていたが、何匹狩っても似たような手応えだった。それほど今の俺の攻撃力が並外れて高くなってきたのだろう。

 なんだかんだで気付いたら最終のフロアボスの部屋の前まで到着したな。


「ようやくレベル17まできたな」


「もう驚かないよ………」


「そんな呆れ顔で見るなよ。リリィは今どこまで上がってる?」


「今はレベル20かな。 下級職なら上級職に転職できるレベルだけど、勇者の私には関係ないけどね」


「俺はあと少しだ上級職になるまで。 おそらくミノタウルスを倒したらレベルも20になれるはず。 このデカい扉の向こうにはもうヤツがいるだけだ」


「そうだね。 でも絶対に油断しないでね。 ミノタウルスはかなりの強さだって聞いてるから」


「ああ。 分かってる。 行くぞリリィ」


 俺は覚悟を決め、デカい扉を勢いよく開けた。



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