冒険者
編成パーティーにも慣れてきた頃、俺は秋に行われる一学年の交流戦で優勝する為にある対策を考えていた。
それは15歳からなれる冒険者登録をするの事だ。 俺は先日誕生日を迎えた事で登録出来るようになったからだ。
リリィに誕生日を言っていなかった事は後で凄く怒られたが反省はしていない。
あの時の怒ったリリィの顔は久々に初めて出会った時のようで怖かったが最後にはちゃんと祝ってもらった。
そしてその目的の場所に俺とリリスは足を運んでいるのだが、リリスと話をしていて全然知らなかったのだが、リリスは勇者なので冒険者ギルド登録は必要ないらしい。
むしろ王国からの要請で魔物討伐をしに行くぐらいだから、冒険者ギルドのクエストくらい王国から渡されている特別許可証でパス出来るらしい。流石は勇者といったところだ。
それと、あれからリリスはネコのネックレスを肌身放さず着けてくれている。
本当にえらく気に入ってくれたみたいで、毎日部屋に帰るとネコを眺めては嬉しそうにぴかぴかに磨いている。
普段は見えないようにシャツの中にしまっているみたいだが、俺としても大切にしてくれているのは嬉しい。リリィが嬉しく思ってくれているのなら多少無理してでも買った甲斐があるってものだ。
「着いたな。 ここか冒険者ギルドは」
「うん。 入ろっか」
扉を開け中に入っていくと、王都だけあり他の冒険者ギルドとは大きさの規模が随分と違う。中にいる冒険者達もいかにもベテラン揃いといった感じだな。
俺みたいなルーキーは見たところあまりいなさそうだ。
それに入ってからじろじろと俺に対する視線が鋭い。長居は無用だ。さっさと奥のカウンターにいる受付嬢に声をかけて登録を済ませることにしよう。
「冒険者登録を済ませたい」
「ご新規の方ですね。見たところ学生さんかと思いますが、登録は15歳からになっておりますので、確認のため学生証を拝見しても宜しいですか?」
俺は言われた通り学生証を受付嬢に見せ登録を進めていく。
受付嬢の名札を見るとロシアナという名前が書かれている。見たところ20代で綺麗な人だが、てきぱきと無駄のない業務進行はベテランの雰囲気がある。
一通り説明を聞いた俺は同意書に署名をし、ライセンスプレートを貰う。
当然Fランクからだが、これでにわかではなく、本当の冒険者になれたというわけだ。
だが、冒険者登録をするのが本来の目的ではない。ランクもそのうち上げるつもりだが、俺は別の目的があって来たのだ。
ボードに幾つも張り出されたクエストの中から目的の一枚を探す。
確か、話が上がったのはごく最近だ。討伐されてない限りは残っているはず。
「これだ、リリス。 このクエストを受けるぞ」
「まずお決まりの薬草採取からよね……って、えっ? これって」
「そうだ。 ダンジョンだ」
この王都付近に突如として出現したダンジョン。
ダンジョンは世界各地に存在し、ダンジョンコアが破壊されるとダンジョンも消える。
ダンジョンが何故出現するのかも、死んだ魔物がまた自然に湧くのも解明されていないが、俺には関係ない。俺がやるのはダンジョンコアにいるボスを討伐するだけだ。
「ここのダンジョンボスが確認されたのは確かレベル25以上対象のミノタウルスだよっ!」
「そう。半人半牛のミノタウルスだな」
「だな。じゃないよ! いやいや、ほんとにいくらなんでも無理だよ! 今、王国からも騎士団に要請がかかるとこまでいってる案件だよ! 冒険者でもAランク推奨してるし、私も昨日要請がきたくらい強い魔物なんだからっ!」
ミノタウルスのスキルは強力だ。並の冒険者なら即殲滅させられるくらい強いと聞いている。特にミノタウルスが使うスキル[闘牛の疾風]は重騎士の大盾でないと防げない。いや、それがなくとも単体で強いだろう。
スキル
[咆哮]
萎縮の状態異常
速度低下(小)
詠唱遅延 (小)
攻撃力低下 (小)
[闘牛の疾風]
直線によるスピードアップ(大)
加護
[殲滅の加護]
悪魔の契約により攻撃力(大)
防御力低下(中)
中でも終盤から使ってくる[殲滅の加護]も強力だ。圧倒的な攻撃力で猛攻してくれば俺とてどうなるかは分からない。
だが、今の俺にはリリスを利用してクエストを受注してもらい、誰よりも先にダンジョンを攻略する必要がある。
俺はリリスの反対を押し切りクエストを受注することにしたのだ。
レベルの差はある。だからこそ、ここからかが本番。命のやりとりをやってやる。




