最高の笑顔
「わぁ。やっぱり凄いねアルト。 いちど来てみたかったんだ。 ありがとアルト」
「まぁ。 今まで俺の方が随分と連れ回したからな。 たまにはいいだろ」
「うん」
休日に俺達は王都の商店街を歩いていた。
リリスと一緒にいる時間が減った事と、夜はレベル上げに付き合わせてた埋め合わせをする為に、前にリリスが行ってみたいと言っていた街に二人で繰り出す事にしたのだ。
こうして商店街を歩いてみると、小さな小物からアクセサリー、野菜や果物、あまり見ない古着など本当に色々な物が売っている。人通りの多さも流石は王都だ。賑わいも他の街とは比べものにならない。
隣にいるリリスはというと、どのタイミングで買ったかはわからないが、いつもの服装とは違い髪を下ろし、短いスカートを履いていかにも女の子といった感じで、本人も随分嬉しそうにしいるのだが、あまりの可愛さにすれ違う男達が皆リリスを二度見している。
確かに俺でさえ街で出会ったら振り返ってしまうくらい隣にいるリリスは魅力的に見写っている。
本当に男装している時のリリスとギャップがありすぎて街で誰かと出会っとしてもリリスとは誰も気付かないレベルだろう。
それにこうして周りの反応を見て、手の届かないような女が実は俺の彼女だと思うと気持ちがいいもんだ。優越感に浸れるな。
まぁ、当の本人はそんな視線なんて全く気にしてない様子だが
リリスの視線の先に目をやると、幾つも露店が並んでいる一角の雑貨屋で目が止まっている。
なるほど、あそこに並んでいるアクセサリーが気になるのか。前に言っていたな。キラキラした可愛いアクセサリーが好きだったと。
「なぁ。 お婆さん。 この並んだアクセサリーを見せて貰ってもいいか?」
「えっ?なんでわかったの?」
「分かるさそれくらい。アクセサリー気になってるんだろ?」
「……うん」
「あら王都の学園生かい。いらっしゃい。 どうぞ好きなだけ見てっておくれ。 可愛いアクセサリーも置いてあるからね。きっと隣の素敵な彼女さんも喜ぶと思うよ」
「か……彼女」
そう言ってリリスは耳まで真っ赤にし、恥ずかしそうな顔をしている。
まぁ、二人で来て見てたらそう思われるよな。しかし他人に言われるとようやく実感が湧くな。自分の彼女だと。
リリスが手に取ったプラチナ製のネックレスには可愛い猫がアクセントで付いている。
ニャアと語りかけるように笑顔の猫は俺が見ても確かに可愛い。
「このネコちゃん。すごい可愛い」
「流石素敵な彼女さんだねぇ、お目が高い。 この猫は幸せを呼び込むネコと言われていてね、身に付けていると幸運が訪れると言われているんだよ。 加護は付いていないけど買ってくれたお客さんがよく感謝を言いに来てくれるんだよ」
何か胡散臭い話だが、そんな事はいい。俺としてはリリィが気に入るかが重要なだけだ。
男の俺には買えないが、リリィが身に付けるならとても似合うだろう。
値段を見ると7万チコルか。学生の俺にぎりぎり買えるくらいだ。
後の生活がきつくなるかも知れんが、まぁレベル上げついでに魔物討伐で稼げはいいだけの話だ。小さい事を気にする事はない。
それにリリィの顔を見てたら分かる。こんなに目を輝かせて見ていたら欲しいに決まってるだろう。
「お婆さん。 これ貰ってもいいか?」
「えっ? だってこれ高いよ。 私は見てるだけで十分だから、気にしないでよ」
「いいんだよ。 それに俺が買ってやりたいんだ」
「ありがとさんね。 彼氏さんも学生なのによく頑張ってるねぇ、偉いもんさね。素敵な彼女さんにも幸運が訪れますように私からも神様にお願いしておくよ。 ほら、せっかくだから大事な彼女さんに付けてあげな」
「なら、リリィ俺から着けるぞ」
「……うん。」
俺は背中まで下ろした長い髪の後ろまで手を通し、細い首に可愛いネコの付いたネックレス着けてあげた。
今にも泣き出しそうなリリィは誰にも見せたことのない笑顔で俺にこう伝えてくれた。
「ありがとうアルト。 一生大事にする」




