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スキャンダルアイドル  作者: 秋元智也
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20話

朝まで持つわけもなく、気がついたら意識が無くなっていたらしい。


朝から起き上がれずにいると医者が慌てた表情で駆けつけてきた。

あれやこれやと色々と聞かれ、診察で脱ぐとあちこちに鬱血した痕が

残されていた。


脈も少し早かったらしく、今日は大人しくする様にと言われてしまった。


流石にやり過ぎたらしい。

そのあと2時間後に再び医者が訪ねてきた。


少し恥ずかしくなると今日二度目の診察を受けている。

それも、いつもと違う項目も追加された。

今それが一番恥ずかしい。

肛門を器具で開かされると中の診察もしているのだ。


「あの〜大丈夫だと思うんですけど…」

「坊ちゃんからの指示で昨日は少しやり過ぎたのでしっかり診察する様に

 言われてます」


と返された。

俺だけどんな罰ゲームだよ!医者にこんなところ見られたくないよ!


文句を言いたいが本人は仕事で外に出ている。

窓の外で今日の計画の為に車を手配した巽が来ていたが、この状況を見られ

て恥ずかしすぎて声も出ない。

別にセックスしている訳ではない。

ただの診察だ。診察なのだが…肛門の中を開かされて見られているなんて知ら

れたくもなかった。

終わるとビニール手袋を外すと薬を手渡された。


「少し腫れているようなので塗って置いて下さい。頻度が多いようなので…」


言葉を選んで言っているのも分かるだけに、それ以上言わないで欲しかった。

やっと帰ると巽がひょっこりと出てきた。


「涼さん、さっきのは?何かあったんですか。」

「何もないよ。昨日怜がしつこかっただけだよ。」

「それはセック…」

「それで?準備はできてるの?」

「はい。ですが、いいんですか?兄さんに言わなくても…」

「言ったら止められるだろ?少しだけだから、すぐに帰ってくるし、平気。」


そう言うと、巽と一緒にこっそり抜け出したのだった。

昼のご飯を持ってきた女中によってそれは発覚した。

すぐに怜のところへ連絡が行き、叔父さんである巽の父親の松島プロデューサー

へも連絡がいった。


「松島叔父さん、どう言うつもりですか?涼を連れ出すなんて、何を意味するか

 分かってますよね?父に言って二度と援助は受けれないようにできるんですよ?

 自分の息子くらいちゃんと管理して下さいよ。」

「面目ない。まさか、またそんな事をするとは…離れには近づかないように言っと

 いたのだが…」

「現に車も勝手に持って行ったみたいですし、涼の姿がないんですよ?すぐに捕ま

 えて下さいね」


厳しく言うと追跡をかける。

車のナンバーからどこを通ったかを割り出して今いるであろう場所を検索する。

すると海岸へとたどり着いた。


『怜、俺海に行きたいな。一緒に行かない?』


いつかそんな会話をしたっけ?

でも、まだいつ発作が起きるかわからないからと却下したのだ。


急いで車を走らせるとかっ飛ばす。



海では、靴を脱ぐと涼はどんどん歩き始めた。


足元まで水が押し寄せてくると、冷たくて気持ちがよかった。

そして砂と一緒に戻っていく。

足にじゃりじゃりした砂の感触が絡みつく。


「もうそろそろ帰った方が…涼さん、もういいですよね?怒られちゃいます」

「うん、もういいよ。帰って…俺はここに残るから…」

「だめです、そんな事したら俺が…」

「そう、俺を連れ出しただけでもう、遅いと思うよ?怜は決して許さないと

 思うし…」

「そんな…兄さんを怒らせたくないのに…涼さん、帰りましょ!今すぐに…」


無理矢理掴むと引っ張ろうとする。


「痛いって、離してよ…ならこうしよう?」


荷物からキッチンに置いてあった果物ナイフを取り出した。

巽に突きつけるとすぐに手を離した。


「いい子だから早く家に帰るんだ。さもないと…これで終わりだよね?」


ナイフの刃先を自分の首元に当てた。


「なっ、危ないですからやめて下さい。そんな事なったら俺、兄さんに殺さ

 れますよ!」

「どっちにしろもう、遅いと思うよ?いっそ逃げたら?俺を置いて逃げれば?」

「そんな事は…俺が悪かったから…お願いします。家に一緒に帰って下さい。」


巽は頭を砂に擦りつけるようにつけると土下座してきた。

よっぽど絞られたらしい。


しかし、そんな事は知らない。

自業自得だ。

ゆっくりと後ろへと下がっていく。

くるぶしまで水がくると、転びそうになったが耐えるとそのまま歩き出す。


腰まで浸かると流石に身動きが取れない。

巽はそばに寄ろうとすると声を荒げて牽制した。


「それ以上来るな!来るようならっ…っ…」


ナイフに力を込めると首元に痛みが走った。

温かいものが流れていくのが分かる。

多分切れたんだ思う。

痛い…予想以上に痛い。

でも、こんなところで辞めるわけにはいかなかった。



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