↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキャンダルアイドル  作者: 秋元智也
44/55

14話

この前の出来事があった後、巽はテレビから消えた。

屋敷での軟禁を余儀なくされていた。


その詫びという事で松島プロデューサーからジェニスへの番組出演依頼と

短編ドラマの作成依頼が舞い込んできた。


今は旅行企画中で社長が電話を取ると喜んで了承していた。


「何という幸運!しかし、涼は売れ行きがな〜ドラマの事はいいが、問題が

 多すぎる…全く怜が指名しなかったらわざわざグループになんか入れない

 というのに…」


ぼやくように愚痴を零した。

いっそ辞める口実はないかと悩んだ。

しかし、見つけられずにいる。


「まぁ、最近は金のなる木になってきたし、我慢するか!」


社長は上機嫌で鼻歌を歌いながらオフィスを出た。


旅行も終わりを告げ、車に乗り込むともうカメラは回っていない。

メンバーとの団欒は新鮮だった。


「楽しかった〜、またこんな風にこれたらいいな〜」

「今度はさ〜個人的に来ようぜ!あ、お金ならみんなで出せばいいしさ〜」


気を使った聖に苦笑いを浮かべると涼は頷いた。

そんな折、怜が言葉を遮るように話しだした。


「涼、お前の使ってるローン会社に行ってきて全額俺が立て替えて払って

 きたから。もう、借金は無いぞ」

「えっ…な、なんで?」


そこにいる全員が驚いた。

いきなり何を言い出すのかと。


「それと妹の学費だったか?卒業するまでの分は送金してやった。これで金

 には困らねーだろ?」

「それは…そうだけど…どうして?」

「明日、事務所を辞めろ。そんで俺の女になればいい。」


唖然とするメンバーの顔と春の慌てる声が重なる。


「なんでそうなるんだ!」

「どうなってるの?」


涼自身も意味が分からなかった。

いきなりの事で何がどうなっているのだろうと疑問に思う。


「だから俺が稼いでやるから家にこもってろって言ってんだよ。俺の機嫌

 だけ取ってればそれで…」

「嫌だ…なんでそうなるんだよ。毎回毎回辞めるって人を脅しておいて、

 今度は辞めろなんて…酷すぎる…そんなに俺の事が気に入らないなら

 なんで助けたりすんだよ!他っとけばいいだろ?」

「そうじゃない!だから〜俺の側にいろっていってんだよ。」


周りから見たら横暴な言い方だった。

理由を知っている春には辞める事には賛成だが、怜の元に行くのは反対だった


一番困惑しているのは涼自身だろう。

借金は消えてもそれは怜への借りになってしまう。

そうなれば、今までとなんら変わらない。


一生対等にはなれない。

このままずっと、怜の言いなりに生きていくしかない。

それは怜が女を連れ込めば、我慢してそのあとで女の代わりに股を開く。

抱かせろと言われれば逆らう事も出来ない。もう、うんざりだった。


「最低だよ…何でそんな事するんだよ…」

「それは…お前を…」

「どれだけ俺を惨めにさせれば気がすむんだよっ…」


咄嗟に出たのは、涼自身の本音だった。

ずっと我慢してきた本音。

隠し通してきて言葉。

ずっと言えずにいたのに…こんな形でいいたくないのに…。


楽しいはずの旅行企画だったのに…。

最後で全部ぶち壊してしまった罪悪感を抱きながら家へたどり着いた。


「涼、家まで送るよ」


春がいつまでも口をきこうとしない涼に話かけるが首を振って否定す

ると、逆側へと歩き出した。


その後ろを追うように怜が歩き出す。


「おい、これ以上傷つけるなよ!」

「いつかは知らないといけないからな。いっそこれでいいだろ?」


何がこれでいいのか分からないが、今の涼を一人にはできなかった。

後をおうように追いかけてようとして怜に引き止められた。


「一人にしておけ…俺が見てるから」

「それが心配なんだろ?離せよっ!」


腕を振り払うと睨みつけた。


「俺が連れ帰ると言ってるんだ。あいつはもう俺のモノだ。言った

 だろ?金で買えないものはないって。その通りだっただろ?」


春にグループを組んだ時に怜が言った言葉だった。


『女も地位も人気さえもこの顔と金が有ればなんでも買えるんだからさ

 そんなに頑張る必要ないだろ?』


その言葉に一番苛ついたのは涼と春だった。

いつも頑張って努力して、それでもダメなら、それ以上に頑張るだけだ

とお互いに励まし合った。

そんな涼を金で動かすなんて、裏切り行為でしかない。


「それは一番涼が嫌がる事だって知らないで言ってるのか?」

「そんな事、関係ねーだろ?俺に借りができたんだ。返さずに逃げるよ

 うな奴なのか?違うだろ?」


そうだ、涼は決して裏切らないし、恩はちゃんと返す人間だ。

だからといってこんなやり方は間違ってる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。