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スキャンダルアイドル  作者: 秋元智也
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10話

涼の退院が決まると、あとは通院だけでいいと言われた。

会計はいいと断られると疑問に思う。


家に帰ると怜がいつものように待っていた。


「どこか食べに行くか?」

「会計払わななくていいってどう言う事?怜が何かしたの?」

「あぁ、それなら巽の父親が全額払ったよ。元はといえばやつのせい

 だからな!」


あの日以来、巽をみていない。

芸能界を引退したのか?とも思ったがそう言ったニュースもない。


「巽くんは?」

「それを聞くのか?涼、お前何をされたか覚えているのか?」

「うん、多少なら。すっごく悲しそうにしてたから…殴ってる巽くんの

 方がよっぽど痛そうだったんだ…だから…」

「家で軟禁されてるよ。その前に同じドラマの女優をレイプしてたみた

 いだし、父親の怒りを買ったってとこだ。」


兄さんと言うだけはあって、怜にそっくりなところがあるらしい。


「そっかぁ〜、」

「身体は平気か?辛くなったらすぐに言えよ?」

「もう大丈夫だって。あとは腕だけかな〜ちょっと不便だけど。すぐに

 治るよ」


涼は仕事に復帰するつもりでいるらしい。

せめて番組の旅行企画だけは何も言わずに見守ろうと決めた。


そのあとは、絶対にやめさせる。

命に関わるとあってはこのままではいさせられない。


東京駅から電車とバスを乗り継いで温泉旅館へといく企画に涼は嬉しそう

にしていた。

楽しみだったのだろう。

最後の仕事だとは知らずに、目一杯楽しませてやりたかった。


5人でワイワイ話しながら車両を貸切にさせて、スタッフのみんなとの

旅行だった。

見知ったスタッフばかりで気がしれていて、気を使わなくていい分、楽だ

った。


「今度トランプしない?」


聖の騒がしい声が響く。

涼もいつのまにか笑顔になっていて、最近では滅多に見ていなかった事を

思い出した。


怜が命令を言うたびに笑わなくなった。

病院から抜け出してきたあの日。

ナカ出しした後にお腹をさすってあの言葉を聞いた時も、笑った気がする。

綺麗だなと思ってしまった。


「怜も、やる?」

「はぁ?ここでか?」


いきなり言われた言葉に返した言葉が全員の視線を浴びて聞き間違いだと

気付かされた。


「トランプなんだけど…」


察した涼が罰が悪そうに見上げてきた。


「いや…やらね〜」


みんなの視線に耐えられず断った。

最後くらいみんなに付き合ってやってもよかった。

涼が喜ぶならそれもやぶさかではない。


「あ〜、どうしてもって言うなら付き合ってやっても…」

「怜はいいよ。涼、やろうぜ〜」


聖はさっさと見切りをつける。

樹はそんな聖と怜のやり取りに笑いを堪えるのに必死だった。


「やりたいならそう言えばいいだろう?」

「やらねーって言ってたじゃん?」

「天邪鬼なんだよ。ね?怜…」


笑うとこっちと手を振ってくる涼に心が和む。


春はムスッとすると、ボソッとこぼす。


「嫌なら来なくていいんだぞ?涼の横は俺の席なんだからな?」

「おいおい、誰が決めたんだよ?」


電車での騒がしい旅も新鮮で楽しかった。

バスを乗り継ぎ旅館へとたどり着いた。


部屋割りは怜、涼、春が同じ部屋で、聖、樹がどう部屋になっていた。


「卓球場もあるらしぞ〜、行ってこようぜ!」


聖が騒ぐと樹も付き添っていった。


「まずは荷物を部屋に…あれ!怜、俺が持つって…」

「その手じゃ持てねーだろ?春は自分の分は自分で持てよ!」

「分かってるよ。涼、疲れてないか?少し休むか?」

「大丈夫だよ。少し近くを散歩しようかなって思って」

「そうだな、俺も行こうかな〜」


春は涼にべったりだった。

ひとときも離れようとはしなかった。


怜のイライラは募っていくばかりだ。

しかし、この旅行だけは涼の笑顔を絶やすわけにはいかない。

そう決めたからには、我慢だと自分に言い聞かせた。


が、しかし。

我慢の限界だった。

早々に部屋を出ると外のテニスコートへといった。

そこでは他の客がテニスを楽しんでいた。


「お嬢さんがた、一緒にどうですか?」

「えーーー!ジェニスの怜さんですかぁーー!きゃぁぁ。本物だわ」


きゃぁきゃぁ騒ぐと一緒にプレイする事になった。

連れの男には悪いがストレス発散させて貰う。

ぼろぼろに負かすと女性達から部屋番号を教えられた。

これはお誘いなのだろう。

気分が良くなると後ろを振り返った。

すると、涼と目があってしまった。


あ、なんか誤解されてないか?


駆け寄ろうとすると女性に腕を組まれていて、涼の元にいけない。

横にはちゃっかり春がいた。

一緒に素通りすると行ってしまった。



荷物を置くと外を歩こうと言って出てきた。

春とは久しぶりに話す。


「涼が回復して本当によかったぁ〜」

「心配かけてごめん、でも、ありがとう。春が来てくれなかったら今頃

 どうなっていたかと思うと…!」

「ん?どうした?」


涼の視線の先でテニスを楽しむ怜の姿を見つけた。

女子に囲まれて楽しそうにしている。

何やら番号を渡されている。


涼の目が苛ついているのが分かる。


「向こうに足湯があるらしいぞ。行かないか?」

「そうだね、行こう。どーせまたちやほらされて喜んでるんだし…」


少し棘がある言い方だった。

最近涼の感情が見やすくなった気がする。

前は隠そうとしていた分、最近は隠そうともしない。

ストレートに出てくる。


その方が涼らしくていい。


「俺は今の涼が大好きだよ」

「春…ありがとう。やっぱり春は俺の親友だよ。俺も大好き〜」


抱きしめるとそこもカメラが回っている事を理解していなかった。

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