第9話 冒険者ギルド②
あと1回連投します。
測定室前に着くと、すぐに中へと通される。
部屋は薄暗く、あまり大きくなかった。
だが、何人もの職員がそれぞれに何かをしている。
装置が淡い青の魔力光を発しているせいで、それなりに視界が利く。
ガザのは薄いピンク色の光だったから、機械ごとに色々違うってのは本当のことのようだ。
「ソードさん。では、こちらの台座の上に立ってください」
白衣のおっさんが俺を呼んだ。
室内の職員たちの中でも偉い方なんじゃなかろうか。やせぎすで、いかにも技術師っぽい雰囲気を持っている。
指示に従い、台座の上に乗った。
さっきのおっさんが機械を操作し始めると、台座の上にある発光する石から強い光が照射された。
すっぽりと包まれてしまう。いきなりだったので、ビクリと体が震えた。
「何も問題ないですから、そのままでいて下さいね」
おっさんは、そう言って落ち着かせようとする。無表情で。
多分、よくある反応だったのだろう。
さっきはいきなりでビビったが、大丈夫と言うならいつまでも騒ぐ気はない。
待つことしばし、光が収まった。
しかし、
「はい。これで終わりで……す? って、なんだこりゃ?!」
それまでは良くも悪くも役人みたいだったおっさん。魔法ディスプレイの画面を見ながら、急に慌てふためきだした。
落ち着けって言った本人が、なんで騒いでんだよ。
「どしたん?」
と、さすがに気になって台座から降りた。側まで行って、ディスプレイの画面を覗きこむ。
「って、なんだこりゃ?!」
おっさんではないが、そう叫ばずにはいられなかった。
なぜなら────。
俺のステータスが書かれているはずの項目が無茶苦茶……というより、誰かの悪ふざけだとしか思えない状態になっていたからだ。
ディスプレイには色々な情報が表示されている。
が、いま見るべきところは三つ。
『名前:ソード=マスター 年齢:19 性別:男 身長:182 体重:75 職業:戦士 経験値:0 レベル:1 状態:槍の祝福』
ここは問題ない。
『スキル:剣術LV1/槍術LV2/弓術LV1/投げ槍LV3/クラフトLV1/必殺LV1/罠識別LV1/罠解除LV1/解錠LV1/忍び足LV2/悪知恵/強欲/狂戦士/乾坤一擲
技:ゲイズ・サンダーボルト ≪見惚れる天雷≫ /雷属性』
ここも問題ない。
スキルに関してはどんな効果かは知らんが、グリニアでカードを作った時と同じだし問題ない。
技ってのはまあ、雷魚狩りに行った時に覚えたアレだろう。
俺の奥の手だし、必殺技と言えば必殺技だ。名前がついていたのにはビックリしたが、悪くない。以降、そう言うことにしよう。
問題は次だ。
『器用さ:やるやん 力:いいかんじ 知恵:パー 信仰心:悪魔の良心くらい? 生命力:G・クマムシ 素早さ:ゴキブリ 運の良さ:クソやん』
…………。
「おいっ! ふざけてんのか!」
そう怒鳴る俺をいったい誰が責められようか。
思わず、おっさんの胸ぐらを掴んで揺する。
「ソードさん、ソードさん。お気持ちはわかりますが落ち着いて! ふざけてなんかいませんから、まず落ち着いて!」
白衣のおっさん、揺すられた勢いでズレた眼鏡もそのままに、ひたすら俺を落ち着かせようと頑張る。
でも顔色を見る限り、落ち着けと言っているおっさんの方がパニックを起こしているのは明らかだった。目がガンギマっている。
それを見ていたら、逆に心が静かになってくる。
思わず掴んでしまったおっさんの胸ぐらからも、手を放した。
「あーっと、すまない。時に聞くが、ランドールのステータス表示って、こんなんなわけ……ないよな?」
おっさんは乱れた衣服を直しながら、大きく首を縦に振る。もげそうなくらいに。
「当然ですよ! うちの機械は見つかっている機械の中でも1、2を争う高性能なんです!」
まあ、そうだよな……。
金を持っている大国のギルド様だ。しょぼい機械なんか使っているわけがない。
「通常、うちのステータス表示は三桁の数字なんです」
なるほど……。
ガザのカードはSとかAとかB+とかの表記だったから、確かにこっちの方が細かい。でも……。
「……数字なんて、どこにもないが」
思わずツッコんでしまう。
「だから、おかしいって言っているんですよ!」
再び大きな声を出す白衣のおっさん。
目を見開き、顔の筋肉をヒクヒクと痙攣させている。周りの職員たちも、互いに顔を見合わせながら無言で立ち尽くしていた。
そこに、部屋の入口の方から落ち着いた太い声で尋ねられた。
「いったい何を騒いでいるんだね?」
振り返ると、白髪をオールバックにした渋いおっさんが中を覗いている。
鋭いまなざしで、こちらの様子をうかがっていた。
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