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クズの槍使いが自由に生きて英雄になる方法~手配No.1072 ソード=マスター~  作者: 木庭 秋水


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第2話 ガザの宝物庫

次回の投稿は、このまま5話まで連続投稿します。




 ぬ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~~~~ッ!


 廊下に飛び出した俺を待っていたのは衛兵の群れだった。隊長格の者が咥えた笛を吹き散らす。


 だぁぁぁぁ、無茶しやがって~~~。


 ──右、──左、──左、──右。


 力の限りに逃げまくった。


 このくらいで俺をどうこうできると思うなよ? 盗賊団のアジトを襲ったときの『テメー殺す』感は、こんなもんぢゃねーよ。


 石の螺旋階段を五段飛ばしで駆けあがり、窓から外に抜けては塔の外壁を這い降りる。再び建物に入って隠れ、石の階段を飛び下りた。


 どんだけ湧き出てくんだってーの。少しは自重しやがれ。


 それに……ここはなんだ?


 本来なら、地下に逃げるなんてするべきじゃない。


 だがやむを得ず降りたら、レンガ壁に石畳の小奇麗な通路が続いていた。一定の間隔で、両壁に松明もかかっている。


 下も……。


 キレイに掃かれていて小石ひとつ落ちていない。そんな石畳の廊下が、奥の方まで続いている。


 なんだ、ここ。


 松明の煙がかすかに流れている。


 入ってきた場所の他にも、どこか外に繋がっている所があるようだ。


 一階に戻れる階段がもう一つある?


 俺を探す声が、後ろから聞こえてくる。


 戻るのは止めた方がいいな……。


 奥へと進んでいく。


 カツカツと鳴る足音が、思いのほか響いた。レンガの壁で反響している。


 ちっ。


 こんな狭い道で囲まれたら、さすがの俺様でも終わってしまう。


 仕方がない。


 革靴を脱ぐ。靴ひもをつなげて首からぶら下げた。足の裏は汚れるし冷たいしで、おもっくそテンションが下がるが仕方がない。


 できれば脱ぎたくない。でも、大量の衛兵との鬼ごっこはもっと嫌だ。


 とりあえず、そのまま奥へと進んだ。


 曲がり角で、敵にバッティングしないことだけを祈る。


 ん? 明るい……。


 少し進むと、開けた空間が見えてきた。これまでの薄暗い松明の明かりとは違う感じ。たぶん、外光だ。


 気配を消しながら近づいてみる。ちょっとしたホールみたいになっていた。


 小奇麗な部屋で、B1から1Fまで突き抜けている。光はそこから入っていた。


 ただ、妙に小奇麗すぎる……。


 それに、地下にある部屋にしては、なんというか『品』がありすぎる。


 石畳の床の上には赤い絨毯が敷かれ、ホールの白壁にはタペストリーもかかっている。観葉植物も飾られ、あまつさえ小さいが水路まであった。


 壁には石の獅子。きれいな水をジョロジョロと吐き、それが跨いで通れる程度の水路を通って流れている。


 そして……あれだよな。


 チラリと視線を向ければ、やたら荘厳な扉。


 こんな小国の王城には、不似合い極まりない。


 その扉の両脇には、謁見の間と同じように、ハルバードを持った衛兵が一人ずつ立っている。


 なんだ、ここ? 


 いや、その前に。とりあえず衛兵が二人……と。


 どうしてくれようか。


 まともに戦ってもいいが……騒ぎを聞きつけた他の衛兵どもに駆けつけられたら厄介だ。


 とりあえず、懐をまさぐる。


 と……あった。


 良い物残ってんじゃん。


 日々サバイバルな生活をしていると、いざという時の備えは欠かせない。


 感触でわかる。これは──眠り玉だ。


 この前、モンスターの巣を襲った時に使った。


 胸元から手を引き抜くと、間違いなく眠り玉。


 都合がいいことに火もある。


 壁に松明が燃えている。導火線に火をつけるくらいは訳ない。


 おーし、この手でいこう。そうしよう。


 メーカーの謳い文句では『不眠症の魔神も眠る』だ。


 たかが人間二人くらい、イチコロでなくてはならない。まあ、今まで失敗したことはないが。


 でももし、ここで失敗するようなら過剰宣伝。メーカーの工場燃やして成敗だ。


 ここ一番で役に立たないものなど、この世に必要ない。


 ナムサンッ!


 ハゲから教えてもらった祈りの言葉をつぶやき、眠り玉を放った。東方からやってきたとか言っていたが、今でも元気にしているだろうか。


 地面に落ちる前から、眠り玉はモウモウと煙を上げる。


 静けさに包まれるホールを、ゆっくりと飛んでいった。扉横に立つ衛兵ふたりは、突然のことにポカンと呆けたままだった。


「げほっげほっ。な、なんだ?」


 なんとか声をあげたのが聞こえてくる。すでに視界はかなり白くなっていて、相手の姿は見えない。


 しかし、その直後。


 玉の吐く煙の勢いは一気に強まり────。


 ドシャ。ドシャッ。


 二つの大きな何かが倒れこむ。そんな音が聞こえてきた。


 よーし。いっちょあがりぃ。やるじゃないか。


 工場よ、今回も無事生き残ったな。また買ってやるから、しっかり作っておけよ。


 事がうまくいくと足取りも軽くなるというもの。ルンルン気分で、床に転がる衛兵の間を抜ける。


 しかし……なんだな。


 呆れるほどにデカい。


 扉を見上げていたら、首が痛くなった。

お読みいただきありがとうございました。


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もちろん、リアクションだけでも結構ですので、ぜひよろしくお願いします! 無茶苦茶作者のモチベーションが変わります。




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