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探偵アケチの黙視録  作者: 弐乃
落ちる警官
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フミヨの御伽噺11 柔道少年ロクロウの復活

 柔道名門中学校に進んだロクロウですが、残念ながらロクロウは学校に馴染めませんでした。

 なんと言ってもロクロウはまだ中学生です。まだまだ子供なのです。家を離れて寮生活を送るのは少し早かったのでしょう。

 そもそも寮というのは集団生活の場です。いかつくむさ苦しい柔道少年たちが一つ屋根の下に暮らすのです。寮には監督の部屋もありますが、1年生から3年生まで、総勢20名が暮らす寮の隅々までは目が届きません。

 ロクロウは寮生活にストレスを感じ、塞ぎがちになりました。そうなるとなかなか周りにも馴染めません。

 ロクロウは周囲のからかいや嘲笑の対象となり、いじめられるようになったのです。

 こうなるともう柔道にしろ、勉強にしろ上手くはいきません。夏休み前になり、異変に気づいた柔道部の監督は、寮内を小まめに見回ったり、いじめ首謀者に注意をして回ったりして、ロクロウを庇ってくれました。わざわざ寮まで来て

 ロクロウは柔道を辞めるわけにはいきません。そもそもスポーツ推薦での入学ですから柔道を辞めると学校にもい居づらくなってしまいます。

 ロクロウは歯を食いしばって耐えました。時折崩れ落ちそうになる心を叱咤激励しながら必死に耐えました。

 こうしたロクロウの苦労は実家の両親の知るところとなりました。そのことに心を痛めた両親はわざわざ寮までやって来てロクロウを励ましてくれました。

 こうしてロクロウは中学3年間の寮生活を必死に耐え抜きました。両親も良く頑張ったと褒めてくれました。

 ただ、それが限界でした。寮生活への適応に精一杯のロクロウは、柔道においてはさしたる結果を残すことができなかったのです。

 ロクロウは両親、監督と相談した結果、系列の高等部には進学せず、地元に戻ることになりました。

 口には出さないものの、父も母も少しがっかりしているようでしたし、その様子を見るのはロクロウにとっても辛いことでしたが、なによりもう寮で暮らさなくてよいのだと思うと心がスッと軽くなるようでした。

 地元に戻ったロクロウは実家近くの公立高校に進学することになりました。同級生にはロクロウのことを覚えていて、影でコソコソとロクロウの失敗を笑い合う者もいましたが、ロクロウは気にしませんでした。なに、腕力だけなら今てもロクロウは大抵の高校生には負けません。陰口が目に余るようなら身体に物を言わせればいいのです。

 幸いにして高校に進学後、心配していたようなことは起こりませんでした。ロクロウ本人がとても性格のよい優等生であったことも大きかったのでしょう。

 ロクロウはすっかり明るくなり、元の元気を取り戻しました。そうなると不思議なことに、中学卒業までは今後は少し距離を置こうと思っていた柔道への情熱も蘇ってきたのです。

 他部員から少し遅れて梅雨入り前に柔道部に入部したロクロウ。変なプレッシャーから解放されたロクロウは伸び伸びと柔道を楽しみ始めました。

 するとどうでしょう。彼本来の恵まれた柔道センスが再び輝き始め、親譲りの立派な体格も相まって、高校柔道界にフタバ・ロクロウありと柔の道の人口に膾炙するようになってきたではありませんか。

 ロクロウの人生は再び輝きを取り戻し始めました。もしこんな時に姉が傍にいたら、ロクロウにどう接したでしょうか。

 実はロクロウの姉は地方国公立大に合格し、春から実家を出て下宿生活を初めていたのです。

 ロクロウの変身願望、セーラー服への強い憧れは中学時代の辛い思い出で蓋をされ、顔を覗かせることはありませんでした。そもそも最大の憧れの対象であったセーラー服姿の姉はもういないのですから。

 ロクロウのセーラー服趣味は、少年期の不安定な感情の揺らぎに起因する一過性の自己解放行為として、このまま永久に封印されるかに思われました。

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