美少女幽霊さんのお引越し④
「ふむふむ。ここですねぇ。はいはい。ここで間違いないです。」
とあるマンションの前で刹那さんは立ち止まると
タブレットを確認して、大きくうなずいた。
おおお。ここなんだ。
5階建てのマンション。
きれいなマンション。
まぁ。私の住んでた所と比べちゃうからね⋯。そこと比べたらどこもきれいに見えるんだけど。
ここはほんとにきれいなマンションだった。
「ここ!!ここの⋯⋯3階!」
エリさんがマンションを見上げて嬉しそうに答えた。
わー。よかったぁ。
思い出した?のかな??
「刹那さん!!よかったぁ。エリさん思い出したみたいですねぇ。」
「ええ。そのようですねえ。都合よく思い出したみたいでよかったですぅ〜。ではでは、なかに入りますよぉ。ええと、お部屋は305号室ですね!」
刹那さんはそう言ってマンションの入口へ向かう。
でも⋯⋯オートロックとかだとはいれないとか?
そう思っていたんだけど。マンションの入口は、自動ドアが待ってました〜という感じに簡単にあいて、3人でなかにはいることができた。
「さて、3階3階」
エレベーターに乗り、3階で降りる。
「ここ、ここです!!!」
エリさんは部屋へ向かって一目散。
「おおっと。エリさん!エリさん!だめだめだめですよぉー?いきなり行くと驚いてしまいます。まぁ相手には見えませんが。」
「え?そう⋯ですよね⋯⋯」
エリさんはしょんぼりと下を向く。
たしかに、いきなりいけば驚くよね。
と、その時。
部屋のドアがカチャっと開いた。
「あ!」
小さな声を上げるエリさん。
そこには
若い男女が2人。
仲良く腕を組んでいる。
えー?どういうこと?!
私はびっくりしてしまったの。
エリさんと住んでいた家なのに?ほかの人が住んでるってこと??
んー???
まさか⋯⋯
嫌な予感を感じつつその二人を見つめる。
「なんだコイツラ。何かよ用?」
機嫌が悪そうに私たちに問いかける目の前の男。
見た目は若い男の人だけど性格の悪さが顔に出てる感じ⋯
うま言い方が浮かばないんだけど。
とにかく悪そう。
隣の女の人もやな感じにする人。
「ちょっとぉなんなの?なんかの勧誘?宗教?ウザッ」
キツ言い方で私たちを睨みつける。
「あ!どうもどうもぉ〜えっとぉ、高橋光一さんですねえ??」
「は?なにあんた。このおっさんなに?」
刹那さんは何も言わずにっこにこしながら。
「どうもぉ〜先日お亡くなりになったエリさん。ご存知ですか〜?エリさんの遺言書をお届けに参った次第です〜。」
え?!刹那さん?!なにそれー?!
私は横で目を見開いた。
遺言書?どういうことなんだろう。
「美鈴さん。ここは、あの方にお任せしてね?」
私の横でエリさんが囁いた。
「あ。は、はい。」
私はびっくりしつつもこくこくうなずく。
それしかできないもん。
エリさんは私の隣に立って、私の肩に手を置こうとした。
「あ、すいませんちょっと待ってくださいね〜。エリさん。近いです。美鈴さんから離れて。」
「⋯⋯わかってるわよ⋯ごめんなさい。お任せします。」
エリさんはそう言って少し後ろへ下がる。
名残惜しそうに⋯⋯
今の顔ちょっと怖かった。可愛い人がすると恐怖の顔だぁ⋯⋯。
「おい!おっさんよー!遺言書の話だろ?!はやく話せよ!」
「すいませんねぇ。失礼いたしました。ではさてさて。」
刹那さんはポケットから紙を取り出して、それをちらっと2人に見せる。
「えー、すべての財産はあなた。高橋光一さんへとなってます。結構ありますねぇ。
それで、2つだけ、台所のシンクの下の鍋とぬいぐるみだけお墓に入れてほしいとのことです。
」
「あー?鍋?ぬいぐるみ?あーあのきたねーやつか。ぬいぐるみなら明日捨てようと⋯玄関にあるそれか?」
玄関に置いてある袋を指さした。
「あーそれですね!あと失礼しちゃいますねぇ。すいませぇ〜ん。
鍋だけ。どうも、亡くなったご両親の形見の鍋だそうで!
あ!これですこれ!」
ズカズカと部屋に入る刹那さん。
それに続いて私たちも入っていく。
2人は遺言書という言葉もあってかな?
したがっていた。
「この鍋ですねぇ。」
シンクの下から出てきたのは。
⋯うわっ。
カビというか錆というかかなり汚れた汚らしい鍋。
「きたねーそんなんはいってたの?!うわ。あいつほんときたねー女。見た目だけしかいいとこない女だと思ってたけどよぉ。」
「やだ~光ちゃん。きも!早く捨ててよそんな鍋!」
2人は鍋をみて言いたい放題。
「いやいや~本人にはね大切なものなので。ではでは、こちらはお引き取りいたしますねぇ〜」
刹那さんはポケットをガサガサすると。風呂敷を取り出して、私に渡すと、
「はい!美鈴さん。鍋包んでもっていていただけますぅ〜?」
「あ、はい!!」
私は鍋を風呂敷で包んだ。
ずっしりと重い鍋。
何か入ってそうな⋯
あ!言ってたヘソクリかなぁこれ。
「さ、てと。では、えっと、引き取りのサインよろしいですかぁ?高橋さん。」
「あ?ゴミの引き取りにサイン?そんなんいらないもんだし、サインなんかいらないだろー」
「いえいえ、規則ですのでぇ〜」
「わかったよ!」
「あ。内容書いてありますので。えっと、ぬいぐるみ、鍋と⋯ほかに⋯」
「いい!いい!わかった!わかった!ほらよ!」
高橋光一さんはそう言ってサインを書き刹那さんに渡した。
普通契約書⋯?的なのは読んだほうがいいと思うけどなぁ。
知らないこと書いてあったりするもんねぇ。
でも。教えてあげない〜!この2人なんかやだ!すごいやな人!
「はい!サインいただきました。」
刹那さんはそう言って
ポケットからハンディサイズの掃除機を取り出した。
え?そんなのまではいってるのぉ?!
すご!!
手のひらに乗るくらいの小さな掃除機。
それを2人に向けると。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ〰️
スイッチを入れる。
小さいけど威力抜群だよ!!
渦巻いて吸い込んでるみたいな雰囲気!!
さすがに渦は見えないけどさ⋯
でもその時、2人の体からぽわ〜とした光玉?みたいなものが吸い込まれていく。
「はい。では、お引越しで〜す。えっと、エリさんの依頼で、50年分の若さのお引越しとなりますぅ〜」
えっっっっ?!
その瞬間掃除機に光玉が数十個吸い込まれていって⋯⋯
「きゃー!!!なにこれ!!!!」
女の人の大声!
見るとそこには
白髪のおじいさんとおばあさんがしゃがみ込んでいた。
「はい。お引越し完了です!わぁ〜おじいさんとおばあさんになっても男っ前ですねぇ。老人ホームでおモテしますよぉ〜。」
刹那さんはニマニマ笑って2人を見下ろすと。
「では。ご利用ありがとうございました〜。またのご利用⋯って、またはないかもしれませんねぇ〜。」
マンションの扉を閉めて。
刹那さんはエリさんの方を向く。
「こんなもんでよろしいですかぁ?」
「はい⋯⋯」
「んふふふ〜し足りない顔してますけど。若い気持ちのまんま年取るってきついですよぉー?
ほら、まだしばらくは生きないといけないから。
自分、2人から若さしかいただいてないですので!寿命はまだまだ!あの姿で生きていくんです!」
ええええ。
そ、それはきつい。
やだなぁ姿はおじいさん中身は大人!みたいなのでしょ?
ちょっとやだなぁ⋯
で、でも。す、すごいのを見ちゃったよ。
刹那さんのポケットの中!!!何でも入ってる!!!
「刹那さんのポケットほんとにすごいですねぇ」
感心してしまった。
「あらあら〜そこですかあ?でもねこれ企業秘密なんで★」
えー企業筆かぁ⋯⋯




