美少女幽霊さんのお引越し③
「エリさん。というわけでですね。ここにいる美鈴さんが言うには悲しそうな顔をなさってるって言うわけなんですけどぉー?勘違いですかねぇ?」
いきなり刹那さんはそう言って幽霊さんに近づく。
「せせせせせ刹那さん!言い方!言い方!」
私が慌てて声をかけるけどそんなことお構いなしに、刹那さんはブツブツ考え込みながら
「んーしかしねぇ。Dプランで承っているわけですからぁ?プラン変更も結構大変なんですよねぇ。」
刹那さんはそう言いながらポケットをごそごそ。
そしてタブレットを取り出して何やら調べている。
えー!タブレット入ってるの?あの中!!
なんかほんとに何でも入ってるのね⋯⋯
「はい!エリさんこちらなんですけどねぇ?こんなオプションもつけることができるんですぅ〜。DプランとEプランは重複可となってるんですねぇ。」
タブレットを近くに持ちながら話しかける。
何が書いてあるんだろう。
見たい!!!
私は刹那さんに近づいていった。
「刹那さん何書いてあるんですか?見せてください。」
「あ~すいませんねぇ。美鈴さん!こちらは企業秘密なんで。まだ、お見せできないんすよねぇ。」
タブレットを隠すと刹那さんは私に背を向ける。
ええー見せてくれてもいいのにぃ。
と、その時。
幽霊さんが声を上げた。
「あの。私、どうしても会いたい人がいて⋯⋯」
「ほう。人に?そうしますと、こちらEプランの探しもの追加ですねぇ。こんな感じで追加料金かかりますけれどぉ〜。
ん~大丈夫!大丈夫です!いただければ、エリさんからでもお相手からでもどちらからでも構いませんよぉ〜。
弊社は優良企業なので!お金の出元は問題にしません!しかも!弊社、引っ越し業者ですからぁ〜。す、べ、て、の、もののお引越しを承っております★」
「あの!わたし!」
「はい。エリさんどうしましたか?」
「その人の家に行けば私名義の通帳あります!現金もたしかあります!へそくり場所はシンク下の奥の鍋の中です!」
「なんと!!今回はその場ニコニコ現金支払いですね!全く問題ございません!」
刹那さんはドヤ顔で、胸を張る。
わぁ⋯⋯
ドラじゃん。
ドラが、『僕にできないことはない!』ってやってる姿そのまんま。
でも⋯⋯人を探すってこと?そんなことできるの?
しかもヘソクリも持ってくるなんて。
「では、商談成立です!エリさん!詳しい話をきかせてください。
あ!美鈴さんもどうぞこちらへ〜まあまぁ座ってください。立っていたら疲れますからねぇ。どうぞどうぞ!」
「えーここ私の部屋ね?」
テーブルにおいてある、バナナを食べながら、刹那さんは話を続けた。
「で。エリさんはどなたに会いたいと?」
「あ。あの。まずはごめんなさい。えっと美鈴さん?」
「えっ?!ど、どうしたんですか?」
いきなりの謝罪に何がなんだかわからず私はびっくりしてしまった。
謝られることとかないと思うんだけどなぁ。
「あの。勝手にお部屋に入ってしまって。」
あー!!そのことかぁ。
たしかにここは私の家だった!!
「あ。いえいえ。いつからいたか全然気が付かなくて私⋯」
「あなたが帰ってくる時間はいつもお隣にいたんですね。
あ、お隣の方あなたのこととても褒めてました。いい子だって。話を聞いて私もずっとあなたと話したいって思っていたの。」
なんと!!
コミュニケーションとってんじゃん!お隣と!
知らなかった〜。ってことは結構前からいたんだってことかなぁ。
「このアパートがとても居心地が良くて。でも私、フラフラここに来て何をしたいかよくわからなくなってしまっていて⋯⋯。
会いたい人がいて。でも会いたい人がどこにいるか分からなかったんです。それで⋯⋯」
エリさんは下を向いてポロポロと涙をこぼした。
えー泣いてしまった。
わぁ⋯可愛い人が泣くとなんかもう見てらんないよぉ。
誰に会いたいのかなぁ?かわいそう⋯
なんとかしてあげてほしい!
「美鈴さん。美鈴さん。あまり感情移入しないように。こちらは幽霊ですからね?」
刹那さんがドーンと私の目の前に顔を近づけた。
ちっ!ちかっ!!近い!!
「刹那さん顔が⋯」
「ん?良い顔?ですか?」
「ちがいます。」
「あらあらあら〜自分、ハンサムってよく言われているですけどねぇ。」
もぉー、そんなこと言い出すから、エリさんのお話を忘れちゃう!!
涙っ涙の話だったのに!
「エリさん。申し訳ないんですが。あなたの担当は自分です!ご担当〜お間違えないようにしてくださいねぇ〜」
「え?!あ。はい。すいません⋯」
エリさんはそう言って刹那さんを見る。
「美鈴さんも。幽霊の涙なんか見えちゃうからよくないですねぇ。
さて。さてさて、で。会いたい人の話の続きを聞きましょうか?エリさん。」
エリさんは小さくつぶやくと刹那さんを見た。
「あの。こういち⋯光一に会いたいんです。ずっと一緒に住んでいて。たくさん将来の話をしていて。もうすぐお誕生日だったの。
あっプレゼントもあげられなかった。会って死んじゃってごめんねって言いたいんです。でも、光一がどこにいるかわからなくなっちゃって⋯⋯」
なんと⋯そんなことを!!
私は胸がしめつけられた。
かわいそう。大切な人に会ってしかも謝りたいなんて!!
大好きな人と最後話さなきゃ死んでも死にきれないよね⋯⋯
早く会わせてあげたいよ!!
でも。ちょっと不思議⋯
私は首をかしげると、エリさんに声をかける。
「でも⋯エリさん?光一さんがどこにいるかわからないってどういうことですか?ヘソクリの場所はわかるのに。」
「うーん。そう思っちゃいますよねぇ。美鈴さん!鋭い!!わかりますわかります。
実はね〜美鈴さん。幽霊なんかそんなものなんです。だいじなものほど忘れてしまいます。そんなものです。」
へーそうなんだ。
なんか幽霊って大変⋯⋯⋯
でもなんか納得しちゃった私⋯⋯
彷徨ってるってそういうことだもんね。
目的があればそこに行くじゃん普通。
幽霊も大変なんだなぁ。
「そしたら、刹那さん、光一さんを見つけてあげられるんですか?」
「はい?いやぁちょっとお待ちくださいねぇ」
刹那さんはそう言うと、持っているタブレットで何やら調べ始めた。
「はい!お待たせいたしました〜。光一さん。高橋光一さんですね!
お住まいは⋯ふむふむあのあたり⋯問題ありませんね!すぐ向かいましょう!!」
えー?!
「せせせせ刹那さん?!」
「ををを?どうしましたか?」
「なんでわかったんですか?!光一さんのこと。」
「あ〜そのことですかぁ?弊社の信用機構は完璧なシステムですので〜。
そこで検索すれば分からないことはないんすねぇ。エリさんのいい人のこと調べるくらい。お茶の子さいさいですぅ〜」
えええええ。
何そのシステム!!すごすぎる!!




