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18/30

元締め?!

『大変だったんだって?美鈴っち〜。ほらほら食べな〜。』

「はい⋯⋯。」

明子さんはそう言って、私の前にオムライスをトンっと置いた。

わ!美味しそう〜。

お仕事が終わって、お腹がぺこぺこなので、カフェでご飯を食べることにしたんだけど。

刹那さんは、急用で出かけてしまって、私ひとり。

『ここんとこクセのあるのにあたったんだってねぇ。おつかれ~!』

確かに、ちょっとクセ強めの幽霊さんだった。

みんなお引越しはしちゃったけど。

色々な事情があるんだなぁと、感じちゃったよ。

結構皆、私がいま想像しているよりずっと大変な事情があった⋯⋯。


私は一息つくと、オムライスを口に入れる。

「わぁ。美味しい!」

すごーく美味しい!!ふわふわ卵〜。デミグラスソースが激ウマ!!!

『んふふふ。沢山お食べ。デザートも用意するね!』

すると

お店の扉が開いて。

「どーもー」

人の声。

振り返ると、子どもがいた。

小学生低学年かなぁ?くらいの男の子。

ピンク色の髪の毛で、赤色の瞳。引き込まれるような濃い赤い瞳⋯⋯。

ちょっと⋯⋯小学生っぽくない子ども。

でも、将来絶対にイケメンになります!っていう感じ⋯⋯。

『あらぁ。お久し〜!』

明子さんがその男の子に向かって声をかけた。

ピンク色の髪の隙間から覗く赤い瞳は、まるで人の奥底まで見透かすみたいに、妙に大人びて⋯⋯というか、ちょっと人間離れした光を宿している。

「んと。君は?もしかして⋯⋯。」

男の子は私を見てそう尋ねた。

『あー美鈴っちよ。美鈴っち。刹那ちゃんの部下ね。』

横から明子さんが説明をしてくれる。

「あぁ。やっぱり。」

その男の子は私の前の席に座って頬杖をついて、私を見た。

「あ。こんにちは。えっと⋯⋯」

男の子を見ると。

「どうも。美鈴ちゃん。」

男の子はそう言って明子さんを振り返る。

明子さんは

『はいよー!』

って言いながら、その男の子の前にパングラタンを置いた。

「うんうん。これこれ!これが食べたくなるんだよねぇ〜。」

明子さんがニコニコしながらその隣にオレンジジュースを置く。男の子はフーフーと大きな息を吹きかけながら、パングラタンの上のとろ〜り溶けたチーズをフォークで上手に絡めとった。

「ん〜! これこれ、この濃厚なホワイトソースがたまんないんだよね!いくらでも食べれちゃう。」

はむっと口に含んで、幸せそうに頬を緩ませる姿はどこからどう見ても普通の男の子。

⋯⋯なんだけど。

「あの⋯⋯お名前は⋯⋯?」

私が恐る恐る尋ねると、男の子はチーズをびろーんと伸ばしたまま、赤い瞳をちらりと私に向けた。

「ん?あぁ。ごめんね。自己紹介まだだった。僕はルーク。よろしくね。」

「はい。よろしくお願いします。」

大人びた赤い瞳に引き込まれて。つい。敬語が出てしまう。

「聞いてるよ、美鈴ちゃん。ブラック企業をクビになって、ウチのポンコツに拾われたんだって?」

ポンコツ⋯⋯。

刹那さんのことかな?

『美鈴っち、ルークは刹那ちゃんの上司だよ。』

私の耳元で、明子さんがコソコソっと耳打ち。

え?!

「あ。紹介まだだった?グループの社長やってます。元締めみたいな感じかな?よろしくね!」

えー?

しゃ、社長?!社長?!子ども!

「しゃ、社長ぉぉぉお!???」

私は思わず素で叫んでしまい、オムライスを喉に詰まらせかけて

「ゲホッ、ゲホッ!」

と激しく咳き込んだ。

「ふふっ、良いリアクション。みんなこの姿見ると最初そうやって驚くんだよね〜。美鈴ちゃん。大丈夫?」

ルーク社長(?)は、オレンジジュースをストローでちゅーっと吸いながら、悪戯っ子のように赤い瞳を細めて笑った。その顔は完全に子どもなんだけど、漂う空気感がやっぱり違う⋯⋯。

「ああっ。清水美鈴です。あの。新入社員です。よろしくお願いします。」

慌てて立ち上がって頭を下げた。

「あぁ〜。そんな硬い挨拶いいよいいよ〜。話は聞いてたからねぇ。」

ニコニコと微笑みながら、ルーク社長は私を見た。

「で? 刹那のポンコツはどこ行ったの?」

え?!ポ、ポンコツ?!

「あ、はい! 急に急用ができたとかで、バタバタと慌てて出かけてしまって⋯⋯私ひとりでお昼ごはんを食べていたところです。」

「ふーん。相変わらず落ち着きのないやつ。せっかく面白い案件を持ってきたのにさぁ。」

そう言って、ルーク社長は私を見てニヤリと笑う。

「ま、いないならいいや。美鈴ちゃん。僕と一緒にお仕事しようか〜。」

ええええっ?!

ななな何を?!

『まず落ち着いて食べてからにしな!』

横で明子さんが呆れたように私達を見ていた。


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