初仕事!②
「今日のお引越し先はすこーし辺ぴなとこにあるんですよぉ。」
車を運転しながら刹那さんが説明する。
でも。車運転できたんだね!
引っ越し業者だもん。当たり前か!
車は高速を進み郊外へ。
ちょっと淋しい田舎で高速を降りると、くねくねとした山道を進む。
「たしかに、ちょっと辺ぴなとこですね⋯⋯。」
「そうなんですよぉ。もうしばらくかかりますので。」
「そうなんですね。あの。今日のお引越しはどういう感じなんですか?」
この時間に色々聞いておこうと思ったの。
初仕事だから!
失敗できないもんねー。
「んー今日のお引越しはそうですねぇ。見てのお楽しみですぅ〜」
ええええ〜。
着いた先は山の中。
ハイキングコースのちかく。
すごくのどかなところなの。
でも辺りには観光施設みたいなのができていて。
とても綺麗な場所。
食べ物屋さんや、雑貨屋さんが立ち並ぶ。
お洋服屋さんまで!
わ!ソフトクリーム美味しそう〜。
「しょうがないですねぇ〜帰りに買ってあげましょう〜。目が口ほどに物を言ってますよぉ。」
んっ。
「えへへ。ありがとうございます」
「いや〜しかし。この時間だと、人が少ないですね。」
たしかに平日午前中だけあって人はまばら。
のんびり過ごせるね。
施設の裏手。
少し行ったところはまだ木々が沢山あって自然豊か。
その木のそばに一人の子どもが立っていた。
あれ?こんな時間に子ども?
小学生くらいの子かなぁ?
おかっぱ頭の女の子。
赤いワンピースを着ていた。
学校はどうしたのかな?
でもよく見ると⋯⋯
あ!少し透けてる!
あ!!もしかしてぇー!
「はい!彼女ですね!彼女の名前は菅野真実さん。んー年齢はそれなりに⋯」
えー?小学生にしか見えないけど〜?
幽霊歴が長いってこと?
「話すと長くなるので要約しますね!小学四年生の時に3人の人を死に追いやって、その親御さんに復讐として、生きたまま袋に入れて埋められて、30年後に遺体が見つかって、今日に至ってますねぇ。
当時ちょっと大騒ぎになったあの事件でしたかぁ〜
あーもしかして、美鈴さんは生まれる前かな?」
えええええ
刹那さんのしれっとした言い方で、へーと聞きそうになったけど。
ものすごい話しだよ?それ。
いいいい生きたまま埋められたっ!!
ここここわい!!
てか、え?!イジメ?!
ええっ?!
「と、いうわけで、真実さん。こんなとこにいられるとご迷惑なんですよ。いつまでも埋められたとこにいられてもねぇ?ご迷惑しかかけてません!」
わぁなんか言い方が辛辣⋯⋯
でも。3人を死に追いやってって言っていなかった?
ちょっと待って、四年生って言ってなかった?!
『何あんた。何ジロジロ見てるわけ?』
私を見つめて舌打ちをする、幽霊さん。
ちょっと、態度悪いよね。
怖い。
私は距離をとって見つめる。
『あのねぇ。死に追いやったとか言うけど。あっちが私の目障りだったから悪いのよね。死んで当然。むしろ生まれてきたのが間違っていたわけ。だから悪くなんかない。』
!!!どういうこと?
この人は何を言っているの⋯⋯
「真実さん。よくないですねぇそういうの。あなた相当悪いですよ?
ひとり目は相当なイジメをして、マンションから自殺。時期を同じくして、2人目をイジメ抜いて、その方は学校の屋上から自殺。お二方とも家族に遺書を残しているようですね。」
⋯⋯とんでもない子だよ!
これの親!何やってたの!
あと学校!
ゆるせない!!!
「美鈴さん。どうもこの方のご両親は、権威ある教育関係の方?だったようで。うまくもみ消したようですねぇ。まぁ、今から少し前はそういうの多かったんですよ。今ほどコンプライアンスとか言わない時代ですし。」
えええええぇっ。
し、信じられない⋯
そんなこと許されるの?!
『なによ。あんたさっきから。やな目で見るわねぇ。あんた何様のつもり?!』
幽霊さんは私を睨みつけると近づく。
『細っこい、小娘!見てるだけでイジメたくなる。あんた生きてる価値なんかないよ!生まれてこなきゃいいんだよ!』
⋯⋯
はあ?
急に浴びせかけられる嫌な言葉。
なんなの?この人。
私は怒りが湧き上がってきて。
「あー美鈴さん!!」
刹那さんが一瞬止めようとしたけど。
それを無視して。
バシンっ!!
幽霊さんのほっぺたを引っ叩いていた。
「あのねぇ。あなたに人の価値を決める権利なんかないの!」
『はぁ?!はぁ?痛い!なんで痛いの?!痛いんだけど!』
そりゃひっぱたいたからね!
痛いに決まってる!!
私の手だって痛い!
心も痛いよ!!
⋯⋯でも。だからって仕返しに殺すのは良くない。
人は人を殺したらいけないから。
その子の両親たちも、よくなかった。
でも。この子みたいに長い時間彷徨ったりしてないといい。
たぶん未練があったり気持ちが強く残ると、こうやって幽霊として居続けるのかな?
このあいだもそうだし。
でも悲しい話だよ⋯⋯。
「はぁ。なるほどなるほどぉ〜3人目⋯真実さん。
3人目は自殺じゃありませんよねぇ?」
刹那さんが静かに問いかける。




