ep.83 王都・ケルス防衛戦4
翌早朝、作戦会議室にてレキと将軍・ギリアム、エルマ、キース、スワリスが話をしていた。
レキが言う。
今朝早くにウオレス伯からの密書が届いた。
『昨夜の強襲を受け、王と武聖を敵に回すことの愚かさを知った。
願わくば、そちらに参陣させて頂きたい』
「どう思う?」
エルマが言う。
「今更という感じもするが・・・」
ギリアムが言う。
「だが、損害を与えたとは言え800は残っている。
アイル城砦及びその中には500はいる。
これが手に入るのなら無下にもできまい」
レキが言う。
「確かに無下にするには惜しい。
もう一度チャンスを与えるのが得策だろう」
ギリアムが言う。
「では、もう一度賭けてみるとしよう」
キースが言う。
「総大将殿がそう言うのなら、それでいいんじゃねえのか。
だが、交渉及び目付として誰かを送り込む必要があるな」
エルマが言う。
「誰を送る?
交渉力が必要かつ重要で命懸けの任務だ、誰でもと言う訳にはいかないぞ」
キースが言う。
「この中だと俺が適任だろ?
ちょっくら行ってくるわ」
スワリスが言う。
「待ちな、あんたは西門の守将だろ。
この中じゃあ、私の命が一番軽い、何よりキースより口は立つさ」
「お前なあ・・・」
「いいんだよ、総大将、文句はあるかい?」
ギリアムが言う。
「ではスワリスに任せる。
だが、一つ、お前の命は軽くない、忘れるな」
「泣かせてくれるね。
行って来るよ」
レキが言う。
「待て、定期的な連絡方法は・・・」
ウオレス伯の陣営では、ウオレスが足を揺らしながらブツブツと何かを呟いている。
副官がその様子を見て聞く。
「ウオレス様、如何なさいました?」
「あのルザルフが少女に軽く一蹴されたと聞く、武聖とは化け物か・・・」
「エムリア王家のアニスティア王女ですな。
噂では聞いておりましたが・・・」
「いくら夜襲とはいえ、こちらは200近くの損害を受けて、相手の損害はたったの数人だぞ。
武聖の率いる軍勢は異常だ」
兵が声を掛ける。
「失礼致します」
「どうした?」
「エムリア王国からの使者が来ております」
「通せ」
しばらくしてスワリスが、ウオレス伯の本陣に通された。
スワリスはウオレスの前に跪いて言った。
「はじめまして、ウオレス=トールマン伯爵。
私は、エムリア王国のナイト・スワリス=メルティガ。
密書でのお話を受けて参りました」
ウオレスが言う。
「おお、使者殿が来てくれたということは、話を受けて頂けるとのことですかな?」
「はい、お受けいたしますが、先のこともありますゆえ。
まずは、当初のお約束であるバールダム公軍の側面を全力で突いて頂くことが前提条件となります」
「わかりました、今度こそ必ずや」
朝からバールダム公軍は、攻勢を掛けて来た。
特に東門の攻撃は、すさまじくレッドは対応に追われていた。
「昨日の仕返しか? 今日はやけに激しいな」
北側のウオレス伯の軍は、北門を攻めると見せて東門のほうへと進軍を開始した。
バールダム公軍の東門前本陣で、その様子を見ていた将軍・ケネウスは言った。
「既に、秘策は一度出したであろう、同じ策が何度も通用する訳があるまい?」
バールダムは、言う。
「おかしい、念のため、右翼に備えさせろ」
「はい、父上」
「右翼に伝えよ、側面攻撃があるやもしれん、備えるよう伝えよ」
「はっ」




