ep.81 王都・ケルス防衛戦2
バールダム公の兵が、王都の東、南、西へと展開する。
北のアイル城砦から来たウオレス伯の兵が王都の北に展開する。
将軍・ケネウスが叫ぶ。
「全軍、攻撃開始!」
バールダム公軍とウオレス伯軍の兵が前進をはじめた、攻城兵器も動き出す。
レッドが叫ぶ。
「来やがったぜ!矢を放て~!」
両軍から矢が放たれる。
前進してくる兵に当たると、バタバタと倒れる。
梯子が掛けられと、兵が次々と上って来る。
「矢と石で応戦しろ!」
レッドは言いながら、梯子を蹴飛ばした。
北門では、将軍・ギリアムとスワリスが、ウオレス伯軍が迫って来るのを見下ろしていた。
ギリアムが言う。
「よし、合図を送れ」
「はっ」
兵士が近づいてくるウオレス伯軍に対して合図の旗を振った、ウオレス伯軍は、方向を変え東門の方向へと進軍を開始した。
「ウオレス伯は、約束を守ってくれたようだな」
「そうだといいねえ」
バールダム公の東門前本陣では、兵がバールダム公に報告する。
「ウオレス伯軍は、こちらに向けて進軍しています。
このままでは、側面を突かれます」
ケネウスが言う。
「大丈夫だ、念のため、側面の守りを300ほどつけておけ」
レッドが城門の上から、様子を見ていた。
「うおおおお!」
ウオレス伯軍が雄叫びをあげ走り出した。
「もうすぐ、両軍が接触する。
俺たちも出撃準備だ!」
レッドは、城門を駆け降りると、騎乗した。
「よし、門を開けろ、出撃する!」
門がゆっくりと開くと、レッドが叫んだ。
「よし、挟撃する、突撃!」
レッドは、敵正面に突撃した。
(敵の陣形が整っているな・・・)
レッドは切り込み剣を右に左に振るう。
敵が騎馬と剣の圧力に負けて吹っ飛んだ。
(敵陣が乱れない、あいつ裏切ったな・・・)
レッドが叫ぶ。
「退却だ、門の中に退却しろ!」
将軍・ケネウスが言う。
「馬鹿め、もう遅い。
門が開いている内に突撃せよ!」
「うおおおおお!」
レッド達を追いかけるように、バールダム公軍が突撃をする。
「急げ、撤退だ、俺たちが入り次第門を閉じろ!」
「ダメです、間に合いません!」
レッド達が門をくぐった後、バールダム公軍も怒涛の勢いで門をくぐっていく。
ケネウスは、叫ぶ。
「王都の門は閉まるのに時間が掛かる、入れるだけ入って門を制圧せよ!」
レッドは、門をくぐり抜けてしばらく走ると反転する。
「敵を押し返せ!」
敵の先鋒の将軍が叫ぶ。
「ここまで入って押し返せるものか!
ん?!」
レッドが叫ぶ。
「門を閉じろ!」
それを合図に北と南からエムリア軍が現れ、側面から挟撃をはじめる。
北方はスワリス。
「押しつぶしな、一人も逃がすんじゃないよ」
南方は俺。
「一気にたたみかける、続け!」
敵は、三方向からの包囲を受け、次々と討ち取られていく。
俺は騎乗から短槍を振るう。
「やあっ!」
俺が相手の槍を弾くと態勢がくずれる、そこですかさず腹に突きを入れ引き抜くと、血が滴り落ちる。
(来る!)
横から突きこまれた槍を躱して、わきで抱えて固定しつつ、反撃の突きを喉元に突きこんだ。
逆側面から剣の突きが来る、俺は馬から側面で回転しつつ飛び降りて躱した。
「えいっ!」
背中をさらす騎士の背を槍で貫き、すぐに引き抜く、髪に血が飛んで来た。
(後ろ・・・)
サイドステップで槍の斬撃を躱すと、横に薙ぎ払い、相手の首を飛ばす。
次の相手が側面から剣を水平に走らす。
(下段・・・)
俺は宙に飛び躱すと、槍を振り下ろし、頭に叩きつけた。
相手の頭が変形し、俺の短槍は、折れ曲がった。
チャンスと思った次の敵が、斧を振るって頭上に迫る。
(甘い)
俺は、穂先付近を持って、瞬時に間合いを詰めて、喉元に突き刺す、顔に血しぶきを浴びる。
敵に馬乗りになられピンチの兵がいる。
(させるか!)
槍を投擲すると背中に突き刺さった。
俺は短刀を抜くと同時に近くにいた敵の喉を掻っ切った。
切りかかって来る敵。
(遅い)
瞬時に間合いを詰めると敵の下段、膝裏を切る。
「がああっ!」
抑えて倒れた瞬間に、首を踏みつけ骨を砕く。
突いて来る槍、空いた手で受け流しバランスを崩し、わき下と喉を切り裂く。
俺は血まみれになりながら、辺りを見ると、周りの敵は俺に恐怖の目を向けている。
恐怖と混乱が重なり、敵は総崩れになって逃げだそうとするが、兵と兵とがぶつかり、門も閉じており、逃げ出せない。
金属音、怒声、悲鳴がしばらくすると静かになった。
「よお、アニス、派手にやったな」
「レッド、あなたもね」
お互い血まみれで、微笑んだ。
離れた場所で、見ていたスワリスは思った。
(あの子たち、私以上にイカれてるねぇ・・・)




