ep.76 ガームダム王国 王都・ケルス2
俺とエルマは、王城探索をするべく、王女の部屋から出た。
「この辺は、王家の部屋だから、下に降りると謁見の間があるはず」
俺たちは、こそこそと謁見の間に忍び込んだ。
「あれ、座っていいのかな?」
「さすがに玉座はまずいですよ、アニス様」
「ちょっとくらいバレないって」
俺は玉座に座ると言った。
「我は王女アニスティアである、おもてをあげよ。
なんてね」
「アニス様、おふざけが過ぎますよ」
「じゃあ、次、台所行ってみよう、食堂の横だろうから、さらに下だよね」
俺たちは食堂を抜けて、台所へと入ると、料理人たちが忙しそうに料理を作っている。
「うわ~、美味しそうな匂いがする」
「つまみ食いとかダメですよ、アニス様」
「分かってるよ、エルマ、邪魔にならないうちに他の場所行こう」
先には蝋燭の明かりと人の声がざわざわと聞こえてくる。
「あれは兵の詰め所かな?」
「みたいですね」
「こんばんは~」
俺は面白半分で入ってみると、兵たちが酒を飲みながらカードゲームに興じていた。
兵は俺を見るや立ち上がる。
「殿下、このようなところに、何用ですか?」
「ねえ、この軍で一番強い人って誰なの?」
(やばい、好奇心が抑えられない・・・)
「そうですね、やっぱりギリアム将軍かと思いますね。
昔は、王国主催の剣闘試合で優勝もされていますし」
(あの老将軍か、相当の腕前なんだ・・・)
「へえ~、すごい人なんだね」
奥にいる兵士が言った。
「その次は、俺なんですけどね」
「嘘つけ!」
「お前、大したことないだろう」
「殿下の前だからってかっこつけるな!」
周りの兵士が、からかう。
「あははははは」
兵士たちと俺、エルマは、可笑しくて笑った。
俺たちは、詰め所をあとにした。
俺たちは中庭に辿り着いた。
中庭は、けっこう広いがあまり手入れはされていないようだった。
雑草もあちらこちらに生えている。
月明かりは、明るく俺たちを照らしていた。
「綺麗な月ですね」
「うん、今度、ここで月でも見ながら、みんなで団子でも食べたい」
「団子?」
「うん、もち米を、打ってこねてして、塊をつくって、ちぎって、餡とかきな粉とか付けるの」
「そんな食べ物があるんですか?」
(しまった・・・)
「あるよ、ろ、露店、テイザークだかの露店で見たよ・・・」
「そうでしたか、美味しそうですね。
私も食べてみたいです。
そろそろ食事の時間になりそうです、アニス様、戻りましょう」
俺たちは食堂に集まった。
最上位の上座は、王の席だが空席だった。
左隣に俺、レキ、エルマの順に座り、レキの対面にギリアムが座った。
食卓には、羊肉の串焼き、魚の唐辛子スープ、野菜ピザ、野菜サラダ、羊のミルク、ワインが並んだ。
王家の食事というには質素な食事だった。
ギリアムが静かに言う。
「宰相であったバールダム公の後、私が宰相も兼ねておりますので、レキ殿の前に失礼する」
「お父様は一緒に食べられないの?」
「陛下の容体は芳しくなく、動かれるのは大変なのです。
先日の儀式は、無理をおしてなされていたのだ。
陛下にとってそれほど大事であったのでしょう」
「そうなんだ・・・」
「殿下、感謝いたします」
「え?」
「あれほど嬉しそうな陛下を見たのは久しぶりでしたからな」
「私も、良いお父様に出会えて嬉しい」
「ありがたい、なんとありがたい」
ギリアムは、手で目を抑えた。
「ギリアム将軍、ごはん、食べよ」
「そうでしたな、殿下はお腹がすかれているようですから」
「ふふっ、うん、余はお腹が空いた。
お父様のまね」
「アニス様、陛下はそんなことは、仰らないかと」
「あははははは」
みんなで笑った。




